第5話 レンとロロのケンカ

 あたしは珍しく、ロロとケンカをした。


 普段はロロやマミを放っておくんだけど。昨夜にロロがあたしの尾びれに噛み付いてきたのよね。結構、痛かったわ。

 それで、朝方にルーさんにめんたるチェックをしてもらったりしていたら。案の定、ルーさんはあたしの尾びれのキズに気がついたの。


「……ん?レンの尾びれにキズ?」


『キュ?』


「あ、これ。かみ傷じゃないの!?」


 ルーさんは小さく叫んだ。慌てて、獣医さんを呼んできたけど。獣医さんはあたしの尾びれをみてくれたわ。


「……ふむ、こりゃあ。仲間のシャチに噛まれたかな。しばらくは真水で消毒してあげてください」


「分かりました、どのシャチに噛まれたんだろう。もしかして、ロロでしょうか」


「だろうね、レンにマミが噛みつくわけないでしょうし」


 二人が話している間、あたしはじっとしていた。獣医さんはあたしの尾びれにキリフキという透明なビンで消毒してくれる。尾びれのキズにそれはよく染みた。ピリッと痛みが背筋を走る。


『キュキュー!』


「レン、ちょっと我慢してね」


 獣医さんが言いながら、処置という事をササッとしてくれた。それが終わると彼は「仕事があるから」と言って、去っていく。

 

 ルーさんはあたしの頭を撫でる。


「レン、ロロとケンカしてたのかしら。でなきゃ、キズができるわけないし」


『キュー』


 あたしが鳴くと、ルーさんは頭を強めに撫でた。まあ、ロロと仲直りしないといけないわね。ちょっと、頭の穴からため息がこぼれた。

 

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