第15話武道大会その2

 武道大会第4試合が、始まった。 試合内容は、

素人には、ベリン劣勢に見えるだろう。 だが、ベリンは、戦っている、というより、暇つぶし。 という感じなきがする。理由は、相手がベリンに一発も入れれず、対するベリンは、わざわざお前の攻撃を避けてやっている、という感じだ。 だが、観客の様なド素人の目から見れば、圧倒的な、ベリンの弱さに笑ってしまいそうだった。


1人の大柄の中年男が、観客席から立つ。

「お前wよ、よ、弱すぎんだろwww ベリン? だっせぇ〜名前」

それに呼応するように観客達が文句を言い始める。

「そ、そうだぞ! 試合として、成り立ってないじゃないか! これじゃ、相手がベリンとやらに

情けを掛けている様に見えるだろ!」

 そんな意味不明な言葉に会場は、更にヒートアップする。

「「ブゥーー!! ベリンを棄権させろ!!」」

はぁ……、これは大暴れパターンだな。 俺の予想は、的中した。 思った事と違う形で……

「はぁ〜? お前等の言っている事は、ベリンの対戦相手である、私の侮辱にも繋がるぞ! ゴミに群がるハエどもが! 消え失せろ!」

 予想外の、対戦相手からの観客達への一言、観客は、そんな辛辣な、言葉に自分達が被害者だと言いたげに

「お前等のその、つまんない試合を、俺達は、有料で、お金を支払って見ているんだぞ? お前等は、戦うだけじゃないか!」

そんな、まさに"ド素人"な、発言を二人は、耳にし、鬼の様な、形相で、

「ド素人は、黙っとレェィ!!」

と、切れたのが功を奏したのか観客達は、無気力になり、遠くをぼっ〜と、見つめている。

「やっと二人だけで、戦えるな、野次馬がいなくなって、清々するぜ!」

「有難うございます、私も迂闊に本気を出せない、立場でね……」

 そうだ、ベリンには、反乱阻止、またの場合

武力で、"内部制圧"を命じられている。

あ、勿論僕もだけどね、 そんな機密情報の塊みたいな、ベリンが王都の者だとわかり、数で抑えられてしまえば、王都側に不利益を出させてしまう。

「で、これから本気を出すんだろ? ベリン。」

「貴方こそ……で、貴方名前何でしたっけ?」

 ズコーン、ベリン……対戦相手の名前位は、覚えておこうね……

「カルリエル=エンティランだ、 宜しく。」

「エンティさん、それでは、始めましょうか、試合を……。」

 本気と本気のぶつかり合いが始まった、実を言えば、あのエンティと言う者も、ベリンと同じ位の実力者である。 そんな、強い対強いの試合に見惚れ行ってしまう。

「双撃、天降之槍撃兵 アルカナイツ」

「クッ、天から降ってくる、槍……ですか。 相変らず貴方の槍撃は、厄介ですね。」

 お二人は、お知り合い? なのかも。


「お前も、攻撃を避けるついでに、拳撃をねじ込んで来るのは、厄介極まりないな。」


「ソロソロ勝負を決めましょうか、あのド素人達が、起きてしまう前に。」


「フッ、お前にそんな余裕があるかな!

天燐之地戒槍撃 パルテナン」

 それは、まるで神殿の様にベリンを包囲、閉じ込める。


「クソ、ハマってしまいましたか……だから、貴方の相手は、嫌なんですよ。 だが、私も進化したんでね、」


「ヘェ、強がりか、実力相応の自信か確かめてやる」


「貴方、油断し過ぎですよ? 死角から之一撃

デスブラインド」

 それは、死角からの一撃必殺。 エンティは、必死に避けようとしたが、死角は、意識して作る、消す事は、出来ない……


武道大会、因縁の二人? の試合は、ベリンの一撃必殺で膜を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る