毎日図鑑
寝る前にいつもあいつの横顔を思い出す。顎が細くて、太い眉。まつ毛は長くて、二重。それだけの整った容姿だと言うのに今まで街中で声を掛けられても無視しているというのだからもったいない。僕はあの顔がどこかに載って全国的に知られてしまうのは耐えられてない。だけど、僕の好きな顔を何かを通して見てもらいたいとも思っている。
あいつは僕よりも背が低くて、でも足が長いから僕はあいつが横に座る時にちょっと上から眺めることが出来る。
「ん? なんか付いてる?」
僕はしどろもどろになりながら「いいや、あそこの木に鳥が止まってたから」と言って誤魔化す。すると、「鳥が気になるなんて、珍しいやつ」といって、微笑んでくれるのだ。僕はそれがたまらなくうれしくて、その日の帰りに鳥の図鑑を買って帰った。
その横顔を寝る前に思い出し、図鑑を広げて、明日はなんの図鑑を買うことになるんだろうかとまどろみの中で粘り強くあいつの無邪気な微笑みを思い出していた。
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