枯れない廃品

春日希為

良い隣人になりたい

 13月2日

 来週から新学期が始まる。僕は、絶対にあいつの隣のクラスになりたい。去年は惜しくも二つ隣のクラスだったのだ。これでは体育の時にあいつとさりげなくペアを組むことが出来ないじゃないか。それで今年は神社にも行ってお願いした。

「どうか、僕の隣になりますように」

 二回手を叩いて、二回お辞儀をした。

 なぜはっきりと隣のクラスと言わないのかって? そりゃああわよくば同じクラスの隣の席になりたいからに決まってる。でも、きっと、僕は耐えられないと思う。だって、あいつは男なんて好きでもなんでもないから。だから、体育の時にペアで僕の手をまるで握手するみたいに取るくらいがちょうど良く、僕からしてみればそれは白馬の王子様と丁寧に扱われている姫のようで心が満たされるのだ。

 来週が楽しみだ。この日記にもし、直接的なことはないけど明らかに文字数が増えていたらそれは願いが叶ったということだと思って欲しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る