第19話
赤い手帳 2
時間と共にAさんは仕事のモードに入り手帳の事を忘れ仕事に集中して、そのままいつもの様に定時になりそして残業と、いつものパターンで仕事を終えた。と同時に頭の中にあの赤い手帳が浮かび上がって来た。Aさんの頭には何か楽しみを見つけた様な感覚になっている。ビール飲みながら手には赤い手帳をテーブルに置き昨日の続きを楽しむ様にページをめくった。
そこには不倫相手とおぼしき人物が最近冷たくなり会うことも避けている様でその恨みを長々と書かれていた。同時に次回のデートを❤️のマークを付けて書かれていた。別な女性でもできたのではと言う不安な心が長々と書かれていて、そこからは何となく精神バランスの悪さが伺う事ができた。長々と書かれていたがそれはよめとばした。
「kさんは」で始まるその書き出しにAさんは知る限りのkで始まる名前の上役、先輩、同僚の顔を思い浮かべた。文章の流れからkさんは同じ会社の人間である事は間違い無さそうである。知る限りの中から身近で不倫と繋がりそうな人は浮かび上がらなかった。
違う部、違う組織であれば全く分からない。さらにページめくると様々な数字が整然と書かれている。その後のページには何もかかれてはいない。その数字の意味は全く分からない。
Aさんはその手帳を隅から隅まで開いてみたが
持ち主を知らせる者は何もなかった。
ただ分かることはこの持ち主はきっと落とした事を悔やみハラハラしていることは間違いないと言うことである。同じ会社の誰かが拾ったとしたら、彼女は思い悩み同僚を見る目も変わっているはずである。
日が経つに従ってAさんはその手帳のことも忘れ記憶も薄らいで行った。
5月の連休を前にしてある日、先輩のSさんが急死したと言う話が会社の中で広まり不審死だと言う話が広まった。Aさんはその亡くなった人の頭文字がkでなかったので、違うかなと思ったが名前が何なのかが気になった。二、三日後に分かったのだが名前の頭文字がkだと知った時に背筋に冷たいものが走った。
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