第6話 愛、それは永遠である
「俺と葉月が別れた噂…ですか?」
俺は誰にも葉月と別れたなんて話はしていない。葉月は今日学校を休んでいるからその話は出来るわけないし、委員長は友達を裏切るような真似はしないだろう。
だとすれば一体誰がこんな噂を流しているんだ。噂の内容に間違いはない。迷惑だな。別に俺たち二人の話なのだから他人は関わらないでほしいのだが。
「うん、なんか学校中で噂になってるらしいね。柊葉さんが今日学校を休んでいると聞いてね。それが彼氏と別れたからなんじゃないかってクラスの男子が話してたんだ」
柊葉さんは学園のマドンナって言われてるからね、と先輩は言う。そういえばそうだった。身近にいすぎて忘れていたが、葉月は先輩の言う通り学園のマドンナと呼ばれているのだった。
「まあ学校を休んだだけで彼氏と別れたなんて噂を信じるほど、僕は馬鹿じゃないけどね」
先輩には話してもいいのだろうか。確か葉月と先輩には多少面識があったはずだ。未来、葉月から先輩に俺と別れたと話す瞬間がやってくるのであれば先に俺から話しておいても問題ないか。
「それ、本当なんですよ」
「え?それは本当かい⁈」
「はい、つい昨日別れました」
「それはまたなぜ?」
「葉月が俺と付き合ったままじゃ幸せになれないって俺が判断したからです。俺はまったくいいところないし、顔をよくないし、特別秀でたものもないので」
「…ふーん。まあそれが君の判断ならいいんじゃないかな」
「ありがとうございます。それと一つお願いしてもいいですか?」
俺は一つ、先輩に必ず守ってもらわないといけないものがある。
それは…
「このことは誰にも話さないでもらえますか?」
☆☆☆
風邪を引いてしまった。なんて情けないんだろうは私は。彼氏に振られたショックで寝込んでしまうなんて。
眠っていた時に私はある夢を見た。その内容は大人になった私と真翔が結婚して毎日のようにお互い愛して合って幸せな家庭を築いているものだった。
私はあの夢を正夢だと信じている。だって夢の中の私、まるで目にハートがうつっているようで、本当に幸せそうな顔をしていたもの。
あれを正夢と言わないで他に何と言えるだろうか。否、私は何も言えないと思う。
今は別れてしまっているけど…いいや、私は別れるということは了承していないはずだ。何を勝手に別れた気になっているのか。
多分真翔は別れた気でいるだろう。もう一度話をしよう。そしてもし彼が意地でも別れたと強情を張るのであれば無理やりにでも既成事実を作ろう。
真翔は私のことを考えてなんて言っていたけど、まったく何も考えてはいないではないか。
私には真翔しかいないというのに。
そうと決まれば早速行動に出よう。気のせいかもしれないけど、なんだか身体の調子が良くなってきた気がする。
「まだ真翔は学校かな。ふふ、もし家に帰って私がいたらどう思うんだろう。楽しみだな…」
私はゆっくりと舌なめずりをすると、舞ちゃんに連絡した。
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