第3話 お前も厨二病なのか?

水色に光る扉は開き、奥へと続く道ができた。


光はまるで俺を導くように強くなる。


その時俺は自分が厨二病であることも忘れ、取り憑かれたように奥へと進んだ。


ーーーーーーーーーーー

コメント欄


お も し ろ く な っ て き た ! ?

中から何が出てくるんだろう

導かれてる

神の祝福?

宝が眠ってるのかな…

wktk

闇の王が光に導かれてるのワロタwww


ーーーーーーーーーーーーー


最奥まで来た。明らかにここが最奥だ。そのはずだ。


「何もない…いや、何かスイッチがあって隠し扉が二重に隠されているとかか…」


床がガラスでできていて、下にはおしゃれなランプと龍の絵が描かれている。


「帰るか。デス・スケルトンの素材の回収が残っているしな」


デス・スケルトンというのは最強の骸骨、キング・スケルトンの1個下の骸骨の事だ。鋭い剣を持っていて、少し触れるだけで大量の血が流れてしまう。


振り返り、謎の道から出ようとする。


「ぎゃああああああああああああああ」

俺はあまりの出来事に叫んだ。


後ろには和服を着た白髪の美女が待機していたからだ。

さっきまでいなかったのにどこから出てきたんだ。気配が全くしなかった…。

俺はクールキャラなのも忘れて白目で大声を上げてしまう。


「ぎゃあ!と驚くユーモアが溢れる俺は実にユニークだ」

自分をフォローしながら状況を確認する。


「初めましてマエストロ。私はマスターのツールです」


(これは自己紹介をしたほうがいいやつか?だが正体をバラすわけにはいかない。いつものあれで誤魔化そう)


「俺はお前と同じ凡人。なんの変哲もないモブキャラさ。おっと、無駄な詮索はしないほうがいいぞ。闇の組織に狙われるからな」


ーーーーーーーーーーー

コメント欄


“お ま え は 凡 人 じ ゃ な い だ ろ w”

“相手のこともちゃっかりディスってないか?”

“主人公「俺はお前と同じ凡人」ヒロイン「お前と一緒にするな」”

“メインヒロイン登場!!”

“ヒロイン可愛すぎないか!?キャスト誰?”

“和服似合いすぎでしょ!て言うか俳優?役者?主人公もヒロインも見たことない人だけど…ぱっと見大手の映画っぽいのにマイナーな人使ってるのかな…”

“いや、マイナーにしては美男美女すぎるだろ”


ーーーーーーーーーーーーーー


「早速ですがマスター。エラーが発生しました。私は胸が熱いです。治療プログラムの導入をお願いします」


「お前も同業者か?胸が熱いならそれは愛というやつだ」


(今のは普通に「熱があるんじゃない?栄養とってちゃんと寝たほうがいいよ」っていうべきだったか?いや、俺は闇の組織なのだ。そんな哀れみは不要のはずだ)


「『愛』ですね。覚えておきます。私はマエストロ専用アンドロイド。チャルム・シュライン・996463GK。こっちの世界ではいわゆるダンジョンの遺産です」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る