警告:後ろの正面

 数分前の僕へ。これを学校に持ってくるのを止めてください。

 何が起こったのか説明しますね。僕はこれを他のノートと一緒に持っていたんです。それでうっかり廊下でノートの間から滑り落ちちゃったみたいで、落ちたんです。それをあいつが拾いました。

 あいつは僕の名前を読んで、わざわざ「これ落としたよ」と手渡してくれたんです。僕は表紙を見た瞬間サッと血の気が引いていくのが分かりました。もし彼が好奇心から中を覗いていたらと思うとぞっとします。僕は切腹するしかないと思います。

 そもそもなぜ、これを学校に持ってきているのか。それは学校でどうしても辛いことがあった時に自分の文で書いたあいつへの想いを見て、安心しようということからで……。とにかく危険性が分かった今、止めようと考えてる。それを今誰もいない教室でひっそりと書いているわけです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る