第2夜 カントリーマアムの流儀

夜遅く、中学生の娘と二十四時までやっているドラッグストアに、切らしたシャンプーを買いに行った。


ついでに菓子の大袋も買うことにした。


私は、出来合いの菓子はあまり好きではない。

久しぶりだったので、散々迷ってから、たけのこの里を選んだ。


通常のミルクチョコと、苺チョコも掛かっている、期間限定の商品のようだ。


娘は、真っ先に、カントリーマアムを持って来た。


二人とも銘々に、ティータイムを想像して、ホクホクとしながら、家路に着いた。


もう夜中近かったので、その日は菓子は食べずに眠った。


翌日、娘が図書館に行って留守の頃、ゆっくり起きた私は、朝昼の食事代わりに、おめざで昨日の菓子を食べることにした。


先ず、たけのこの里から。


ん、中々イケるぞ。


温かいほうじ茶も進み、あっという間に、小袋を四つも空けてしまった。


全部で八袋入りだ。


私は、残りを娘に取っておくことにして、カントリーマアムの大袋に目を遣った。


沢山入っていそうだ。


早速、袋を開け、バニラ味を頬張る。


甘ったるいが、今の私は、食欲スイッチがオンなのだ。


続いてココア味も口にする。もっと甘い。


口直しに、又バニラ味を一つ開ける。


おかわりしたほうじ茶を飲み干し、朝昼、兼ティータイムを終えた。


帰宅した娘が、

カントリーマアムの袋を見遣って、


「あぁ、ママ、食べたのね。」

と言ってきたので、


「うん。二、三個ね。」

と私は答えた。


すると、ニコニコ顔だった娘が、間髪入れず、ワナワナと震えながら、マシンガントークを浴びせて来たのだ。


「二、三個って…!

食べる時は、二個か、四個に決まってるでしょう?

そんなのも分からないの!?」


私は訳が分からず、とりあえず


「まだ、沢山残っているわよ。」

となだめると、


「ママは何も分かってない!

カントリーマアムは、バニラとココアをセットで食べるって決まってるのよ?


それがカントリーマアムの流儀よ!」


と叫んだ。


私は、呆れるやら、可笑しいやら、一体、何処の流儀なのかと訝しがりながら、


こだわりの強い、個性的な娘と、これ以上、言い争いをしても無駄だと分かっているので、言い返すのはやめておいた。


娘は、

「カントリーマアム公式も、きっとそれを薦めてるのよ。だって、以前は十九個入りだったのに、ホラ、これは二十個入りになってるでしょう?」


「だから、この袋を選んだのよ。ママも、今度から気を付けて食べてよね!」


と意気揚々と述べた。


私は公式さんに聞きたい。

それは本当なのでしょうか…?








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