第5話

ブリザード「…みんな、よく集まってくれた…」


櫻「…うん。」


凍歌「…いよいよだね。」


華途葉「えぇ…ようやくあの忌々しい

奴らに一矢報いることができるわ…」


ブリザード「ようやくここまで来た…

改めて、みんな…ありがとう。」


永遠「礼には及ばないよ、僕に

充分感謝してね!」


優来「…何で一言で矛盾させるの?」


永遠「…なんとなく、かな?」


ブリザード「…今日は、記念すべき日だ、

我々の復讐の狼煙がようやく上がる…。」


ブリザード「俺達の悲願が、ようやく

近づいてくるんだ…。」


飛那世「…。」


ブリザード「みんな、ここまでよく

ついてきてくれた…色々とあったが、

みんな俺の大切な仲間だ…」


飛那世「…中々、嬉しいことを言って

くれるじゃないですか…。」


凍歌「…そうか、ようやくなんだね…。」


ブリザード「…全員が居ないのは残念だが、

これも仕方ないことだ…。」


ブリザード「…それじゃあ、行くぞ…」


…そうして、始まるんだ…俺達の

壮大な物語が…悲しみを背負い続けた

人達が悲願したシナリオが…。


ここまでたくさんの出来事があった…それらの

1つ1つが今の俺達を形成してる…

今ならわかる。


…きっと、どんなことをしてでも

奴らを地獄へ堕とす…


それが、俺が神から与えられた使命って

やつなんだと思うから…。


俺は…昔よりずっと強くなった…


今こそ…その力を奴らに示すときなんだ。


…思い知らせてやる、一体誰を

怒らせたのか…


ーー


優来「…ねぇ、どうだった…?」


華途葉「…一人怪しいのがいた。」


優来「え…!?」 


華途葉「エビルプラントに行ったときの

任務の資料が何者かに流されてた…。」


優来「…それは、誰か分かるの…?」


華途葉「…それが。」


華途葉「…。」


優来「…え?」


華途葉「…これが事実よ。」


優来「そんな…じゃあ!!」


華途葉「…これが事実ならどうしようもないわ…」


華途葉「優来、覚悟を決めなさい、私達は

本当に生きて帰れる保証もない…。」


優来「…そんな、じゃあ…!!」


華途葉「…殺すしかないわよ、あいつを…。」


優来「…こんなことって。」


華途葉「…果たして、これを終えたときに

生きて帰れるのかしら、私達は…」


優来「こ、このこと皆に話した方が

いいよね…?」


華途葉「そんなことしても無駄よ、目立って

行動してることがバレたら即終わりだし

こんな情報は混乱を招く…。」


優来「…そうだね、でも…」


華途葉「…厳しい戦いになりそうね。」


優来「…私達もそろそろ行こうか。」


華途葉「…えぇ、そうね…。」


優来「…待って、これ…ブリザードが

忘れていったんじゃ…」


華途葉「…ん?珍しいわね、しかもこんな

目立つ場所に…。」


華途葉「…でも、これは使えるよ…」


優来「うん、早速使おうか…。」


華途葉「…えぇ。」


ーー


ブリザード「…場所は…ここだな。」


ブリザード「…いいか、幹部を見つけても

すぐには殺すな、殺すことではなく

戦力を減らすことを優先しろ…」


ブリザード「敵の幹部格を痛めつけて

次の出撃により多くの幹部を出させるんだ…」


ブリザード「そうすれば敵の戦力はガタ落ちする、

そうしたら総攻撃を仕掛ける…。」


ブリザード「分かっているだろうがこの作戦の

目的は敵の基地を破壊し敵の拠点を潰すことだ…」


ブリザード「殺すのは、今じゃない…。」


華途葉「…えぇ、理解しているわ…。」


飛那世「…なら、問題ないですね。」


凍歌「…じゃあ、行こうか…」


永遠「…いや待って、おかしい…」


優来「…何か?」


ブリザード「いや…永遠の言う通りだ、

明らかにおかしい…」


…そう言うとすぐにダーツの矢を取り出し…


地面に目掛けて思いっきり投げつけた…!


ブリザード「…ふっ!!」


ビュゥッ…!!


バゴォンバゴォンバゴォン!!


ブリザード「やはり…地雷か!!」


凍歌「くそ…こんな汚い手なんか

使って…!!」


松原「…あーあ、そんな簡単には

引っかからないか…」


飛那世「松原…!!」


松原「久しぶりだな飛那世…フフフ。」


飛那世「貴様…!!」


達也「…俺も居るぞ。」


松原「アンタ、戻ってたのか…」


ブリザード「…誰だ?」


永遠「な…っ、ありえない…!!」


ブリザード「永遠…?」


永遠「こいつがここにいるなんて…

最悪だよ…!」


達也「久しぶりだな、出来損ないが…」


永遠「父さん…なぜここに…!!」


達也「なんでかって…そりゃ、俺が

神吹様の部下だからだろう…?」


華途葉「永遠の父親…?まさか、

こんな所に居たなんてね…っ!!」


バギュウン!!


達也「チッ、汚え奴らはやっぱり

野蛮なんだな…。」


松原「なぁ、とっととやっちまおうぜ…?」


松原「まずはあのガキからだ、後は

全員俺が捕獲してあとは…フフフ…」


ブリザード「…そう簡単に行くと思うな、

このクズ野郎が…!!」


バギュウン…!!


松原「チッ…ガキが、大人を舐めるな…!!」


バギュン!!


ブリザード「遅い…!!」


バギュンバギュンバギュン!!


松原「チッ、こんなんじゃ通用しねぇか…」


松原「なら、これならどうだ…!!」


バギュウン!!


ブリザード「甘い…!!」


カチャ…


松原「チッ…させるかよ!!」


ブリザード「今だ…!!」


永遠「うぉりゃぁぁっ!!」


バギュウン!!


松原「が…っ!!」


松原「チッ…油断した、防弾チョッキに

当たったからまだいいが…」


達也「無様だな、松原…?」


達也「…出来損ないが、いきがるなよ…?」


永遠「そっちこそ、僕を捨てたくせに

僕を邪魔すんじゃねぇよ…クズが…!!」


永遠「ぶっ殺してやる…僕がどれだけ

苦しんだかも知らないくせに…!!」


ブリザード「落ち着け、永遠…!!」


永遠「お兄ちゃん…僕がやらなきゃなんだ…!!」


ブリザード「これは遊びじゃない、戦争なんだ、

分かってくれ…!!」


永遠「ぐ…!!」


永遠「分かった。」


永遠「けど…後で頭撫でてよ…!!」


ブリザード「あぁ、考えとく…!」


永遠「…ありがとねっ!!」


バキュウン!


達也「抜かせ…クズ共!!」


バギュウン!!


永遠「何処に撃ってる、この外道が…!」


バギュウン!!


達也「フッ、逸れてんだよ…!」


ブリザード「…!!」


バギュウン!!


達也「チッ…危ねぇ!!」


櫻「そこっ!!」


バギュウン


達也「ぐ…こんなもの!!」


…もういい。


ブリザード「な…っ!!」


神野「…私が殺る。」


ブリザード「神野さん…俺はアンタを

殺したい訳じゃない…!!」


神野「…でも、私達は所詮殺し合うことが

運命だったのよ…。」


華途葉「…そうらしいわよ、ブリザード、

覚悟を決めなさい、そいつはやる気よ…!!」 


ブリザード「…!!」


松原「残念、俺も居るんだよな…!!」


櫻「アンタの相手は私だよ!」


バギュン!!


松原「チッ、だがいい女だ、俺のコレクションに

加えてやろうか…?」


櫻「…そんなの、願い下げだよ、バーカ!」


バギュウン!!


松原「っ…このガキが!!」


ブリザード「…っ!!」


神野「…はぁぁっ!!」


バギュウン!!


ブリザード「ぐ…っ!!」


ブリザード「うぉぉぉっ!!」


バギュウン!!


神野「チッ…!!」


神野「…うわぁぁっ!!」


ブリザード「っ…どうしてこんなことを…!!」


神野「もう分かってるでしょ…!?

私はもう戻れないの、ここで貴方達と

戦うしか道はない…!」


ブリザード「クソッ…ならば、俺はここで

神野さんを止める…!!」


神野「やってみせなさい、できるならね…!!」


ブリザード「うりゃあっ…!!」


バキュウン


神野「当たるか…っ!!」


神野「はぁぁっ!!」


バキュン


ブリザード「ぐっ…!!」


ブリザード「はぁぁぁっ!!」


バキュウン


神野「はぁっ…はぁっ…!!」


優来「…。」


華途葉「…どうやら全部アンタの

見立て通りになったみたいね。」 


優来「うん…まさか本当にこうなるなんて、

思わなかったけど。」


華途葉「…そろそろね。」


カチャ…


華途葉「…待ちなさい。」


華途葉「…飛那世!!」


ブリザード「…え?」


神野「…何?」


飛那世「…。」


ブリザード「飛那世…なぜ、俺に銃口を

向けている?」


飛那世「…さあ?」


松原「残念…そいつはな…」


松原「俺達と同類、神吹様の手先ってことだよ…」


櫻「な…っ!?」


飛那世「…どうやって分かったんです?」


華途葉「…違和感を感じたから任務情報に

アクセスした履歴を調べてみた。」


華途葉「そしたらエビルプラントの任務情報に

アクセスした履歴が残ってた…。」


華途葉「…そしてそのアクセスされた

時間に居たのは飛那世だけだった。」


華途葉「…それに任務情報へのアクセス権限を

持っているのはブリザードと飛那世

だけなのよ…」


飛那世「…数打ちゃ当たる、ってことですか…」


飛那世「…フフフ…アハハハハハ!!」


優来「っ…!!」


凍歌「何が…!!」


飛那世「あーあ、バレちまったなら

しゃーねぇかァ…ここをオメェラの

墓標にしてやるよ…!!」


バギュンバギュンバギュン!


飛那世「アハハハハハハハハハハハ!!」


凍歌「クソっ…早い!!」


ビリッ…


凍歌「痛った…こんな時に…!!」


バギュン!!


凍歌「が…っ、腕が…!!」


ブリザード「凍歌…!!クソッ!!」


ブリザード「はぁぁぁぁぁっ!!」


バギュンバギュン!!


神野「何がどうなってるの…飛那世が

裏切り者なんて…私聞いてない…!」


達也「そいつはお前らみたいな汚れた唐変木とは

違って神吹様から目をかけられてた、

実力が違うんだよ…」


永遠「…確かに飛那世は強い、だけど…」


永遠「僕だって強いんだ…!!」


永遠「負けて…たまるかよ…っ!!」


バギュウン!!


飛那世「アハハハハハハハハ!!」


バギュンバギュン


飛那世「あーちなみに一つ、いいこと

教えてやるよ…」


飛那世「内通者としてお前らの動向を

探ってた奴はもう一人居るんだ…」


凍歌「…何だって!?」


飛那世「出てこい…城所!!」


城所「…。」


櫻「な…っ!?」


飛那世「ここへ来るように誘導させたのさ…

まんまとハマってくれたなァ…!!」


城所「…貴方達が致命的なバカで

助かりました、おかげで仕事がすごく

楽でしたよ…」


華途葉「ふざけんな…ふざけんな…

ふざけんな…!!」


華途葉「うわぁぁぁっ!!」


バギュウン!!


飛那世「当たるかよ…ヒャハハハハハハハ!!」


バギュウンバギュウンバギュウンバギュウン!


ブリザード「チッ…飛那世…!!」


飛那世「残念だけど…これで終わりだ…!!」


永遠「っ…お兄ちゃん!!」


優来「ブリザード!!」


ブリザード「ぐ…!!」

飛那世「お前ら全員、ここで

ぶっ殺してやるよ…!!」


飛那世「…と思ったけど。」


飛那世「…ハァ。」


飛那世「…飽きた。」


そう言うと飛那世はおもむろに城所へ

銃口を向け…


城所「え…?何を…」


バギュウン!!


華途葉「な…っ!?」


凍歌「…!!」


櫻「な、仲間を撃った…!?」


永遠「なんて奴だ…!!」


松原「おい、何して…」


飛那世「お前もだよ。」


バギュウン!!


優来「な…っ!?」


達也「おい、お前…何故松原を撃った…!!」


飛那世「この組織においては強者こそ

絶対で敗者はクズが同然なんだろ…?」


達也「っ…!!」


飛那世「強者の私が何をしようと勝手だ、

誰だろうと殺してやる…楽しいからな…!!」


飛那世「アヒャハハハハハハ!!

ゲヒャハハハハハハ!!」


神野「…こんなの、狂ってる…!!」


櫻「飛那世…どうして!!」


飛那世「私はねェ…昔っから人を殺すことに

飢えてるんだよ…だから、殺して、殺して…

殺したい、欲求を抑えらんねェのさ…」


凍歌「私達を騙していたの…?どうして…!」


飛那世「なんでかって…楽しいからだよ…!」


ブリザード「飛那世…!」


飛那世「邪魔すんじゃねェ…!!」


飛那世「私は…もう、自由なんだよ…!!」


バギュウン


ブリザード「っ…クソ…!!」


バギュン!


飛那世「私はこれから自由に人をぶっ殺して回る

せいぜい覚悟するんだなァ…!」


達也「…ふざけやがって、神吹様に

なんと言われることか…」


飛那世「ここは実力主義の組織だ…

これくらいはいいんだろう…?」


達也「だが、いくらなんでもこれは…!」


飛那世「雑魚が命令すんな。」


達也「何だと…誰に命令して…!!」


神野「…私が望んだのはこんなことじゃない…」


神野「…付き合ってらんないわ。」


達也「ちょ…おい!!」


飛那世「気にしたことじゃない…こんなこと。」


飛那世「戦場には強い奴が一人いれば

それでいい…そうだろう?」


達也「くそ…ふざけるな…」


飛那世「フン…こんなんじゃ相手にもならない、

とっとと戻るぞ…。」


達也「は…?お、おい、何処へ…!!」


華途葉「クソ…待ちなさい!」


ブリザード「飛那世…!!」


飛那世「…せいぜい、楽しませてくださいよ?」


櫻「飛那世…どうして!!」


優来「…最悪、本当に飛那世が私達を

裏切っていたなんて…。」


永遠「…ありえない、何かの間違いだろ…?」


櫻「戦力がただ単に下がるだけじゃない、

勝機が格段に下がる…本当にまずいよ…」


ブリザード「…これが現実だ、もう

受け入れるしかない…。」


凍歌「それで…どうするの?本当に

これで突入するの…?」 


ブリザード「…もう、行くしかない…

もし、まずいことになったとしても

俺がどうにかする…。」


ブリザード「…だから、行こう…」 


ブリザード「…飛那世が抜けたことは俺も

悲しい…だけど、これは戦争なんだ…

そんなことを考えている暇はない。」


ブリザード「…もう、何があったとしても

俺達は進むことしかできない…それが、

俺達が選んだ運命だから…。」


永遠「…そうだよね。」


華途葉「…本当に、上手く行くと言うの…?

うちの最高戦力の一人が抜けたのに…」


ブリザード「飛那世が抜けたから、

じゃない…。」


ブリザード「こっちにはまだ神吹に対抗しうる

要素がいくつもある…。」


ブリザード「悲観するにはまだ早い、それに…」


ブリザード「武器なら、ここにある…。」


ブリザード「こいつの力は未知数だが

可能性はある…これがあれば奴らにも

渡り合えるかもしれん…。」


ブリザード「…行くしか、手はないだろう…?」


凍歌「うん…そうだね、行こうか…」


永遠「じゃあ…進むよ、みんな…!」


華途葉「…えぇ。」


ーー


バギュウン!


ブリザード「チッ…敵が多すぎる、いったい

どれだけ居るんだ…!!」


優来「ここだけでざっと150はいる、これは

相当まずいことになるかも…!!」


櫻「やっぱり、引いた方が

よかったかもかな…!?」


ブリザード「いや…行けるさ、たとえ

飛那世が居なくともな…!!」


バギュウン


永遠「僕だって…やってやるよ、うりゃぁっ!!」


バギュウン!!


ブリザード「クソ…この大勢をいちいち相手して

いても埓が明かない、一部は無視して

進むしかないか…!!」


バギュンバギュン!!


華途葉「そのようね、じゃないと

ここから先へは進めないもの…!!」


バギュウン!!


飛那世「フフフ、どうやら皆様方

お困りのようですね…?」


ブリザード「飛那世…!!」


飛那世「ええ…あなた方の望みを

叶えて差し上げましょう…」


飛那世「ここに居る全員…平等に

皆殺しだよ…!!」


そして、飛那世は敵味方関係なく銃を

乱射し始めた…


ブリザード「みんな…避けろ!!」


永遠「っ…!!」


バギュンバギュンバギュン!!


団員「がぁぁぁっ!!」


華途葉「チッ…飛那世…あいつは、

間違いない…悪魔よ…!!」


永遠「…もう、殺るしかない…!!」


飛那世「ヒャハハハハハハハハハハァ!!」


飛那世「もっとだ、もっと血を見せろ…

フハハハハハハハハ!!」


優来「ぐ…っ、うぉぉぉっ!!」


バギュウン!!


飛那世「…効かねえんだよッ!!」


バギュン


優来「ぐ…流石に当たらないか!!」


ブリザード「だがこれで敵の団員は

どんどん死んでいく…これで行けるぞ!!」


櫻「…えぇ、行きましょう…!!」


華途葉「…そこっ!!」


バギュン!!


飛那世「残念だったなァ…そんなんじゃ…

カスりもしねぇんだよッ!!」


バギュウン


華途葉「チッ…!」


ブリザード「華途葉、飛那世は

後だ、早く先に行くぞ…!!」


華途葉「っ…でも…!!」


ブリザード「華途葉…!!」


華途葉「っ…クソがっ!!」


ダッ!!


飛那世「…行ったか。」


ーー


永遠「…奥まで来たけど…この辺りかな?」


優来「うん…恐らく、この付近で

間違いないかと。」


ブリザード「早く行くぞ…何が起こるか

分かり得ないからな…!!」


凍歌「…あれ!」


ブリザード「…永遠の父親か…!!」


達也「チッ、小賢しい連中だ…!!」


永遠「…はぁぁっ!!」


バギュウン!


永遠「チッ…ここで、僕が殺すんだ…!!」


ブリザード「永遠!!突っ込むな…!!」


永遠「ぐ…っ、お兄ちゃん、ダメなの…!?」


ブリザード「もっと冷静に動くんだ…

相手はただじゃ死なない…!!」


永遠「…分かった…!!」


達也「…そんなんじゃ俺は殺せねぇよ…!!」


バギュンバギュン!!


永遠「っ…これ以上させるかよ…!!」


永遠「うりゃぁぁっ!!」


バギュウン!!


達也「フッ…そんな鈍い弾じゃ…!!」


永遠「今だっ!!」


達也「何…」


優来「そこだっ!!」


バギュン!!


達也「チッ…!!」


達也「クソ…腹に喰らったか…これじゃ…

まともに戦えない…!」


ブリザード(よし…計画通りだ。)


華途葉(今日やられた幹部は二人…

想定外はあったけど敵の数自体は

減らせている…!)


凍歌(あとは…雪村と飛那世さえ

倒せれば…)


飛那世「…随分と無様ですねぇ…?」


達也「クソ…飛那世…!!」


飛那世「…じゃ、私がやってやりましょうかね…」


雪村「待て、飛那世…!」


飛那世「チッ、雪村…!」


雪村「ここは私に任せろ、お前は奴らの

拠点を叩け…!!」


飛那世「…ハイハイ、分かりましたよ…」


ブリザード「…雪村だと…!?」


永遠「みんな、援護を頼む…僕とお兄ちゃんで

雪村の相手をする…!!」


華途葉「はぁっ!?そんなの無茶よ…!!」


永遠「もう無茶するしかないんだよ、

こんな状況になったなら…!!」


華途葉「…っ、分かった…!!」


永遠「お兄ちゃん、行くよ…!!」


ブリザード「…あぁ、しっかり着いてこいよ、

永遠…!!」


永遠「…おうよ!!」


雪村「…行くぞ!!」


ブリザード「っ…!!」


バギュウン!


雪村「っ…そんな物当弾たらんぞ…!!」


永遠「うりゃぁっ!!」


バギュンバギュンバギュン!!


ブリザード「はぁっ…!!」


バギュウン!


雪村「チッ…小癪な!!」


ブリザード「っ…大盾か、まずいな…!!」


優来「くそっ、こちらが介入する

暇もない…なんて戦いだ…!!」


華途葉「永遠もいつもはあんなんだけど、

やっぱり実力は折り紙付きね…!」


凍歌「…どこかで介入できる隙はないか…!」


雪村「今度はこっちの番よ…!!」


バギュウン!!


永遠「ふっ、この…!!」


バギュウン!


雪村「…はぁっ!!」


ブリザード「チッ…!!」


永遠「お兄ちゃん、大丈夫…!?」


ブリザード「…これくらい、どうってこと…!!」


雪村「油断してる暇はないぞ…!!」 


バギュウン!


永遠「チッ…これじゃ攻撃の隙がない…!!」


永遠「…こいつはお兄ちゃんを傷つけた…

絶対ぶっ殺してやる…!!」


永遠「…くたばり散らせやぁぁぁぁっ!!」


バギュウンバギュウンバギュウン!!


雪村「ぐ…まだまだ…!!」


永遠「死ねぇぇぇぇぇぇっ!!」


バギュウン!


雪村「何…」


雪村「…ぐっ!!」


永遠「…まだだ…!!」


雪村「…こうなったら!!」


ガシャーッ!!


永遠「何、機関銃…!!」


優来「二人とも、避けて…!!」


凍歌「…ふっ!!」


バギュウン!


雪村「チッ、何を…!!」


櫻「よし、二人とも、避けて…!!」


ブリザード「…いや、避けるまでもない!!」


永遠「…お兄ちゃん、何を…!」


ブリザード「…破邪悲のお手並み拝見と

洒落込もうか…!!」


ジャキイン!!


永遠「な…っ!!」


華途葉「ブリザード、何を…!!」


ブリザード「…こいつはとんでもねぇな…」


ガキ…ボキ…


ブリザード「ぐ…体が…割れる…」


ブリザード「…だけど、体全体から、

ありえないくらい力が沸いてきやがるよ…

こいつは凄ぇなぁ!!」


ブリザード「こんなのは…始めてだ…!!」


ジャキイン!!


ドガァァン!!


雪村「が…っ!!」


優来「斬撃の衝撃波で攻撃した…!」


永遠「…これが破邪悲の力?とんでもないな…

でも、これじゃ…!!」


ブリザード「がぁっ…ぐっ…!!」


櫻「まずい、負荷が…!!」


雪村「破邪悲は使用者のエネルギーを

刈り取る…並半端な力じゃ破邪悲を

扱うことは…」


ブリザード「が…っ、ぐ…うわぁぁっ!!」


ジャキイン!!


ドッカァァァン!


永遠「な…っ!!」


雪村「火柱だと…!?こんなものは

データに乗って…」


ビュォォォッ!!


雪村「がぁぁぁっ!!」


ブリザード「焼けて…朽ちろ…っ!!」


ジャキイン!!


ドガァァン!!


優来「やった…!?」


永遠「…いや、まだだ…避けたぞ!!」


雪村「…クソ、やはり破邪悲の力は凄まじい…

だが、そんな力を出しては体がやがて

滅する…!!」


ブリザード「が…まだ、だ…!!」


雪村「…なに?こんな力を出して

息絶えないなんて…まさかこいつ…

gmtか…!!」


ブリザード「gmtだと…?」


雪村「…こいつはまずい…これなら

どうだ…!!」


バギュウン!!


ブリザード「ふっ…」


ブリザード「はぁっ…!!」


ジャギィン!!


雪村「ぐ…早い!!」


ブリザード「うらぁっ…!!」


ジャギィ!!


雪村「ぐ…これじゃ攻撃することは

おろか避けることすら厳しいぞ…!!」


雪村「これは…もう撤退するしかないか…!?」


雪村「破邪悲にここまでの力があるなんて…」


雪村「神吹様に報告しなくては…!!」


雪村「今回は私の負けにしてやる、だが

次私が現れる頃には貴様らは事切れるだろう…!」


雪村「覚悟しておけ…その時が貴様らの

命日となるだろう…!!」


ブリザード「ぐ…待て!」


永遠「行ってしまった、また逃げられた…!」


ブリザード「ぐ…っ。」


凍歌「ブリザード…!」


ブリザード「俺は大丈夫だ…体は

痛むが…支障はない…。」


凍歌「よかった…怖かったよ…。」


飛那世「…雪村を、退けましたか…。」


飛那世「…?」


飛那世「…gmt、ですか…。」


飛那世「…これは面白くなってきましたね…?」


櫻「…ん?今誰か居た?」


華途葉「いえ…いないはずよ。」


櫻「そう…」


櫻「でも、実際拠点を一つ潰せたんだ、

成功だよ…!!」


華途葉「…飛那世が裏切ったのに成功?」


櫻「っ…そうだった。」


優来「…ほとんど予定通りにはなったけど…

こんなことになるなんて…。」


ブリザード「…。」


凍歌「それに…私達の拠点を攻められるって

言ってたし…まずいんじゃ…!」


優来「…それは大丈夫。」


華途葉「ブリザードが出撃の前にpcの前に

管理者権限のカードを置き忘れてたから

それで飛那世の権限を剥奪した…」


華途葉「これで攻められることはない…

だから、ひとまず拠点は大丈夫…。」


ブリザード「…なら大丈夫だ。」


凍歌「…ひとまず、戻ろう、そして

作戦を練り直そう…。」


優来「…飛那世も居なくなったし。」


凍歌「…それに、さっき雪村が言ってた

gmt…って何なの?」


ブリザード「…聞いたこともない、何なんだ…」


優来「これもきっと重要な情報だろう、

覚えておこうか…。」


ブリザード「…あぁ。」


櫻「…ねぇ、ブリザード…。」


ブリザード「…何です?櫻さん…」


櫻「ブリザードは飛那世が居なくなったのに

やけに冷静だけど…どうしてなの?」


櫻「…責めてるわけじゃないけど、

どうしても気になるんだ…。」


ブリザード「…もう、覚悟を決めたんです…。」


ブリザード「何が起きても絶対に動揺しないと、

じゃないと神吹には絶対に勝てない…。」


櫻「…強くなったんだね。」


ブリザード「…えぇ。」


櫻「私が出会ったときは…まだ初々し

かったんだよね…。」


櫻「…。」


ーー


…あれは、もう7年以上前のことだった。


私は、ブリザードに出会う前…普通に

暮らしてる女の子だった…。


ただ…勉強が全くと言っていいほど

できなかった、だからずっと順位はドベだった。


…そのせいで、お母さんからはずっと

怒られっぱなしでよく殴られた…


酷いときは…外に追い出されて

そのまま1日放置された…。


私はこんな自分が嫌で嫌で仕方なくて、

変わろうとした…でも、何をしても

ダメで失敗に終わった…。


…そんな時だった。


…悪魔が現れたのは。


櫻「…。」


松山「…君、元気ないけどどうしたんだ…?」


櫻「うん…もうすぐテストなんだけどね、

勉強できないんだ…」


松山「つまり、テストで良い点を取れる

自信がなくて元気がないと…?」


櫻「…うん。」


松山「…なら、これを使え。」


櫻「…これは?」


松山「これの中に答えが書いてある、

これを使えばテストで良い点が取れるぞ…」


櫻「え…いいの!?」


松山「…あぁ、好きに使え…」


櫻「…ありがとう!!」


松山「…どうも。」


松山「…ククク。」


…私は、これがカンニングだと言うことも

知らなかった…幼くて、何の知恵も

無かったから…


結論から言ってテストでは100点を取れた、

だけど…。


先生「…柿平、お前カンニングしただろう…」


櫻「…え?」


先生「隣の席の生徒からお前が答えが

書かれた紙を読んでいたとリークがあった…」


先生「…貴様のような生徒が居ることは

この学校の汚点だ…。」


先生「お前は、退学だ…!」


櫻「え…!?そ、そんな…!!」


櫻「わ、私カンニングなんて…!!」


先生「言い訳なんて聞きたくない、出ていけ!!」


櫻「っ…!!」


…意味が分からなくて私は泣きだしてしまった、

だけど理解してくれる人も居なければ

同情してくれる人も居ない…。


…私の中にあったのは、後悔だけだった…。


櫻「…うぅ…。」


ボロボロになりながら思い足取りで家へと

帰るとそこには地獄が待っていた…。


母「あなた…カンニングして

退学になったんですってね?」


櫻「…ごめんなさい…。」


母「勉強できないからカンニングなんて…

恥を知りなさい…この外道が!!」


バゴォン!!


櫻「がぁ…っ!!」


櫻「ごめんなさい…ごめんなさい…

嫌だ…ごめんなさい…!!」


母「謝って済むと思ってるの…?

アンタは私の娘じゃない…!!」


母「こんなことするためにアンタを産んだ

訳じゃないのよ…分かる!?」


母「出てけ!!」


櫻「嫌…嫌ぁっ…!!」


ボガァン!!


櫻「がばぁっ!!」


ガチャ!!


櫻「え…な、なんで…!!」


櫻「嫌…嫌、ごめんなさい…ごめんなさい…

ごめんなさい…!!」


櫻「なんで…なんで…嫌ぁ…!!」


櫻「あぁっ…ぐ…っ…うわぁぁん!!」


喉がはち切れそうな勢いで泣き叫ぶ

けれど、そのsosは誰にも届くことはない…

虚空に消えていった。


…私の心は暗闇に飲まれて、

霞んで…絶望に染まった。


閉ざされた未来への悲しみと…

深い心の傷を負って…

どうしょうもなく自暴自棄になった。


…そして、耐えきれなくて…

過ちを犯してしまった…。


…自殺しようとしてしまった。


…でも、突然と蜘蛛の糸が降りてきたの。


櫻「…お父さん…お母さん…」


櫻「…出来損ないの娘で、ごめんなさい…」


ブリザード「…待て、何をしようとしてる…!!」


櫻「…あなたは?」


ブリザード「…そんなことは今すぐに

やめるんだ…!!」


櫻「…私は、悪い子だから…今、ここで

死なないといけないの…邪魔しないでくれる?」


ブリザード「やめろ…!!」


ブリザード「どんな時でも、死ぬ理由があって

たまるか…!!」


ブリザード「死ねば…人から忘れ去られ、

そこには何も残らない…!」


ブリザード「待つのは無だけだ…」


ブリザード「…君がどんな目に会ったのかは

俺は知らない、だけど…」


ブリザード「人生は上手く行くものじゃない、

大概は失敗するんだ…」


ブリザード「…だから、人はその度心が

挫ける、それが重けりゃ死にたくもなる…」


ブリザード「だけど…」


ブリザード「…どうせ1度きりの命だ、

無駄にしちゃもったいない…!」


櫻「…でも、私はお父さんとお母さんに

恥をかかせて…!!」


ブリザード「他人の為になんか生きるな!

人生とは自分のためにある物なんだ…!!」


ブリザード「力も、知恵も…結局は

自分が何かを得るためにあるんだ!!」


ブリザード「…人の為に、なんて結局は

自分のメリットのためだけの戯言に

すぎない…!!」


ブリザード「自分のために生きるんだ…

後悔しないために…!!」


櫻「…!!」


櫻「…」


櫻「…自分のためになんて、私には

生きれないよ…」


櫻「…私は誰かに縋ってなきゃ

生きれないんだよ…」


ブリザード「…確かにそうだな、俺も

他人の為に生きたいさ…」


ブリザード「…俺が散々迷惑をかけてきて

しまった人がいるんだ…」


ブリザード「でも、その人は俺がどんなことを

しても許してくれて、今も俺の為についてきて

くれている…」


ブリザード「…俺はそんな人のために

生きていきたい…」


ブリザード「生き方なんて人それぞれなんだ、

他人がそれを決める権利はない…!」


ブリザード「君は君の生きたいように

生きるんだ…!」


櫻「…でも、私にはもう帰る場所がないんだよ…」


櫻「…やっぱり、ここで…」


ブリザード「…帰ってこい、ここに…!!」


櫻「…え?」


ブリザード「帰ってくる場所ならここにある、

俺が居る…!!」


櫻「っ…!!」


…私はブリザードの熱意に心を撃たれて…

また、生きていこうと決めた。


心がこもっていて、本気で私を救おうとして

くれたからだ…。


…こんなことは初めてだった、初めて…

私は愛情を受け取ったんだ…。


櫻「…ねぇ、君はどうして何も知らないこんな

私にここまでしてくれたの…?」


ブリザード「…何、単純なことさ…。」


ブリザード「…なんとなく、君と俺が

似てるような気がしたんだ…。」


ブリザード「…俺も悪意ある人の手によって

絶望の淵へ何度も叩き堕とされた。」


ブリザード「…でも、何度地獄へ墜ちても

俺にはついてきてくれる人が居た、きっと

君にもそんな人が必要なんだ…。」


ブリザード「…俺はそんな親切な人達のおかげで

少しは立ち直ることができた…だから次は俺が

絶望してる人に手を差し伸べたかったんだ。」


ブリザード「…自分勝手かもしれないけど、

これくらいしかできないんだ、俺には…。」


櫻「…不器用なんだね。」


ブリザード「…よく言われるよ、昔から…」


櫻「…フフッ、君なら信用できる気がするよ…」


ブリザード「…そうか?ならよかったよ…。」


櫻「…じゃあ、これからよろしくね…

君、名前は…?」


ブリザード「…俺は名前を捨てた、

ただの凡人だ…。」


ブリザード「…一応、昔のニックネームからの

流用でブリザードと呼ばれてる…。」


櫻「吹雪を冠する言葉がニックネームなんて

かっこいいじゃん…」


ブリザード「…そうかな。」


櫻「…あれ?照れてる…?」


ブリザード「…照れてない。」


櫻「あはは、面白い…」


櫻「…私は櫻…よろしく!」


ブリザード「…あぁ、よろしくな。」


…この時から、私の中に確かな希望が

注いできたような気がしたんだ…。


…そのおかげで私はこんなにも明るくなれた、

ブリザードには感謝しかないよ…。


ーー


櫻「…フフッ。」


ブリザード「…どうかしました?」


櫻「…ブリザード、出会ったときみたいに

タメ口で喋ってくれてもいいんだよ…?」


ブリザード「なっ…突然何を言い出すんだ…!」


華途葉「そうよ、場を弁えなさい…。」


櫻「あ、そうだった…ごめんなさい!」


華途葉「ハァ…世話が焼けるわね…。」


優来「…あ、もうすぐだよ…!」


櫻「…ほんとだ!さ、行こ…!」


永遠「はい!」


ブリザード「…。」


ガシャッ…


…けど、すぐに希望は薄れてしまった…


…私達が中に入って…書類の整理をしていた

時だった、突然現れた…。


ピッ…


ガシャッ!!


警察「警察だ…お前達を殺人の容疑で

牢にぶち込む!!」


永遠「な…っ!!どうして!!」


警察2「抵抗するな…銃を撃った時点で

貴様らは死刑だ…!!」


優来「クソっ…こんな所で…!!」


華途葉「そんな…管理者権限は

どうなってるの…!!」


…そうして、私達はあっと言う間に

捕らえられてしまった…。


凍歌「…こんなことになるなんて。」


優来「ありえない…!!飛那世から管理者権限は

剥奪したのに、どうして…!!」


ブリザード「…管理者権限を持ってるのは

俺と飛那世だけ…だけど他にあの扉を開ける

ことができる奴が一人いる…。」


華途葉「…まさか、私を疑うの…!?」


ブリザード「いや…華途葉がするとは思えないし

優来とのアリバイもある…。」


ブリザード「…あそこは学校の中にある

施設だ、それを言えば分かるだろう…?」


永遠「…嘘、それじゃ…!!」


ブリザード「…あぁ、一人いるよな…?」


華途葉「…そんな、あいつまで…!!」


永遠「…クソッ、僕らは武器を全部奪われた、

どうすれば…!!」


ブリザード「…深夜になったら、俺が

ここの鉄格子を歪めてそこから

脱出する…。」


ブリザード「…それまで耐えてくれ。」


華途葉「…。」


優来「…どうすれば…ここから生きて

出られるの…?武器もないのに…」


櫻「…武器ならあるよ!」


優来「…え?」


…そうだ、私はあの時から希望を

分けてもらって生きていた…

今度は私がそれを返す番だ。


櫻「じゃーん!」


華途葉「…口の中に針を隠してたの…?」


櫻「ないよりはマシでしょ?」


櫻「ブリザードが投げれば一回は

どうにかできるよ…!」


凍歌「でも、その後をどうするの…?」


櫻「これを使う前に広い所に出よう、

そうすれば傷を負うかもだけど

生きて帰れる…」


櫻「か細い希望だけど…無いわけじゃ

ないから、まだ私達は負けた訳じゃ

ないんだよ…!」


華途葉「…確かに、そうかもね…。」


櫻「…!」


華途葉「…けど、確実に生きられる

保証はあるの…?」


ブリザード「…俺が保証する。」


櫻「ブリザード…?」


ブリザード「ここに居る全員、誰一人として

死なせてなるものか…」


櫻「…やっぱりブリザードは心強いね…!」


櫻「よーっし、行けるぞ…!!」


凍歌「よし…じゃあ、深夜まで、今は

辛抱だね…。」


優来「楽しみに待ちましょう…。」


ブリザード「…あぁ!」


ーー


神野「ハァ、ハァ…!!」


神野「ちょっと…!!ブリザード達が

捕まったってどう言うこと…!!」


克己「そのまんまさ、あいつらは処刑される…

反乱分子はすぐに始末するのさ…。」


神野「そんなの聞いてない…ブリザード達の

ことは殺さないはずじゃ…!!」


克己「…そんなことは言ってない、

これは正当な行為だ…。」


神野「そんな…そんなの間違ってる!!」


神野「人の命を犠牲にした上で成り立つ

世界などあってなるものですか…!!」


克己「…この世には必要悪があるように、

必要犠牲もあるんだよ…」


神野「ふざけんな…!!」


克己「この期に及んであいつらに肩入れ

するなら神吹様に報告するから…

次からそのつもりで。」


神野「な…ちょっと!!」 


神野「…どうして。」


神野「私達は世界を救うんじゃないの…?」


神野「こんなの…ノアの方舟と一緒よ…!!」


神野「選ばれた人類だけが選別されるなんて…

狂ってるわ…!!」


神野「私が…変えないと!!」


いやー、神野もバカだよなー。


神野「…え?」


団員「いや、ほんとそれなー、俺達が

世界なんか救うわけないってのに。」


団員2「利用されてるってまだ気づいて

ないんだぜ?流石の俺でもここまでだったら

流石に気づくよ…」


神野「私は…騙された?」


団員「神吹様の狙いはあいつらの情報だけ

だってのに思い上がりすぎだよな。」


団員2「ほんとに、間抜けったらありゃしない。」


神野「…!!」


全部…嘘だった。


間違いない、こいつらは私を騙していた…!!


破邪悲が世界を救うなんて真っ平嘘…!!


じゃあ、あれは何なの…?


…私はこんな嘘に簡単に騙され、利用されて

いただけだと言うの…?


私は…ただ、世界を救いたかっただけ…

それだけなのに、どうして…


クソっ…悔しくて仕方ない、心から自分が

情けない…!!


ブリザードに幾度も助けられた、あの父親からの

支配から私を解き放ってくれた…そんな人達を

散々傷つけた結果がこれ…!?


なにやってんのよ私は…!!


…今すぐに行かないと…!!


助けるんだ、ブリザードを…!!


…私が犯した罪の償いをしなければ…!!


ーー


…私はこれまで、どれだけの罪を背負って

生きてきたか分からない…。


なぜなら私は多くの命を奪っていってしまう

中でもう数えることすら忘れてしまったから…


…私の頭の中はいつも罪悪感で

埋め尽くされていた…。


…でも、そんな渦巻く罪悪感の中から

唯一抜け出せる時間があった…。


櫻「…残ってるのは神野さんと

ブリザードだけか…!」


華途葉「…まさかババ抜きでこんなに

盛り上がるなんて思わなかった…。」


優来「…まさか、永遠が1分で抜けるなんて…」


永遠「フフフ、僕を崇め奉るがいい!」


飛那世「ババ抜きで勝ったごときで

自惚れんな。」


ベシッ


永遠「あいでっ!?」


神野「…さぁ、ババはどちらかしら…!」


ブリザード「…!」


神野「…こっち?」


ブリザード「…っし…」


神野 「それとも、こっちかしら?」


ブリザード「な…っ!?」


神野「…こっちね。」


ブリザード「っ…!!」


飛那世「…あぁ、ダメだ…。」


永遠「お兄ちゃん、弱すぎる…。」


優来「ブリザードってあんな顔に出る

タイプだったっけ…?」


ブリザード「何故…勝てないんだ。」


神野「…出直してきなさい、腕を鍛えてから…」


ブリザード「…分かった。」


ブリザード「…もう一回だ。」


永遠「ふふっ、何度でもかかってきなさい!!」


影浦「うんうん、生徒が楽しそうで先生は

嬉しいよ…。」


…こうして楽しい日々を過ごしてる間だけは

私の罪を忘れることができた…。


…本当に、楽しかったの…それは嘘じゃない。


でも…罪からは逃げられない、いつかは

神からの裁きが降りてくると理解してたから…

怖かった。


この日々を失うことが…なにより怖かった、

私の中で何よりも大切な物になっていたから。


辛い毎日の中で唯一の楽しい時間…

欲を言えばずっとそれに縋っていたかった。


…だけど、私は自らの愚かさ故に気づかぬ内に

大切な人を苦しめてしまった…また一つ

私は罪を背負ってしまった。


…どうしょうもない罪、一生かけても

贖いきれないであろう罪を…重ねていった。


私に背負うものはない…私が背負ってるのは

これまで犯してきた罪だけ…。


それに気づいた頃にはもう…大切な人を

失う手前になってしまった。


…怖い、だけど…立ち向かわなくては

いけない…。


せめて…これ以上罪を積み重ねないために…

できることをする。


…いえ、これは私一人のためではない…


…本当の目的を忘れそうになったわ。


…目的は単純で、ブリザードや皆を

助ける…これだけの理由があれば充分よね。


…神吹を…私が止めてみせる、そして…

みんなを助ける。


大切な…仲間だから。


ーー


飛那世「…。」


克己「…なぁ、飛那世。」


飛那世「…どうかしましたか?」


克己「…神野が裏切るかもしれん、気をつけろ。」


飛那世「…了解しました。」


克己「お前はあいつのことを理解している

だろう?警戒しておいてくれ…。」


飛那世「…えぇ。」


飛那世「…。」


飛那世「…始まったか。」


飛那世「さーて、私は準備をしますか…」


飛那世「ここからが本番、本当に面白く

なってくる所ですよ…。」


飛那世「さぁて…ドブネズミども…私が

叩き潰してやるから覚悟しろよ…!!」


飛那世「ハハハハハハハハハ…

フハハハハハハハハハハハァ!!」


飛那世「アハハハハハハハハハハハハ!!」


ーー


ブリザード「…さて、と…もう深夜だな。」


凍歌「うん…始めよう。」


ブリザード「ぐっ…おぉぉぉっ!!」


ガシ…ガシガシ…!!


ブリザード「よし…これで通れるぞ!」


永遠「…行くよ!」


華途葉「…えぇ!」


そして…俺達は音も無く走り去って行った…。


ブリザード「広間は…どこだ…!」


優来「やっぱり遠いな…どうすれば…!」


団員「っ…なんだ?」


ブリザード「…!!」


団員「な…!?」


ガシッ


…即座に首を掴んで…折る。


団員「が…っ!」


団員「…。」


ブリザード「…危なかったな。」


櫻「まだ針も温存してあるし…行けるよ。」


優来「…この牢屋、かなり入り組んでいて

ただで突破するのは困難だよ…」


華途葉「…これじゃ、安易に突破できない…」


団員「っ…脱獄だ!!」


ブリザード「しまった…!!」


永遠「…行くよ!」


ブリザード「ふっ…!!」


団員「な…早い…」


ガシッ


ボキ…


永遠「ふっ…!!」


ボガァッ!!


団員「が…!!」


永遠「…ふっ!!」


グチャァ…


ブリザード「ここはまだ配備が少ない、

早くここから離れるぞ…!」


優来「…えぇ!」


凍歌「…後ろからも敵が…!」


ブリザード「何…!!」


団員「ふっ!!」


バキュン


ブリザード「っ!!」


ガシッ


団員「な…こいつ、銃弾を手で掴んで…!」


ビュゥッ!!


団員「が…っ!!」


ブリザード「何もやらせるな…速攻で

殺すんだ…!!」


凍歌「うん…!」


櫻「う…りゃぁぁっ!!」


ガシィン!!


団員「がぁっ!!」


櫻「はぁ…はぁ…っ!!」


ガシン…ガシン…


永遠「ふっ…はあっ!!」


ボガァ!!


団員「が…っ!!」


櫻「よし…あと、もう少しで突破だ…!!」


優来「櫻さん、無茶しないでくださいよ!!」


櫻「分かってる…はぁっ!!」


ガシィン!


ブリザード「…こっちだ、急げ!」


華途葉「…!!」


ガチャ…!!


ブリザード「…ここが広間か!」


ブリザード「…なっ!?」


優来「ブリザード、奥に何が…」


優来「…まさか…!?」


よう…久しぶりだな、クソガキども…。


ブリザード「…警察が関わってたから

恐らく居ると思っていたが、やはりか…」


ブリザード「東…晴大…!!」


東「俺は…強い奴が大好きなんだ。」


東「弱い奴を一方的にいたぶって、

苦しめるのが大好きなんだ、分かるだろう?

お前達と一緒さ!!」


東「だから警察を支配して神吹の軍門に

下ったのさ…!!」


ブリザード「俺達は…正義の名の元に悪を

始末している…」


ブリザード「理不尽に人を殺す様な外道と

一緒にするな…!!」


東「おー、いきがいいね…やりがいが

ありそうだ…。」


東「やってみなよ、武器もないのに…

勝てるかな?この俺に…!!」


ブリザード「…いいさ、殺ってやるよ…!!」


ブリザード「うらぁっ!!」


ボガッ!!


東「チッ…クソが…」


ジャキイン…


東「ただ殺すだけじゃねえ…一人一人、

痛めつけて殺してやるよ…!!」


永遠「それはどうかな…!!」


ボガッ!!


東「チッ、多勢に無勢ってか?」


東「…うらぁっ!!」


永遠「…っ!」


ブリザード「危ない…!」


ボガッ


ブリザード「が…っ!!」


永遠「ブリザード…!!」


永遠「貴様…何を…!!」


東「庇ったか、まあいい…もう一度

殴るまでだ…!!」


永遠「お兄ちゃんを…傷つけるなぁぁぁ!!」


東「何…!!」


ボガッボガァッ!!


東「チッ…!!」


東「動きが格段に早くなっている…

何だこいつは…!!」


永遠「はぁ…っ!!」


東「はぁっ!!」


ジャギン!


永遠「チッ…危ないな。」


東「当たらないか…こうなれば!」


ブリザード「…はぁっ!!」


シュウッ


東「が…っ!?」


東「何だ…頭に刺さって…針…か…!!」


東「…でも、残念だったなァ…」


東「俺は…こんなんじゃ死なねぇんだよ…!!」


ブリザード「何…これでも倒せないのか…!?」


優来「…来るよ、避けて!」


ブリザード「チッ…!!」


東「まずは…ブリザード、お前からだ…!!」


ブリザード「ぐ…っ!!」


東「はぁっ…うらぁっ!!」


ジャギン…ジャキイン!


ブリザード「チッ…どうやって突破

すればいい…!!」


東「どうしたどうした…そんなんじゃ…

俺を殺すことなんざできはしねぇよ…!!」


東「うらぁっ!!」


ジャキイン!!


ブリザード「がぁ…っ!!」


優来「ブリザードッ!!」


櫻華途葉ブリザード…そんな!!」


東「アハハハハハ!!これで終わりか?

無様だなぁ…!!」


ブリザード「…まだだ…!!」


東「…何?」


ブリザード「こんな所で…死んでたまるかよ、

俺はここで…お前を殺さなくちゃいけないんだ…」


ブリザード「終わるのは…お前の方だ…!!」


東「しぶといやつめ…終わりにしてやろうか!?」


ブリザード「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ボガッ!!


東「ぐはぁぁぁっ!!」


東「何を…お前なんかに負けて…

たまるかぁぁぁぁっ!!」


ブリザード「はぁ…っ!!」


東「うらぁぁぁっ!!」


ボガァッ!!


ブリザード「がぁっ!!」


東「ぐはぁっ!?」


東「…まだだ、相打ちにしてでもお前を

殺してやる…!!」


ブリザード「…させるかよ、クズが…!!」


東「…もういい、どんな手を使ってでも

お前達を殺してやる…!!」


東「…行け!!」


ガチャ!!


団員「お前たちには猶予も与えん、

すぐに殺してやる…!!」


団員2「覚悟しろ…!!」


永遠「何…増援か!!」


凍歌「こいつらは私達に任せて、

ブリザードは東を…!!」


ブリザード「…分かった!!」


華途葉「…死ね!!」


ボガッ!!


団員「が…!!」


優来「うりゃぁっ!!」


ボガァッ


団員「チッ…!!」


凍歌「…うっりやぁぁっ!!」


ガッシャァァン!!


優来「ブリザード、銃を…!!」


ヒュゥッ


ガシャッ


ブリザード「ありがとう…これで対等に

戦える…!!」


東「クソ…武器を奪われたか、だが…

そんなことで俺が負けると思うな…!!」


バキュン


ブリザード「ふっ…!」


ブリザード「はぁっ!!」


バギュウン!!


東「クソッ…危ねぇ。」


ブリザード「クソ…だが、これ以上

やらせねぇよ…!!」


バギュウンバギュウンバギュウン!!


東「チッ…」


東「がぁっ…」


東「腹に当たったか…だが、俺には

防弾チョッキがある…!!」


東「残念だが、死なねぇよ…!」


バキュン!!


ブリザード「…当たるか!!」


バキュンバキュン!!


東「お前に俺は倒せない…それは既に

ずっと前から決まっていることだ!!」


バギュウン!!


ブリザード「俺の運命を決める権利は

お前にはない…俺の決定権は必ず俺にある…!

お前ごときに邪魔などさせるか!!」


バギュウン!!


東「ガキが…1貼前に話しやがってよ!!」


バキュン!!


東「俺はな…お前みたいなやつが…

大っ嫌いなんだよ…!!」


バキュンバキュンバギュウン!!


ブリザード「ふっ…!!」


ブリザード「俺も大嫌いさ、お前みたいな

クズ野郎はな…!!」


バギュウン!!


東「クソッ…!」


バキュン!


優来「…増援、全員撃破…!!」


永遠「諦めろ…貴様に勝ち目はない…!!」


東「…アハハハハハハハハハハ!!」


櫻「っ…!?」


東「俺が…そんな脅しに屈すると

思ってたのか?甘いんだよ、お前ら…!!」


東「お前らはなぁ…ここで死ぬんだよ…!!」


東「ハハハハハハハハハハハハハハハ!!」


バキュンバキュンバキュンバキュンバキュン!!


永遠「な…っ!?」


凍歌「避けて、みんな…!!」


ブリザード「野郎…ふざけやがって!!」


東「お前ら全員、黄泉の道へご案内

してやるよ…死神の俺が自らな…!!」


永遠「…させるかぁぁぁぁぁ!!」


バキュンバキュンバキュン!!


東「チッ…まだだ!!」


櫻「…今だ…っ!!」


東「な…!?」


バギュウン!!


東「…っ…!!」


櫻「この距離なら致命傷は避けられない、

私達の勝ちだよ…!!」


東「…何、勘違いしてるんだ…?」


東「俺は…死神だ。」


東「そんなもんで…死ぬかよ…っ!!」


…そして、東は大剣を俺に向かって

振りかざした…!!


ブリザード「な…っ、まずい…!!」


東「死ねぇぇぇぇぇ!!」


櫻「…危ないっ!!」


ザシュッ!!


…無情な斬撃音が辺りに鳴り響く…


優来「な…っ!!」


凍歌「…櫻さん!?」


華途葉「櫻…嘘でしょ?」


永遠「…そんな!!」


ブリザード「…櫻!!」


櫻「っ…」


櫻は、東に腕を切断されてしまった…。


ーー


バキュンバキュン!!


神野「うらぁっ!!」


バギュウン!!


団員「がぁっ!!」


団員「撃てーっ!!」


神野「遅いんだよ!!」


バギュウン!!


団員「が…っ!!」


神野「もっと奥だ…奥に行かないと…!!」


ダッ…!!


団員「飛那世さん…!!」


飛那世「…どうかしましたか?」


団員「報告です…!!神野が

反乱を起こしました…!!」


飛那世「…そうですか。」


団員「飛那世さん、指示を…!!」


飛那世「あんな奴に人員は割けない、

なるべく少人数で行かせろ…」


団員「…ですが!!」


飛那世「…分かりますね?」


団員「…了解!!」


ダッ…!


飛那世「…とうとう始まりましたか。」


飛那世「私も…やりますかね。」


飛那世「神野さん…待っていてくださいよ?

ククク…フハハハハハハハハ!!」


神野「っ…!!」


クソ、団員共がウジ虫みたいに湧いてくる…

いくらやってもキリがない!!


急げ…ブリザードや皆が手遅れになる前に!!


バギュウンバギュウン!!


神野「クソ…もっと先、急いで行かないと!!」


団員「クソがよ…あのガキどもが脱獄した

あとは神野さんの謀反かよ…!!」


バギュウン


団員「…がっ!!」


神野「何…?ブリザードやみんなも

脱獄しているの…?」


…となれば武器が奪われているから

狭い通路での戦闘はしたがらないはず、

つまり広間に向かっているはず…!!


神野「進路を変更しなくてはね…!!」


神野「…にしても、どうしてこんなことに

なってしまったのかしら…!!」


バギュウンバギュウン!!


神野「…そうだった、私のせいだったわね…!!」


神野「贖罪だのなんだのはもうこの際、

そんなことは置いておいて皆を助けることに

専念させてもらうわよ…!!」


バギュウンバギュウン!!


神野「私だって伊達にこの組織に重用

されてた訳じゃないのよ…

舐めないで…っ!!」


バキュンバキュン!!


団員「が…っ!!」


神野「…もう、私は後悔したくないの…

だから、これからも戦い続ける…!!」


神野「例えこの戦いに終わりがなかったとしても

もう私は歩みを止めない…!!」


神野「それが私の答えだから…!!」


神野「…もう私は自分の意志で動けない

マリオネットじゃない…!!」


バキュン!!


神野「荒れ狂う吹雪を乗り進み…

その先にある私達の未来へ…

ただそこを目指すだけ!!」


神野「もしそこが地獄だったとしても…もう、

私は一人じゃないから…!!」


神野「…きっとみんなはこんな私を

許してはくれないでしょう…でも、確かに

みんなが私に勇気をくれたんだ…!」


神野「…私はもう負けない…

誰にも…例えば、己の弱さにも!!」


バギュウン!!


神野「…クソ、まだ遠いわね…」


神野「…お願い、間に合ってよ…!!」


ーー


櫻「ねーねーブリザード!」


ブリザード「…何です?」


櫻「子供みたいなこと言っちゃうけど…

私が大きくなったら私のことを

お嫁さんにもらってくれない?」


ブリザード「…唐突に何を言うんです?」


櫻「いやー、ブリザードも見てたら分かると

思うけど…私って絶対一人じゃ生きれないと

思うんだよね…。」


ブリザード「それは…そうですね。」


櫻「ちょっとー!そこは否定して

ほしかったんだけどー!!」


ブリザード「…だって、櫻さんの部屋って…」


櫻「…おっとそれ以上はいけない。」


櫻「…とにかく、私は一人じゃ生きては

行けないんですよ…分かりますね?」


櫻「…なので私には助けてくれる人が

必要ってことなんですよ!」


ブリザード「…はぁ。」


櫻「…と、言うことでお願いしますね!」


ブリザード「…なんでそうなるんです?」


櫻「えー?だってブリザードは人気だし

先に予約しておかないと!」


ブリザード「…俺はホテルか何かか?」


櫻「ホテルブリザード…寒そ。」


ブリザード「…今晩のおかずは櫻さんの

炭火焼きにしましょうかね?」


櫻「だーっ!?ごっ…ごめんなさーい!!」


ブリザード「…とにかく、気が早いんですよ…」


櫻「でもさー、実際どうなのよー?」


櫻「こんないい女他じゃそうそう居ないよ?」


櫻「まぁ…胸はお察しだけどさ。」


櫻「とにかく、ブリザードにとっても

悪くはないと思うんですよ!

ダメですか?」


ブリザード「…悪いな、旨が無い人は

無理なんだ…」


櫻「おいぃぃっ!!ふざけんなよぉぉっ!!」


ブリザード「…嘘ですよ。」


櫻「…いや嘘かよ〜!!」


櫻「もう…そんなこと言ってると私、

永遠2号になるよ!?」


ブリザード「…気を確かに持って、

それだけはダメだ…あれが二人に増えると

俺の負担が…」


櫻「知るかーっ!!私の人生の生き方は

私が選ぶんじゃーっ!!」


ブリザード「…櫻さんを少し甘やかし

すぎてしまったか?」


ブリザード「…これは再教育が必要かな。」


櫻「ぶーぶー!!私の基本的人権を

保証しろー!!」


ブリザード「…9×9は?」


櫻「オレンジジュース!!」


ブリザード「…もうダメだこの人。」


櫻「そんな私をアホみたいに言うけどさー、

私こないだのテスト89点だったんだよー?」


ブリザード「…はぁっ!?」


櫻「そこでそんな驚いてほしくなかった…」


ブリザード「…だって、櫻さんがそんな

点を取れるなんて思いもしなかったんですよ…」


櫻「…私、これでも頑張ったんだよ?」


櫻「…ブリザードに教えてもらったからさ、

人生は自分のためにあるものだって…」


櫻「…だから、私は私で頑張ったんだ。」


櫻「…私って頭良くないけどさ、

努力だけはできるみたいなんだ。」


櫻「…私でも頑張れば良い点は取れるんだって

昔の私に教えてあげたいくらいだよ…。」


ブリザード「…変わることができたんですね。」


櫻「うん、おかげさまでね…。」


櫻「…ブリザードは、他人の…私達の

ために生きたいんだっけ。」


ブリザード「…あぁ。」


ブリザード「…俺は環境には恵まれなかったが

いい仲間に恵まれることができた…」


ブリザード「助けられっぱなしじゃ癪だし

俺にできることをしたいんだ…。」


ブリザード「…俺にできるかたちは少ないが

できることはしてるつもりだ。」


ブリザード「…まだ、何も返せてはいないが…

どうにかしてみたいとは思ってる。」


櫻「…何も返せてないなんて、そんなわけ

ないよ…。」


ブリザード「え…?」


櫻「私は…私達はみんなブリザードに

大切な物をもらった…希望をくれたんだ。」


櫻「確かな形でね…私が今ここにいること、

それが証拠…。」


櫻「ブリザードが助けてくれなければ私は

希望を持って生きることはできなかったし、

そもそも死んでいたかもしれない…。」


櫻「…ブリザードには感謝してもしきれない、

だから、少しは胸を張ってもいいんだよ…」


櫻「…ブリザードは確かに優しい、私も

ブリザードの優しさに助けられた…。」


櫻「…でも、それは時に自分をも傷つける

ことになるの…。」


櫻「…ブリザードはみんなに対して優しいの…

そう、異常なまでに。」


櫻「ブリザードはみんなを気にするあまり

自らの犠牲を顧みない、自分の疲れを

気にしない…。」


櫻「…ブリザードは私に言ってくれたよね?

自分のために生きるのが人生だって…。」


ブリザード「…。」


櫻「ねぇ、ブリザード…私は心配なんだよ、

ブリザードがいずれ壊れてしまわないか…」


櫻「もしブリザードが壊れてしまったら私は

絶対に後悔する、そんなの絶対やだ…!」


櫻「…ブリザードも、どうか自分のために

生きてほしいの…!」


ブリザード「…ありがとう。」


櫻「っ…!」


ブリザード「…でも、あんなことを言った手前

申し訳ないんだが…俺にはできないね。」


櫻「え…?」


ブリザード「俺ってのは、相当弱いみたいで…

臆病な所は変わってないようなんだよ。」


ブリザード「だから…人に自分のせいで迷惑が

かかることが何より怖いんだ…」


ブリザード「自分勝手な言い分だと思うが、

これが俺なんだ…。」


ブリザード「…人ってのは本質的には

変れるものじゃない。」


ブリザード「…だけど、努力すれば少しは

マシになる…。」


ブリザード「その可能性を信じてるんだ、俺は…」


櫻「…。」


ブリザード「…なんて、ダメだろうな…。」


櫻「…ううん、そんなことないよ…。」


櫻「…人には必ず弱さがある…それは

誰にでも。」


櫻「だから…一つの弱さでそんなに

へこたれることないよ。」


櫻「私なんて、弱みたっくさんあるんだから…!」


ブリザード「…フフッ。」


櫻「ちょ、な、なんで笑うの…!」


ブリザード「いえ…少し元気になったかもです。」


櫻「え…ほんと?」


ブリザード「…ありがとうございます、

櫻さん…」


櫻「いや、こちらこそ…」


櫻「あ、そういえば…」


ザシュッ…


ボトッ


櫻「っ…!!」


…長い夢を見ていたような気がする。


だけど、私は突然現実へ引き戻された…


一つの腕が体から離れるような感覚と…

感じたことないような痛みを受けた…。


櫻「っぐ…がぁぁぁあっ!?」


永遠「櫻さんっ!!」


ブリザード「…貴様ぁぁぁぁっ!!」


バキュンバキュンバキュン!!


東「チッ…!!」


何が起こったか一瞬分からなかった…だけど

それはすぐに分かった。


…私は片腕を失った、それだけのことだった…


痛烈な痛みで目が覚めた…それ以外は

分からないけど…。


ブリザード「お前だけは…ここで…

確実に…殺す!!」


東「…来いよ…化物め…!!」


東「こんな傷ごとき…痛くもねぇんだよ…っ!!」


優来「…櫻さん!!」


櫻「ぐ…っ!?」


東「死ねぇぇぇっ!!」


ジャキイン!!


ブリザード「お前の相手は俺だ!!」


東「クソが…邪魔なんだよ…!!」


ブリザード「はぁっ…!!」


ボガァッ!!


東「ぐっ…!!」


東「ハァ…ハァ…!!」


ブリザード「そろそろ限界か…?

もう終わりにしてやるよ…!」


東「まだだ…終わらねぇんだよ…!!」


ブリザード「注射器…?何を…!!」


東「とっておきの試作品さ…破邪悲の

データを遺伝子情報に組み込むのさ…!!」


ブリザード「…そんなことをしたら

死ぬぞ…!!」


東「構わないね!!俺はここでお前ら

全員ぶっ殺す、それが…俺が生まれた、

ここに居る意味だからなぁ…!!」


プスッ


東「フハハハハハハハハ…!!

アハハハハハハハハハハハハハァ!!」


凍歌「傷が…瞬く間に回復していく!!」


ブリザード「破邪悲のデータを遺伝子に

組み込むなんて…何て奴だ…!!」


東「この俺が…全部…終わらせてやるよ…!!」


東「ヒャハハハハハハハハハ!!」


バキュンバキュンバキュン!!


ブリザード「ぐっ…避けろ!!」


華途葉「チッ…こんなのアリなの!?」


優来「ブリザード、永遠…!!」


永遠「分かってる…僕達がなんとかするさ!!」


ブリザード「そっちは櫻さんを…!!」


凍歌「うん…!!」


ブリザード「…うりゃぁっ!!」


バキュン!!


東「まだだ…!!こんなんじゃ俺は終われや

しねぇ…お前らをくたばらせるまではな…!!」


ブリザード「…もう、死ね…っ!!」


バキュンバキュン!!


東「が…!!」


ブリザード「…やったか…!?」


永遠「…いや、ダメだ…」


東「が…まだ、だ…!!」


ブリザード「何だと…!?これが破邪悲の力

だとでも言うのか…!?」


東「フハハハハハハハハ…!!」


東「俺はなぁ…死神として責務を全うする

義務があるんだよ…!!」


東「だから…お前達は全員ここで

くたばるんだ…!!」


永遠「これ以上は…僕が止める!!」


バキュン!!


東「効かねぇよ…!!」


永遠「な…銃弾を受け止めた…!!」


ジャキイン!!


永遠「クソッ…どうすれば!!」


ブリザード「こんな化物…どうすりゃいい!!」


東「くたばれ…!!」


バキュン!!


ブリザード「な…っ!?」


永遠「お兄ちゃんっっっ!!」


優来「ブリザード…!?」


凍歌「なん…っ!?」


東「体を銃弾が貫通した…これじゃ

お前をすぐに…」


ブリザード「…負けて、たまるかぁぁぁ!!」 


東「な…」


バキュンバキュン!!


東「チッ…お前も破邪悲の力を…!?」


ブリザード「俺は…目的を果たすためなら

悪魔でも化物でも神にでも…

なんにでもなってやる…!!」


東「へぇ…お前もそう言うタチってことか!!」


バキュン!!


ブリザード「残念ながら…その様だ!!」


バキュウン!!


東「ハハハハハハハハハ!!もっと、

血が滾るような戦いをしようぜ…!!」


ブリザード「悪いな、俺はそんなタイプじゃ

ねぇんだ…!!」


バギュウン!!


永遠「ぐ…なんで、こんなこと…!」


永遠「これが破邪悲の力だと言うの…?」


永遠「東も…お兄ちゃんも体が再生して

行く…これじゃどうしようも…!!」


ブリザード「はぁぁっ!!」


東「うらぁぁっ!!」


バギュウン


ブリザード「がぁっ…!!」


永遠「お兄ちゃん…もうやめて…!!」


ブリザード「まだだ…こいつを殺すまで…

終われないんだ…!!」


永遠「でも…それじゃお兄ちゃんの体が…!!」


ブリザード「大丈夫だ、俺はどうやら

化物らしいからな…!!」


永遠「お兄ちゃん…!!」


ブリザード「悪いが…俺はこんな所で

終わる気はない、ここで決着をつける…!!」


東「いいねいいねぇ…!!」


東「そう言うんだよ…そうやってもっと

俺を楽しませろ…!!」


ブリザード「俺は…お前を…殺す…!!」


ブリザード「…はぁぁっ!!」


東「うらぁぁぁっ!!」


バギュウン!!


東「…がっ…!?」


ブリザード「な…!?」


華途葉「…何がどうなってる!!」


ブリザード「ぐ…何が…!?」


永遠「…いや、あれは…!!」


ーー


雪村「克己…まずいことになった!」


克己「神野は反逆、ブリザード共は

脱獄、だろ?」


雪村「東はいったい何をしてるんだ…!!」


克己「しかも松原、城所までもが死んだ、

戦力はほぼ壊滅さ…。」


雪村「ふざけるな…!!こんなこと…

許されると思ってるのか…!?」


克己「まぁ…いいじゃないか。」


克己「あいつらに充分な戦闘データは

取らせた、破邪悲は回収してるだろうから

これで破邪悲を実戦用にできる…。」


雪村「…だが、この犠牲は大きいぞ…!」


克己「大丈夫だ、こちらには充分な

使用法がある破邪悲があるんだ…

余裕だろう…。」


雪村「随分と気楽だな…」


克己「そりゃ、あんな雑魚ども俺達が

本気を出せば一捻りさ…。」


雪村「…だと、いいんだがな…。」


ガチャ!!


団員「…大変です!!」


克己「…どうした!」


団員「…奴らの所持品を全て確認したのですが…」


団員「…破邪悲が、ありません…!!」


克己「…何だと!?」


雪村「それは本当なの…!?」


団員「えぇ…周辺も探し回りましたが、

破邪悲はどこにも…!!」


克己「…ふざけるな!!」 


雪村「それ、見たことか…」


克己「クソが…舐めやがって、

ガキ風情が…!!」


飛那世「…皆さん、どうしたのですか?」


克己「…破邪悲が、奴らの所持品の中に

無かった…!!」


飛那世「破邪悲が…ですか?」


雪村「ありえない…どんなことをしたのよ、

奴らは…!!」


飛那世「…ありえない話です、破邪悲が

無くなるなんて…」


飛那世「どこかに隠した…とかでも

ないんでしょう?」


雪村「えぇ…どこかに隠されているはずよ…!」


飛那世「…私も、探してきますよ…。」


克己「…あぁ、頼む…。」


飛那世「…。」


克己「最優先は破邪悲だ、破邪悲を

回収しないことには始まらない…急げ、

私達も探しに行くぞ…!!」


雪村「…えぇ。」


雪村「…にしても、本当に妙ね…」


雪村「あんな大剣、隠すのには時間が

かかるだろうし…誰かが持っているとか?」


雪村「…いや、それはありえない…。」


雪村「…なら、どうして…。」


ーー


神野「…もう、もうすぐよ…!!」


バギュウン!!


神野「クソ…あともう少しなのに、なんで

こんなに敵がいるのよ…!!」


神野「邪魔しないでよ…私のことを…!!」


バギュウン!!


神野「ブリザード…待っていて、

今すぐに助けるから…!!」


バギュンバギュン


神野「私は…私のやり方でブリザードを

助ける…!!」


神野「…たとえどんなことをしてでも

構わない、なぜなら私の手はもうすでに

穢れているから…!!」


神野「もう、私を止めることは誰にも

できない…!!」


神野「ブリザードを助けるんだ…!」


神野「…なんとしてでも…!!」


ーー


…それは、私が真冬の会に入った

ばかりのことだった…。


…この頃は今より殺しもできなくて…

覚悟も無かったの。


…この時は大型の依頼が入って、永遠や

飛那世も含めた全員で行くことになったの…。


ブリザード「…はぁっ!!」


バギュウン!


飛那世「…うりゃぁっ!!」


バギュウン!!


永遠「そこ…っ!」


バギュン!


ブリザード「…敵はあと…20もないな!!」


優来「油断しないで、敵の戦力があと

どれくらいいるか分からないから…!」


神野「分かってる…!!」


バギュンバギュン!!


ブリザード「神野さん、突っ走りすぎだ…!」


神野(みんなの足を引っ張っちゃいけない…

償いをするんだ…私は…償いをしなくては…!!)


神野「…うらぁっ!!」


ブリザード「神野さん…!!」


華途葉「…!!まずい、奥から敵が来てる…!

しかも、50以上…!!」


永遠「そんな…神野さん、逃げて…!!」


神野「ダメだ…私が…殺さないと…!」


櫻「神野さん…!」


バギュンバギュン!!


優来「ダメ…敵が多すぎる、神野さん、

引いて…!!」


神野「ハァ…ハァ…うわぁぁぁっ!!」


ブリザード「…っ、クソ…!!」


バギュンバギュン!!


敵兵「がっ…!!」


ブリザード「こっちだ…!!」


優来「ブリザード…!!何を!!」


飛那世「あーもう…みんな無茶するんだから…」


ブリザード「うりゃぁっ!!」


バギュウン!!


敵兵「がぁ…!?」


神野「ぐっ…クソ…!」


敵兵「…そこだ!!」


バギュン


神野「な…!?」


永遠「なっ…!?」


櫻「神野さん!!」


ブリザード「危ない…!!」


神野「っ…!?」


ブジャッ…


神野「…ブリザード!!」


ブリザード「ぐ…うぉぉぉっ!」


バギュンバギュンバギュン!!


敵兵「が…!?」


敵兵「ぐっ…」


バタッ…


神野「ブリザード…!!」


ブリザード「…馬鹿野郎…!!」


神野「っ…!?」


ブリザード「あんな所で突っ込んで

死ぬ気か…!?どうして…!!」


神野「…ごめんなさい、私…。」


ブリザード「…神野さんには仲間が居るんだ、

もっと俺達の事を頼ってくれ…。」


ブリザード「…そうじゃないと俺達がここに

いる意味がないからな…。」


ブリザード「…神野さんは一人でやってる

訳じゃない…だから、もうこんなことは

しないでくれ…。」


神野「…分かった。」


神野「…ねぇ、怪我は大丈夫なの…?」


ブリザード「…あぁ、急所は外れてる、

まだ戦えるさ。」


神野「…私なんかのために…ごめんなさい。」


ブリザード「…いいのさ、これくらいは…

俺達は仲間だからな。」


ブリザード「…ただ、一つ貸しだからな…。」


神野「…えぇ。」


優来「…そうと決まれば、ボスの部屋まで

行こうか…。」


ブリザード「…あぁ。」


…ブリザードは、得体も知れないこんな

私のことを仲間としてくれて扱ってくれた…


…いえ、ブリザードだけじゃない、みんなが

私を仲間だと思ってくれて、優しく

接してくれた…。


どんなことがあっても決して私のことを

見放したりしなかった…。


居場所も何も無かった私にとってそれは

何より嬉しいことだった…だからこそ…

みんなを裏切りたくなかった。


…でも、結局事態は最悪な方向へ

向かうことになってしまった…。


…こうなったのには私の責任もある、

だからしっかりと落とし前をつけるんだ…


…私は何もできない訳じゃない、力がある…

大切な物を守るための力が…。


…その為の力を得るために、ここまでずっと

頑張ってきた…そして、今がその力を

使うとき…。


神野「…はぁっ!!」


バキュン!!


もう少し…ほんとうにあともう少しなの、

お願いだから間に合って…!!


達也「待て…神野!!」


神野「チッ、夜崎達也…!!」


達也「ここでお前を止めてやる、

覚悟しろよ、この裏切り者が…!!」


神野「邪魔よ、ウスノロが…!!」


バキュン!!


達也「クソ…待ちやがれ!!」


バキュウン!!


神野「…もう、私はアンタらみたいな

外道には従わない…!!」


神野「私は正義の名の元に悪を討ち滅ぼす、

それが私の役目…!!」


バキュンバキュン


達也「ハッ、随分とご立派なことじゃねぇか、

けどな…俺達はお前らみたいな偽善者が

大っ嫌いなんだよ…!!」


バキュウン!!


神野「アンタらみたいな平気で人を

貶めるような外道にそんなことは

言われたくもないわね…!!」


バキュウン!!


達也「がっ…!!」


達也「クソ…ここまでか…覚えてろ!!」


神野「…!!」


神野「先を急がなくては…今頃どうなってるか!」


ダッ…!!


神野「っ…広間は…あそこみたいね!!」


神野「…っ!!」


ガチャガチャ…


神野「開かない…そうか、権限がないと

ロックが解除ができない…権限を

奪われたか、クソッ…!!」


神野「どうすれば…あと、もう少しだと

言うのに…!!」


神野「ハァッ、ハァッ…クソッ…

開きなさいよ…!!」


ガチャガチャ…!!


神野「クソッ、もう目の前に来ているのに…

なんで…!!」


…だけど、その時突然扉が開いたの…


神野「…え?」


何が起きたかは分からない…だけど、

頭より先に体が動き始めていた…。


…今なら…行ける…!!


ーー


飛那世「…さて、と…。」


飛那世「…へぇ、これがgmtの詳細か…。」


飛那世「…なるほどね。」


飛那世「…ほう…だから、先輩はあんな

化物みたいな力を使うことができたのか…。」


飛那世「…何?こいつがgmtの研究者だと…?」


飛那世「どう言うことだ…こいつ、まさか

研究者だったのか…。」


飛那世「…こいつの資料がまだある…

持っていくか。」


飛那世「…何?これは…」


飛那世「…は?待て、どう言うことだ…!?」


飛那世「こいつは…なんで、こいつが

ここに居るんだよ…!!」


飛那世「…ありえない、どうなってる…」


飛那世「…これは?」


飛那世「っ…!?」


飛那世「…何だと…!?」


飛那世「これが本当ならあいつは…

まさか…!!」


飛那世「いや…こんな研究…本当に

成功したのか…!?」


飛那世「…意味が分からん、どうなってる…」


飛那世「これは…もっと調べなくては…。」


雪村「飛那世、何してる?」


飛那世「…少し、資料を見ていた。」


雪村「…そうか、我々はもう次の場所へ

向かう、飛那世も来い…。」


飛那世「…分かった。」


飛那世「…中々面白いことになりそうだが…」


飛那世「だが、これは予想外だった…

こんなこと、分からなかった…。」


飛那世「…そして、いつからあいつは

この組織に居たんだ?」


飛那世「…次の場所は…。」


飛那世「おい、こんな場所に行くってのかよ…」


飛那世「何がしたいんだ?あいつは…。」


ーー


…俺は…深い海の中で目覚める…


長い夢だ…長いこと…夢を見ていたような

気がするんだ…


いい夢だったか…悪い夢だったかは

分からない…だけど…


その中で俺は、誰かと戦っていた…


あそこにいるのは…華途葉に優来…永遠に

凍歌…櫻さんもいる…。


…俺は一人で戦っている訳ではないのか…


…あそこに居るのは、飛那世か…?


…なぜ、俺は飛那世と戦っている…?


…分からない、気味の悪い夢だ…。


…結局、どうなっても戦いからは

逃れられないとでも言いたいのか…?


…俺は…ここまでずっと戦い続けた、

だけど…それはいつかの平穏を得るため。


戦い続ける運命なんて真っ平ごめんだ…


…そうだ…ふざけるな、俺は…今も戦うために

戦っている訳じゃない…。


平穏を、取り戻したいんだ…この手で、

失った未来を…取り戻すんだ…!!


ブリザード「そうだ…俺は、みんなと

同じ未来を歩みたいんだ…!!」


ブリザード「誰にも邪魔されてなるものか…!

俺は…絶対に、未来を…この手で…!!」


???「…そうさ、その通りだ…」


ブリザード「…お前は?」


???「俺は…ずっと、永い間闇を

彷徨ってた、でもお前に会うことができた…。」


ブリザード「…教えてくれ、アンタは…!?」


???「…俺が知るお前は、どんなことが

あってもめげずに皆と共に戦い続けていた…」


???「どんな危機があろうとも諦めずに

立ち向かってみせた…。」


???「全ては、穏やかな未来を掴みとるため…」


???「…今も、その為にお前は戦い

続けているんだろう…?」


ブリザード「…あぁ、俺は…!!」


ブリザード「みんなを助けるんだ…!!」


ブリザード「ぐ…がぁぁっ!!」


ブリザード「ぐっ…!頭が…どうして!!」


???「破邪悲の副作用さ、お前は今

生命の淵に居る…。」


ブリザード「な…そんな…!!」


???「でも、まだ症状が重篤化してる

訳じゃない…」


???「お前がここから出ようと

思いさえすればここからは出られるさ…。」


???「生きたいだろ?行けよ…

お前にはその権利があるんだ。」


ブリザード「…なぁ、アンタのことはとても

じゃないが他人とは思えない…アンタは

何者なんだ…!?」


???「…俺か?…そうだな。」


???「…ここは、"ユウキ"とでも

名乗っておこうか…。」


???「…それより、そろそろ出ないと

ヤバイぞ…、みんなが待ってる、行きな…。」


ブリザード「…あぁ、すまない…。」


???「…いいんだ、こちらこそ、

久しぶりに人と話せたよ…。」


ブリザード「…じゃあな。」


???「…あぁ、またな…。」


???「…。」


???「上手くやれよ、お前は…」


ブリザード「…。」


破邪悲の副作用が、まさかここまでの

レベルになってくるなんて…これからは

警戒しないと…。


破邪悲がなくてはここから先の戦いに

勝てないだろう…、俺も慣れなくては。


…にしても、奴はいったい…?ユウキとか

名乗っていたが俺はあいつに初めて会った

気がしない…強い既視感を感じるんだ。


…分からない、こんなこと初めてだ…。


…だが、もう行かなくてはな…。


…みんなが待ってる、それに、

東を殺さなくてはいけない…


あいつは、きっと俺にしか殺すことが

できないだろう…だから、俺が

始末する…。


…なんだ、光が…


っ…来るぞ…っ!!


ブリザード「っ…!!」


優来「ブリザード…大丈夫!?」


ブリザード「…あぁ、俺は大丈夫だ…!」


永遠「まさか…破邪悲の副作用か?

こんなことになるなんて…」


…俺はやはり倒れていたのか、

にしても…どうなってる。


東「チッ…何故だ…!!」


…ふぅ、間に合った…?


っ…櫻さんの腕が一つ無くなってる…!?


永遠「…神野さん…?」


神野「…遅かったか…クソ…!!」


ブリザード「…なぜ、ここに…!?」


神野「…何、昔の仮を返しに来た

だけよ…。」


神野「…私は、私を利用するためだけに

騙したこいつらを絶対に許さない…。」


神野「だから…ここで…終わらせる。」


神野「死んでもらうわ…東…!」


東「クソが…どうしてこいつが…!!」


神野「私は…こいつを倒す…。」


神野「ブリザード…もう一度力を貸して!」


ブリザード「…あぁ、言われなくとも…!」


…神野さんが、またここへ戻ってきたのか…


…やはりあいつらは最初から神野さんのことを

騙していたんだな…。


…神野さんはやはり正しい選択を選んだ…

こんなことをする人ではなかった…!


永遠「何がなんだか分からないけど、

神野さんが味方に戻ったってことだよね、

やったー!」


優来「これなら…きっと東も倒せるはず…!」


凍歌「…みんな、今度こそ…東を

仕留めるよ…!」


東「ガキ共が、舐めやがって…

俺は…死神だぞ…こんな所で負けるわけが

ないだろうが…!!」


ブリザード「…東、俺が…いや、俺達が…

お前に引導を渡す…。」


ブリザード「弱くても…人は合わさることで

どんな者にも立ち向かうことができる…」


ブリザード「人は今までも…そうやって

生きてきたんだ…」


ブリザード「俺は…この手で数え切れないほど

人を殺してきた、だがそれも全て

この時…この先の未来のため。」


ブリザード「貴様も…俺達の未来のために…

死ね!」


神野「…私は、みんなに償いをする。」


神野「私はこの手では贖いきれない

罪を背負った、だけど私には

すべきことがある…。」


神野「それは…途方もないこと、でも…

叶えてみせたい。」


神野「それは、自分のためとかじゃなくて…

大切な人達のため。」


神野「私は…生きることを諦めない。」


神野「誰一人として、死なせる気はない…!」


神野「例え私に帰る場所などなくても

関係ない…」


神野「…なんとしてでも…この思いだけは

成し遂げてみせる…!」


神野「私は…もう、何にも負けない…!」


東「ハァ…ハァ…」


東「俺は、お前らの踏み台にはならねぇ…」


東「ここで全員ぶっ殺してやるよ…

今までもそうしてきた…それが

俺だからな!!」


東「今回も…叩き潰してやるよ…!!」


ブリザード「みんな…来るぞ!」


華途葉「っ!!」


永遠「来い…東!!」


優来「…!!」


凍歌「みんな、頼んだよ…」


神野「…行くよ。」


そうして…また、戦いは始まる…。


next…

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