第2話 レンの呼気検査

 あたし、お魚だとホッケってのがいいわねえ。


 サバとかも好きなんだけど。ロロやマミは、シシャモがいいとか言っているわ。

 さーて、今日も大っきなお茶わん(て言うらしい)で遊びますか。そう思って、水面にぷかぷか浮かんでいたら。


「レン、こっち来て!」


『……キュー』


 鳴いて返事をしながら、声をかけたルーさんの所に行く。ルーさんは手に何かを持っている。

 ……あ、今日はこきけんさね。いわゆるあたしの頭の穴から、吸ったり吐いたりした息を取るらしいんだけど。ジーっとしていないといけないからな。意外と、嫌いなのよ。妹達がね。あたしはそうでもないけど。


「さ、ジッとしていてね」


『キュー』


 また、鳴いた。ルーさんは手に持っていたタオルであたしの頭の穴の辺りを丁寧に拭く。あたしはいつも通りに、プシューと穴から息を吐いた。ルーさんは何本かあるビンにそれを入れて、蓋を閉める。全部、入れたらまた穴の辺りを拭いた。


「はい、終わったよ!」


『キュイー!』


 元気よく、答える。ルーさんはヒラヒラと手を振りながら、プールから去っていった。あたしはまた、ぷかぷかと水面に浮かびに行く。ロロが近づいてきた。


『お姉ちゃん、遊ぼ!』


『うーん、後でね』


 適当に返事をしたら、ロロはチェッと言った。そのまま、どこかへ行ってしまう。あたしはやれやれと付いて行ったのだった。

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