第3話 逆襲

 子供たちに犬をいじめないよう注意するだけで、学校側も安心しきっていた。

 昼休み、子供たちは運動場を元気に走りまわる。中学生には床下に石を投げ込んでいる者がいた。

 犬が激しい勢いで、飛び出してきた。

 石を投げた中学生に飛び掛かった。中学生は倒れて腕で防戦する。騒ぎに気づいて逃げ惑う子供たちを、次々に襲っていった。

 数舜の出来事だった。教員はなすすべもなかった。


 急に犬の動きが止まった。小学生らしい女の子が、何か声を掛け、犬に近づいて行った。

 犬は大きくあえぎながらも、リズミカルに尻尾を振り始めた。

 女の子は犬を抱きしめた。


 男性教員が数人、女の子と犬を取り巻いた。

「こりゃあ、保健所に連絡して、連れて行ってもらわんといかんなあ」

「人間、んだんやから仕方ないわなあ」

 教員たちはうなずき合っている。

「倉庫に犬小屋があったはずやから、あれに入れときましょうか、教頭先生」

 若手が駆けだそうとした。


「犬小屋に入れたら、いかん! もう暴れさせんから、床下においてやって」

 小学生は必死に訴えた。

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