第23話

赤い手帳 6


ドラッグストアの店員が刺された事件によって

乗客は混み合った電車を避けるようになり、乗客は周りを気にするようになった。

藤井はいつものように車で営業に出かけ高速に乗ったがその間も頭に浮かぶのは手帳の事である。

藤井はハンドルを握りながら思い出しているのは堀が同僚から聞いた話によると、結城課長は仕事を終えるとよく近くの公園のテーブル付きベンチに座って一日の疲れを癒していると言う事だ。これ以外に決まった行動は無いらしい。

藤井は二、三度見たことのある美形の結城課長の姿を思い出していた。

藤井はその翌日、定時に仕事を終えると真っ直ぐにその公園を目指した。すぐに目につくのはしっかりとした木製のテー付きベンチである。

藤井は直ぐにそこに腰を下ろし木立の豊かな緑を眺めた。目の前の木製のテーブルに目をやるとそこには色々のいたずら書きがされていた。

何気なく見るうちにその中のR 2/7 7 R3/2 7

に目が入った。と言うのもそれと似たものがあの手帳に有ったからである。

家に帰ってもう一度読み直そうと思い家路に急いだ。帰るとすぐに手帳を開きあのRのところを見つけ公園のテーブルにあったものと思い比べて見た。

手帳にはテーブルに書かれたもの以外に

・・3.14 R 33 1 6 7 1 13 4 4 6 1・・

と書かれたものがある

藤井は直ぐに堀にメールしこの数字を写メして送った。R 2/7 7 R3/2 7と言う数字が公園のテーブルにあった事も伝えた。

この夜遅く堀からメールがあり、この長い数字は電話番号だと知らせて来た。説明によると、R以下の数字は円周率の頭の数字からの何番目にある数字だと言う事である。

ちなみに、33は円周率の33番目の数字とすると0であり1は円周率の1番目の3であるから

それをつづけると03-XXXX-XXX Xと言う電話番号になる。

藤井は堀の才能に感心した。と同時にこの番号に電話する事により事件に解決の光が差すような気がして期待に胸が膨らんだ。

この番号は何処に繋がるのか。藤井は堀にメールを入れ明日会う約束をした。そこへ電話をしてみようと言うことになった。興奮の中、藤井は眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る