第4話


プルルルル…


祐奈「…もしもし?いやー、アンタのおかげで

あいつらの居場所が分かってすぐに

行けたよ…。」


祐奈「…まさか、克己がやられるなんて

予想外だったけど…。」


祐奈「雪野がこっちに戻ってきた今、アンタには

真冬の会の任務状況を流してもらう必要があるわ。」


祐奈「…え?なんで今回現場に居たのに

出なかったのか…って?」


祐奈「簡単な話だよ、神吹様からの指示で

雪野が何かやらかしたときのために待機しろ

って言われてたの。」


祐奈「そう…神吹様の方針では海辺は

最初っから死ぬ前提だったってこと。」


祐奈「仕方ないよ、だってSUNSINEは強さこそが

全て、弱者に存在価値はないもの…。」


祐奈「…それに、アンタだってどうせ

作戦通りなら雪野に手出しできないものね。」


祐奈「アンタがいくら強くて神吹様からも

目をかけられてるからって、任務に背くのは

ダメだからね…。」


祐奈「…じゃ、私はそろそろ切る。」


祐奈「そっちも頼むよ。」


ピッ…


祐奈「…さて、今回は私も出させてもらう…」


祐奈「タダで済むと思うなよ?この

馬鹿のクソガキどもが…。」


ーー


永遠「…ハァ、最悪だよ…まさか、神野さんが

僕達を裏切ってたなんて…」


飛那世「…先輩は、神野さんから何か得た

情報はありますか?」


ブリザード「あぁ…奴らが今やろうとしてる

計画に破邪悲と呼ばれている物を

重要としているらしい…。」


凍歌「破邪悲…?って一体何なの?」


華途葉「…それがある場所はもう分かってる?」


ブリザード「あぁ…エビルプラントの基地の

中にあるらしい。」


優来「じゃあ、そこを落とせば…」


ブリザード「…いや、一つ問題があって…」


ブリザード「そこの元締めがどうやら天原

らしいんだ…。」


優来「天原が…?」


永遠「…そんなの聞いたことないけど、

強いの…?」


飛那世「天原は神吹の幹部で精力的に動くことは

少ないけど実力者だよ…」


永遠「はえー…いきなりそんなやつと

やり合わなきゃなのか…」


ブリザード「…いいか、ここからはもう

神吹との直接対決だ…。」


ブリザード「もう、何が起きてもおかしくない。」


ブリザード「心してくれ…命の保証はない。」


華途葉「…。」


飛那世「…それじゃ、櫻さんの所にでも

行きますか。」


優来「…うん。」


ーー


ブリザード「…。」


櫻さんは、神野さんが裏切り者だと

最初から分かっていた…。


…こうなることも、もしかしたら

分かっていたのか…?


飛那世「…櫻さん。」


ガチャ


櫻「お帰り、どうだった?」


華途葉「…神野が裏切って、離脱した。」


櫻「…そっか。」


櫻「あー、ダメだったか…」


永遠「え…?知ってたの?」


櫻「うん、病室に来たときのブリザードの目線で

なんとなく分かっちゃった。」


優来「…そうだったんですか。」


櫻「…こうなるとは思ってなかったから、

残念だったけど…仕方ないよね。」


櫻「…神野さんには多分、何かしらの

事情があったんでしょ…?」


ブリザード「…あぁ。」


そして、神野さんが裏切った経緯、

神野さんの過去、そして神野さんが破邪悲を

使って世界を救おうとしてることを話した…


永遠「…お兄ちゃんが言ってた破邪悲に

そんな力があったんだ…」


ブリザード「…まだ、確定した訳ではないが、

それは行けばわかる…」


凍歌「神野さんとまさか会ったことが

あるなんて…気づかなかったよ。」


華途葉「…あいつが何考えてるか分からない、

だけど次会った時には奴の望み通り始末

してやりましょう…。」


櫻「待って、それは時期尚早だと思うよ…」


華途葉「…なぜ?」


櫻「まだ、彼女の真意を聞いてないし…」


華途葉「…ブリザードに話したことが

真意なんじゃないの?」


櫻「…まだ、彼女はブリザードに対しての

本当の気持ちを話してないんじゃないかって

思うの…。」


優来「本当の気持ち…?」


櫻「うん…その話を聞いてると、ブリザード

のことをどう思ってるかは言ってなかったっ

ぽいから、そこさえ分かれば…」


華途葉「…それでどうにかなるの?」


櫻「…分からない、ただやってみても

いいんじゃないかな…?」


凍歌「…でも、そんなことできるかな…?」


櫻「…神野さんが現れるまでは分からない、

でもやらないことにはこちらが不利に

なるだけだよ…」


ブリザード「…だったら、次神野さんが

出てきたときに何かしら試してみよう。」


櫻「…そう言えば、私の方はもう

明日から戦線に戻れそう。」


飛那世「…そうですか、それはよかったです。」


優来「…予定通りに退院できそうなんですね。」


櫻「うん…心配かけてごめんね、でも

もう問題ないから…」


永遠「ただ…神野さんが抜けるのは

やっぱり戦力的にも心細いな…」


華途葉「…それに、本拠地が割れている

可能性が高いんじゃない…?」


ブリザード「…それに関しては一つ、

考えたことがある…。」


ーー


凍歌「ここは…なんの部屋なの?」


永遠「…この学校に、こんな部屋があったんだ…」


ブリザード「…あぁ、この部屋はある程度

広いがしばらく誰も使ってないから

知ってる人も少ない…」


ブリザード「影浦を通してこの部屋の

使用許可も得ている、いざとなった時は

この部屋を使えばいい…。」


櫻「元の場所も地下だからセキュリティは

問題ないと思うけど、いざとなったら

ここを使おう…。」


優来「…じゃあ、後はエビルプラントに行って

破邪悲を持っていくだけ…?」


ブリザード「あぁ…。」


櫻「でも、今日はみんな疲れてるだろうし

明日にしよう…。」


永遠「うん、それじゃあきょうは解散?」


優来「うん…もう、時間も遅いし

そうしようか…。」


凍歌「じゃ、みんなまた明日ね…。」


永遠「はーい!」


華途葉「…。」


やっぱり、全部私が思った通りだった…。


裏切り者がいた…その事実をみんな理解してた

はずなのに、目を背けていた…私だけが

その事実と向き合うことができたんだ…。


情なんて物に縛られるから、目の前にある

現実に立ち向かうこともできなかったんだ…


けど…私は違う、私だけが現実と

向き合うことができた、私だけが…


…きっと、ブリザードも褒めてくれるよね…?


ーー


ブリザード「…。」


華途葉「…ねぇ、ブリザード、

一緒に帰ってもいいかな…?」


ブリザード「…あぁ、構わない…。」


華途葉「…ありがとう。」


華途葉「…ねぇ、さっきはいきなり

殴ったりしてごめん…。」


ブリザード「…構わないさ。」


華途葉「…ありがとう。」


ブリザード「…それに、結局のところ

正しかったのは華途葉だしな…」


華途葉「…私は、ただ目の前にあった

現実を見てただけ…。」


華途葉「私は情なんて物には縛られない…

私は、目の前の大切な人一人だけを

守ることができればそれでいいから…。」


ブリザード「…難しい問題だ、一人を

選ぶかそれ以外の全員を選ぶかは…」


ブリザード「一人を選べば、それ以外の全員の

信用を裏切ることになる、だけどそれ以外の全員

を選べばその一人は一生苦しみ続ける…」


ブリザード「…耐えられなかったんだ、

一人になる…孤独の苦しみを知っていたから、

そんな痛みを味あわせたくなかった…」


ブリザード「それに…もしかしたら

神野さんのことをこっちに引き込めるかも

しれないって、信じてたんだ…」


ブリザード「…俺には、あの人が悪い人には

見えなかったから…。」


華途葉「…ブリザードは優しいんだね。」


華途葉「…でも、戦いにおいてはブリザードの

その優しさは時に命取りになる…。」


華途葉「それだけはどうか分かって欲しい…。」


華途葉「この世界は外道だけが上に行く、

勝ち上がるように出来ているから…。」


ブリザード「…それは、分かってるさ…。」


ブリザード「だけど…俺は。」


ブリザード「…。」


華途葉「ブリザード…?」


ブリザード「…何でもない。」


ブリザード「じゃあ、俺はこっちだから…」


華途葉「うん、またね…。」


華途葉「…。」


…私は、何も信じない…

たとえそれが何であっても。


でも…あの人だけは、ブリザードのこと

だけは…素直に信じることが、少しだけだけど

できる…。


…確かに覚えてる、あの時のことは

今でも忘れはしない…。


ーー


華途葉「…」


華途葉「今日も、痣できちゃった…」


華途葉「…靴、隠されてる…

裸足で帰るしかないか。」


私は昔、中性的な顔立ちを馬鹿にされて、

いじめを受けていた…


この日々は散々で、日常的に暴力を

振るわれていた… 


学校には行きたくなかったけど…

親が学校に行かないことを許さなくて、

結局行くしかなかったの…。


そして…その日も、学校でいじめを

受けていたの…


華途葉「がはっ!!」


子供「能無しが、お前なんか消えちまえ…!」


ボガァッ!!


華途葉「がぁぁっ!!」


ドガッ!


華途葉「ぐ…っ、頭が…!!」


頭を打って、血が出ていた…死んでも

おかしくなかったと思う。


だけど…その時現れた…


???「…大丈夫かい、こっちへ…!」


華途葉「え…!?」


その人に連れられて、いじめっ子から

逃げることに成功した…。


だけど、これが後に悲劇に繋がることになるの…


???「俺は松山…松山耀輝、君は…?」


華途葉「私は…華途葉。」


松山「…君、いじめを受けてるんだろ…?」


華途葉「え…?」


松山「…辛いよな…よく分かるよ。」


松山「…俺は、君を悪質ないじめから

救う手段を持ってる…」


華途葉「え…?」


松山「辛いんだろ?もう嫌なんだろ?

あんないじめを受け続けるなんて…。」


華途葉「…うん。」


松山「…じゃあ、今から俺が指示した

場所に行ってくれ…そこに君をいじめから

助ける手段がある。」


華途葉「…ありがとう。」


松山「…礼には及ばないさ、フフフ…」


華途葉「…。」


…その時はこれで本当に救われるんだと

思ってた…。


…だけど、そこに待っていたのは地獄だった。


華途葉「…え?」


子供「よう、クソ女が…」


子供2「よくもまあ、こんなことを

しでかしてくれたな…?」


そこに居たのは私をいじめていた人達で、

気づけば私は取り囲まれていた。


華途葉「…え、何…?なんなの…」


子供「お前が俺らのあることないこと大人に

吹き込んでるって、あの松山とか言う人が

俺達に教えてくれたよ。」


華途葉「は…!?」


その時、私は松山に嵌められたことを確信し、

そして深い絶望の底へ叩き込まれた…。


子供「お前見てえなクズは絶対に許しちゃ

おけねぇ…。」


華途葉「ちょ…ちょっと待ってよ、

わ、私はそんなこと言って…!!」


子供「お前ら…やっちまえ…!!」


ガシィッ


華途葉「ちょ、ちょっと待って…」


ボガァッ!!


華途葉「が…ぐ…っ!?」


ボガッボガァッボガァッ!!


華途葉「が…ぐ…あぁっ…」


蹴られ、殴られて私は容赦なく

袋叩きにされた…。


体の至る所が悲鳴をあげて、痛みで

何もかもが吹き飛びそうになった。


けど、そんな時に彼は私の前に

初めて現れた。


ブリザード「…!?お前ら何をしている…!!」


子供「何だお前?この辺りじゃ見ない顔だな、

俺らの邪魔をするのか…?」


ブリザード「お前ら…そんなよってたかって

女の子をいじめて、恥ずかしくないのか…!!」


華途葉「…え。」


子供「女の子…?ギャハハハハ!こいつ

女だったのかよ!!ギャハハハハ!!」


ブリザード「貴様ら…許さんぞ、この

人の道を外れた外道どもめ…!!」


ブリザード「死ね…っ!!」


バギィッ!!


子供「が…ぁっ!?」


子供2「っ…何だ!?」 


ガシッ


子供2「っ、なんだ…」


ガシッ


ブリザード「…感謝しろ、この俺がこの手で

貴様に地獄への片道切符を手配してやる。」


ボギィッ!!


ガシャァァッ!!


子供3「な…なんだこいつ、

に、逃げろぉぉっ!!?」


うわぁぁぁぁっ!?


ブリザード「…っ!」


ブリザード「大丈夫か…!」


華途葉「触らないで!!」


バシイッ!


私は…ブリザードの手を振りほどいてしまった。


私は初めて女の子として扱われた…それが

嬉しかった、だけどあいつに裏切られてこんな

目に合わされたのが強くトラウマとして残った…


そのせいで目の前のブリザードのことすら

信用できなかったの…。


ブリザード「っ…!!」


ブリザード「ご、ごめん…。」


華途葉「あなたもどうせ私のことを裏切って

こんなふうに嵌めるんでしょ…?」


ブリザード「…教えてくれ、何があった?」


華途葉「松山とか言う男にここに連れて

こられて、そしたら私をいじめてた奴らに

理不尽に殴られたの…」


華途葉「…なんでも、私に悪評を

流されたとかで、そんなことしてないのに…。」


ブリザード「松山…松山曜輝か!」


華途葉「…えぇ、そうよ。」


ブリザード「…まさか、こんな所にまで神吹の

手が回ってるなんて…。」


華途葉「…神吹?って何?」


ブリザード「…子供を不幸に陥れることで莫大な

利益を得る、悪魔の組織だ。」


華途葉「…そんな奴らの標的に私が選ばれた

と言うの…?」


ブリザード「…あぁ、残念だが。」


華途葉「…ふざけんな!」


ブリザード「お、おい…まだ話は終わって…」


優来「…ブリザード!」


ブリザード「優来…!」


優来「探したんだよ、何処にもいなかったから…」


優来「ここで、何かあったの…?」


ブリザード「松山が、近くにいる…。」


優来「な…っ!?」


優来「それは、本当なの…!?」


ブリザード「あぁ、さっきまで松山のせいで

女の子がリンチにされていた…それを見たんだ。」


優来「そんな…その子は?」


ブリザード「もう行ってしまった…まだ全部

伝えていないのに…奴の、奴らのやり方を…」


優来「そんな…じゃあ、その子は…」


ブリザード「…多分、あの子の親はもう神吹に

やられている可能性が高い…。」


優来「その子のこと、助けに行こう…!」


ブリザード「…そうしたいのはそうだが、

飛那世が何と言うか…」


優来「…なんとか納得させるしかないよ。」


ブリザード「…そうだな。」


ーー


華途葉「…。」


私は…もう何も信じたくなかった…。


もう…答えは目の前にあったと言うのに…

私はその事実から逃げて…目を背けていた。


…その先にある答えすら知らずに。


華途葉「…ただいま。」


華途葉「…あれ?電気ついてないけど…

誰も居ないの…?」


華途葉「…なっ!?」


そこで、わたしは信じられない…いや、

信じたくない物を目にした…。


父「…。」


華途葉「ねぇ…嘘でしょ、そんな…

こんな所で死ぬなんて…!」


ここで私は、神吹がどれだけ恐ろしい物なのか、

自らの親の死を持って理解することとなった…。


私の親はとてもじゃないけどいい親とは

呼べなかった、私を縛り付け、勝手に

理不尽なことを押し付けた…


だけど…それでも、私にとっては唯一の

親であることに変わりはなかった…。


母「…。」


華途葉「そんな…どうして…!!」


華途葉「…っ!!」


…そんな感傷に浸る暇もなかった。


なぜなら、奴はまだそこに居たから…


松山「…何だよ、もう戻って来やがったのか…」


華途葉「どうして…どうしてこんな

むごいことをした…!!」


松山「…ハァ、そんなの、仕事だからに

決まってんだろ…?」


松山「でもな…楽しいんだよ、やりがいを

感じるって言うか…」


松山「お前みたいなガキを理不尽に

苦しめると…苦しめただけそれ相応の

快楽を感じるんだよ…。」


華途葉「な…っ!?」


松山の言葉で、背筋が凍りつくような…

そんな感覚と強い恐怖を感じた…。


こいつらは本当に悪魔だったんだと…

この時、確信した…。


華途葉「殺される…逃げなきゃ…!!」


松山「おいおい…そんなに逃げられちゃ

困るんだよ…」


松山「上からお前を殺すよう口酸っぱく

言われてんだからさぁ…」


ダッ…!


華途葉「はぁっ…はぁっ…!!」


松山「さぁて…どこに行ったかな…?」


松山「ま、どこに行こうと殺してやることに

変わりはないんだけどさぁ…」


華途葉「嫌だ…嫌だ…!!」


一心不乱に走った、捕まればすぐ

殺されてしまうから…


華途葉「早く、逃げないと…!」


ブリザード「こっちだ…!」


華途葉「っ…!!」


華途葉「で、ても…」


ブリザード「いいから早く…!!

松山に殺されるぞ!!」


華途葉「…!!」


ガシッ


ブリザード「逃げるぞ…こっちだ!」


こうして…私は、ブリザードの助けによって

なんとか松山から逃げ切ることに成功した。


華途葉「…ここは?」


ブリザード「俺達がいつも使っている拠点だ…」


優来「ブリザード…よかった、

助けられたんだね…!」


ブリザード「あぁ、なんとかな…」


ブリザード「…だが、もしかしたら松山が

ここに来るかもしれない、また拠点を

移動しよう…。」


また移動するんですか?この間移動した

ばかりなのに…


ブリザード「…飛那世。」


飛那世「そんな余計に助けるから

こうなるんですよ、そいつを助けなきゃここらの

調査も進んだのに…」


ブリザード「だがな、助けなきゃこいつは

確実に死んでたんだぞ…」


飛那世「別に良かったんじゃないですか?

助けなくても…。」


優来「飛那世…!!」


華途葉「いいよ…別に。」


ブリザード「何を言ってる…」


華途葉「私の価値なんて、所詮そんな

物だしさ…。」


優来「そ、そんなこと…」


華途葉「…でも、私にはもう帰る場所がない…」


華途葉「…どこにも、帰れない…」


華途葉「あそこで死ねればこんな惨めに

なることもなかったのに…」


ブリザード「…今日会ったばかりの俺が

言えたことじゃないし、こんなことを

言うのは柄じゃないが…」


ブリザード「…居場所が無くなったからって

存在価値が無くなる訳じゃない…。」


ブリザード「居場所や価値を見出すことが

できなくなる訳じゃない…」


ブリザード「…だから、ここに居てほしい。」


華途葉「…ついさっきあんなことがあったのに

そう簡単に信用できると思うの…?」


ブリザード「…俺も、その立場だったら

そうなるだろう…。」


ブリザード「…それでも、俺は僅かでも

希望があるならそれを掴みに行きたい…」


ブリザード「…そうすれば、少しくらいなら

救われる気がするし…。」


華途葉「…そんな下らない希望で

救われると思うの…?」


ブリザード「…きっと救われるさ、

少しくらいならな…。」


ブリザード「…けど、その後どうするかは

自分次第さ…。」


ブリザード「…だけど、少なくとも今は

松山が近くにいる以上、しばらくはここに

居た方がいいと思う…。」


ブリザード「その方があんな奴に

殺されずに済むからな…。」


華途葉「…私は、別にどうでもいいわよ…。」


ブリザード「…だけど、本当は

死にたくなんてないんだろ…?」


華途葉「え…?」


ブリザード「分かるんだよ…怖いんだろ?

何よりも死ぬことが…それが人の摂理

だからな…。」


ブリザード「俺も…死ぬのが何より怖いさ、

だけど…死ぬことを諦めた、そのために

仄暗い暗い闇の中から立ち上がった。」


華途葉「…ねぇ、あなたはたとえどんなに

どうしようもないようなクズでも変わることが

できると思う…?」


ブリザード「不可能ではないさ、変わろうと

言う意思さえあればな…。」


華途葉「…私は、あなたのことを信じる

訳じゃない…。」


華途葉「…だけど、このまま外に行った所で

犬死にするだけだから…ここにしばらく

居させてもらうわ…。」


ブリザード「…ありがとう。」


優来「…これから、よろしくね…。」


華途葉「…アンタ、居たの…?」


優来「…うん、ここで待ってた…」


華途葉「アンタ、名前は…?」


優来「…優来。」


華途葉「…私は華途葉。」


華途葉「…そういやアンタの名前は?」


ブリザード「…俺か。」


ブリザード「俺は…ブリザードだ。」


華途葉「ブリザード…?アンタ、そんな

名前なの…?」


ブリザード「俺は名前を捨てた。」


華途葉「…そう。」


華途葉「…なんで、あなたは名前なんて

捨てたの…?」


ブリザード「…忘れたくないからさ。」


ブリザード「吹雪に呑まれて死んだ兄のことを。」


華途葉「…兄、ねぇ…」


…それから、私はしばらくブリザードと

行動を共にした…。


ブリザード「…ただいま。」


飛那世「お帰りなさい、ブリザード…。」


ブリザード「…飛那世はもう終わらせたのか?」


飛那世「えぇ、ずいぶんと楽でしたよ…」


ブリザード「…そうか。」


飛那世「そっちも終わったんですね…?」


ブリザード「あぁ、こっちの方も思ったより

早く終わった…。」


華途葉「…何をしていたの?」


飛那世「仕事ですよ…決まってるでしょう?」


華途葉「そうじゃなくて、何をしてたの?」


ブリザード「…知らない方がいい。」


華途葉「…何かやましいことでもあるの?」


ブリザード「…。」


飛那世「教えてやった方がいいんじゃないですか?

その方が身の為ですよ…」


ブリザード「…そうか?」


華途葉「お互い、隠し事はなしで行きましょう?

その方が安心できるでしょう…」


ブリザード「…分かった。」


ブリザード「…俺達はヤクザだったり、

反社会的な組織の要人を殺すことで、

報酬金を得ている…。」


華途葉「…え?」


ブリザード「…そうすることでしか、

生きることができないんだ…

俺達は。」


華途葉「…確かに、それがこの世界だものね…」


ブリザード「…。」


華途葉「…私にもそれ、教えてくれないかしら…」


ブリザード「…え?」


華途葉「…私もどうせ親が死んだんだもの…

そうしなきゃ生き残れないわよ。」


ブリザード「…分かった、それじゃ、

殺しのやり方を教える…。」


華途葉「えぇ…それじゃ、頼むわよ…」


ーー


そして、ブリザードに頼んで殺しを教えて

もらうことにして、少しは殺しが

できるようになった…


それから、2週間くらいが経った…


その日は大型の案件だったから、

全員で行くことになったの…


優来「よし、全員居るね…?」


ブリザード「…あぁ、問題ない…。」


ブリザード「…これから、ボスの部屋へ

行く、準備はいいか…?」


飛那世「えぇ…言われなくとも。」


華途葉「…じゃあ、行くわよ…!」


ブリザード「…あぁ!」


そして…その後なんとかボスを倒す

ことができた…なんだけど。


飛那世「…これで終わり?対したことないな…」


華途葉「見かけ倒しね…」


団長「…!!」


カチャ


優来「っ…!!華途葉、後ろ…!!」


華途葉「なっ…!!」


ブリザード「うぉりゃぁっ…!!」


ドサァッ!!


バキュン!!


ブリザード「が…っ!」


華途葉「ぐっ…!!」


飛那世「…死ね。」


バキュン


ブリザード「…大丈夫か。」


華途葉「…うん。」


飛那世「危なかったですね…油断なんて

してるからですよ…。」


華途葉「…ごめん、気を抜いてた…」


ブリザード「怪我はないか…?」


華途葉「う…うん。」


華途葉「あの…その…もう大丈夫だから、

離して…」


ブリザード「…あ、悪い…。」


華途葉「…抱きかかえられてる感じで…

恥ずかしい…。」


ブリザード「…すまない。」


…ブリザードは、こんな私のことを、

身を呈して守ってくれた…


…この頃から私はブリザードのことを

信用して…何より、惹かれていったんだと思う。


華途葉「…。」


華途葉「フフッ…」


ーー


優来「…。」


…一人になった…今になって、祐奈さんが

私のことを騙してたと言う事実が重く

のしかかってきた…。


…ずっと、苦しかった…苦しみ続けてきた

私の人生の中で、祐奈さんは私のことを

ずっと見守っていてくれた…。


…一人っ子だった私にとっては…祐奈さんは

お姉ちゃんみたいだって勝手に思ってた…


…だけど、それも全部…自分が金を

手に入れるための嘘だったんだよね。


…もう過ぎたことだけど、つい

考えすぎてしまう自分がいる。


…私にとっては、あの人は大切な人の

内の一人だったから…。


…それでも、もう祐奈さんは私の敵で…

私は祐奈さんを殺さなくちゃいけないんだ…。


…私に祐奈さんを殺すことはできるのかな…


優来「…祐奈さん。」


優来「でも…仕方ないよね。」


優来「…迷ってても、しょうがないよ…」


優来「…そうだ、私が祐奈さんを殺すんだ…」


祐奈「…へぇ、できるの?優来に…」


優来「…!!」


カチャッ!!


優来「祐奈さん…何故ここに…!」


聞き覚えのある声の先へ銃口を向けると

そこにはやはり祐奈さんが居た…


祐奈「ま、そうピリつかないでよ、だって

私と優来の仲でしょ…?」


優来「祐奈さん…私は…あなたを、殺す…!」


祐奈「へぇ…できる?言っておくけどこの辺りには

事前に警察を待機させといたから撃つだけ

無駄だと思うよ…?」


優来「っ…!!」


祐奈「いやー、警察ってほんと便利だよね…。

金さえ出せばどんなことでも率先して

行ってくれるからさ…。」


祐奈「たとえ、それが犯罪だとしても…ね。」


優来「祐奈さん…!!」


祐奈「…やれ。」


警察「動くな、銃を捨てろ…!!」


優来「な…っ!!」


優来「くそ…ざっと数えて40か…!?」


優来「まずい、このままでは…!!」



祐奈「あのガキに伝えておきなさい…我々は

アンタらを一人づつ、容赦なくブチ殺して

やるってね…!!」


優来「っ…!!」


くそ…こんな所で死んでたまるか、

せめて一太刀は浴びせてやる…!!


ここで敵の戦力を全部擦り減らしてやるんだ…

この因縁に、全部、ケリをつける…!!


優来「…!!」


祐奈「…じゃあね、アンタがバカで

ほんとに助かったよ…」


優来「くそ…逃げるな…!!」


祐奈「アンタに私を撃つことなんてできない…

アンタはそんな覚悟を持ち合わせてないからね…」


優来「ぐ…っ!!」


警察「…行くぞ。」


警察「撃ー!!」


バギィバギィ!!


…だが、そこから弾が撃たれることは

なかった…


警察「がぁっ!?」


警察2「何がどうなって…!?」


優来「な…暴発!?」


祐奈「…おい、何してる…!!」


祐奈「くそ、こうなったら私が…!!」


カチャ


???「…ふっ!!」


バギュウン!!


祐奈「な…っ!?」


ダッ…!!


祐奈「ぐっ…あと1ミリズレていたら

当たってたわ…」


…とても不可解なことが起きた…


…フードを被った謎の人物が物陰から

姿を表し、祐奈さんを狙撃した…!


???「優来、逃げて…!」


優来「え…?なんで、あなた、私の

名前を…?」


???「いいから…早く!!」


優来「…っ、うん…!!」


ダッ…!!


祐奈「ぐ…ダメだ、撤退よ…!!」


警察「…了解!!」


???「…。」


祐奈「アンタがなんでこんなことしてんのか

知らないけど…覚えてろ…!!」


???「…。」


祐奈「あいつら、どうせ次に向かうのは

エビルプラントなんだろ…?いいよ、

そこで決着をつけてやる…!」


優来「っ…!!」


…なんとか逃げ切った、だけどあの人は

一体何なの…?


それに、私はあの声をどこかで聞いたことがある、

しかもそれはすごく最近のこと…


…でも、何故か思い出せない…。


だけど…なぜ祐奈さんとあのフードの人は

突然現れたの…?


このことをブリザードや皆に言わないと…。


ーー


ガチャ


ブリザード「…おはよう。」


永遠「あ!お兄ちゃんおはよー!」


凍歌「ねぇ、ブリザード、影浦さんって

普段何してると思う…?」


ブリザード「…え?」


永遠「いやー、さっきまで僕達が暗殺

業務をしてる間に影浦さんが何してるのかなー

って凍歌さんと話してたんだー。」


凍歌「やーっぱ暇してんのかなー?」


永遠「いや、あくまで公務員なんだからさ…

流石に仕事してるでしょ。」


ブリザード「…あの人案外忙しいらしいぞ。」


凍歌「え…?そうなの?」


ブリザード「たまにあの人と話すことが

あるんだが学校以外にも仕事があるらしくて

むしろ仕事が少なくてありがたいんだと…」


凍歌「へー…分かんないもんだねぇ…。」


永遠「何の仕事してるか聞いたー?」


ブリザード「いや、聞いてもはぐらかされた。」


永遠「なんだよー、なんかやましいことでも

あんのかコラー!」


ブリザード「…俺に言われても何もできない。」


永遠「そうだったね、フフフ…」


ガチャ


櫻「おはよー、あれ、以外といない…」


永遠「今日は土日だからゆっくり

してるんじゃない?」


櫻「確かにそうかもね。」


飛那世「いやいや、どっかの華途葉さんじゃ

あるまいし…」


華途葉「…8時になる前に起こしてよ…。」


凍歌「…そっちもひと悶着あったんだね。」


飛那世「…朝からシバかれる身にも

なってくださいよ、ほんと…」


華途葉「…なら起こしてよ。」


飛那世「…すんません。」


ガチャ…


優来「…全員居る?」


櫻「うん、全員居るよ!」


優来「…実は昨日の帰りに、

少し面倒臭いことになって…」


ブリザード「…何だ?」


優来「…祐奈さんが現れて、殺され

かけたの…。」


ブリザード「ッ…!?」


飛那世「…それで、生き残ったんですね。」


優来「うん…警察が裏に控えてて、

まずいことになったんだけど…」


優来「なぜか警察の撃った拳銃が全て暴発して、

フードを被った謎の人が助けに来たの。」


永遠「…待って待って、話の流れが

読めないんだけど…つまり?」


優来「多分…そのフードの人か、その

関係者が弾を暴発させたってこと

なんだと思う…」


凍歌「えぇっ…!?それなら

大変だよ…!!」


飛那世「そうなると、あっち側にも

裏切り者がいて、こっちを支援して

くれてるってことですよね…」


華途葉「…でも、それなら何で顔を

フードで隠してたのか理由が分からないよ。」


優来「…ごめん、一つ言い忘れてた

ことがあるんだけど…」


優来「…私、その人の声を聞いたことが

あるの…」


永遠「…何だって?」


ブリザード「…つまり、そのフードの人物は

優来か真冬の会の関係者ってことか…?」


優来「…となると悠介?…いや、それは

ありえないか…。」


ブリザード「あの女以外に真冬の会の関係者で

神吹と関わりのある人物…?」


凍歌「…待って、優来以外にも他の人と

関わりのある人かもしれないんじゃない…?」


櫻「…でも、それだとどうして優来の

名前を知ってるのか、何で優来のことを

助けに行ったのかの説明がつかないよ…」


凍歌「…そっか、だとしたら、

一体誰が…?」


ブリザード「…飛那世は誰だか検討

つくか…?」


飛那世「…いえ、全く分からないです。」


ブリザード「…何?」


飛那世「…でも、まだ焦らなくていいです、

少なくともこちら側に手出ししてくるような

ことはないでしょう…。」


飛那世「…それに、招待なんてその内

分かることです、今気にしても無駄かと…」


ブリザード「…それもそうだな。」


櫻「…でも、祐奈さんが来たってことは

道中も油断できない…夜までに

入念に作戦を立てておかないと。」


凍歌「はい、今日は重要ですからね…」


永遠「…神野さんの話が本当なら、神吹に

とって無くてはならない物がある…

敵の守りも硬いだろうね。」


優来「敵の戦力は…ざっと100はあるかもね。」


ブリザード「…ただ、敵は昨日今日で

俺達に戦力をかなり削られている…

攻め込むチャンスは充分にあるはずだ。」


華途葉「…ここを落とせたらチャンスは

大きくなる、逃す道理はないね…」


優来「…ただ、敵は想像してるより

多い可能性もある…今まで以上に

油断できないよ…。」


ブリザード「…それじゃあ、そろそろ

準備に取り掛かろう…。」


永遠「…うん!」


かくして、俺達の運命をかけた

一代作戦の幕が開けようとしていた。


ーー


優来「…ねぇ、ブリザード。」


ブリザード「…何だ?」


優来「私…祐奈さんのこと殺せるかな?」


ブリザード「…殺させないさ。」


優来「え…?」


ブリザード「そんなことはさせない…

俺が必ず殺してみせる。」


ブリザード「…そんな辛いことは優来に

させないよ…。」


優来「…ブリザード。」


優来「ごめんね、そんな気を使わせて…」


ブリザード「使ってないさ…気なんて。」


優来「…そう?」


優来「…でも、いいよ…」


優来「…私の手で、決着をつけたいんだ…」


ブリザード「…優来。」


優来「…私、変わりたいの…いつも、

ブリザードに助けてもらってばかり

だったから…。」


ブリザード「優来…任せても大丈夫か?」


優来「うん…私がやらないと。」


ブリザード「分かった…じゃあ、頼む…。」


優来「うん…!」


私は…あの時祐奈さんを殺せなかった。


だけど…次会った時には確実に

殺さなければいけない。


…本当にできるのか、不安だけど…

ブリザードもきっと期待してくれてる…

だから、怖くない…。


私は…やるんだ。


絶対に…成し遂げなければいけない。


それが…私にできる、償いにもなるから…


…柳太郎、どうか見ていて。


私はもう弱くないから…。


どうか変わってみせるよ…


ーー


ブリザード「…。」


飛那世「先輩…?」


ブリザード「飛那世、どうした?」


飛那世「次の作戦、必ず成功させましょう…」


ブリザード「…あぁ。」


飛那世「そういえば先輩、これを…」


ブリザード「…これは?」


ブリザード「…どう言うことだ…。」


ブリザード「これが本当なら、相当

マズいぞ…!」


飛那世「ただ、それに関してはどうやら

問題ないみたいで…」


ブリザード「何…?どう言うことだ。」


飛那世「それが…」


永遠「…?」


永遠「お兄ちゃんと飛那世、話してる…

真面目な話かな。」


永遠「…なんだろう…もやもやとする。」


永遠「うーん、何なんだろう…」


永遠「うーん…うーん…」


永遠「…わーっ!!」


ダッ!!


…訳もなく、走りたくなった…


分からないけど、頭がもやもやとする

感覚があった…


何故だろうか…最近はずっとこうだ…


…何故だか、ブリザードが飛那世と

話してることに怖さを覚えている

自分がいる…。


どうしてだろう…任務の話のはずなのに。


…分からない、だけど何か怖い…


どうしてだろう…。


永遠「…。」


考えるだけ分からなくなるだけだ、

任務の準備にをしよう…。


ブリザード「…今、永遠居なかったか…?」


飛那世「…確かに、居ましたね。」


ブリザード「…何してたんだろう。」


飛那世「ですねー。」


ーー


ブリザード「…みんな、準備はもうできてるか?」


凍歌「うん、問題ないよ…。」


櫻「…じゃあ、そろそろ行こう。」


優来「うん…行こうか。」


飛那世「…心して望みましょう、

命の保証はいっさいありませんので…」


永遠「…。」


ブリザード「じゃあ、そろそろ向かうぞ…」


櫻「うん、みんな、荷物持って、行くよ!」


優来「はい…!」


そうして、始まるんだ…

俺も、覚悟を決める…。


…明日、この地を踏んでいる可能性は

無いかもだから…。


ーー


飛那世「…再三言いますが、今日死ぬかも

しれないので、覚悟しておいてください…」


飛那世「みなさん、もう準備は

できていますか?できてなくても

行かないとですけど…」


凍歌「うん…もう、行こうか。」


飛那世「作戦は…話した通りですね。」


ブリザード「…あぁ。」


…今までは一人が表に出て奇襲しし、

その隙をついてもう一人が扉まで突入する

作戦だったが今回は違う…


まずは手榴弾を投げて、そこから遠距離で

狙撃する…。


だが、それだけでは効率が悪い上いつか

敵にやられてしまう。


よって…戦車を用意した。


優来「…まさか、本当に用意してくれるなんて

思いもしなかったよ。」


飛那世「個人的に襲撃した組織が隠し

持ってたので折角ですので持ってきました。」


飛那世「ただ…古いタイプの戦車なので

上手く使えるか…」


永遠「フフフ…僕に任せなさい!」


凍歌「大丈夫…行ける?」


永遠「大丈夫、ゲームで操縦した時は

上手く行ったから!」


凍歌「…実際に操縦したことは?」


永遠「…ないね!」


凍歌「…はぁ。」


永遠「ま、任せといて!」


凍歌「心配だなぁ…」


永遠「心配いらないよ、僕の操縦は

最強だからね!」


ブリザード「…それじゃ、行くぞ…!!」


ブリザード「…うらぁっ!!」


ヒュゥゥッ!!


カラッ…


団員「…ん?何だ?」


団員2「っ…手榴弾だ、逃げ…!!」


ボガァァン!!


飛那世「…撃てッ!!」


バギュウンバギュウン!!


団員「が…っ!」


優来「敵勢力…50以上!!」


櫻「何だって…!?神吹め、いきなり

飛ばし過ぎだよ…っ!!」


華途葉「この…っ!!」


バギュウン


団員「が…っ!!」


凍歌「くそ…敵が多い…!」


団員「撃て…っ!!」


バギュウン!!


凍歌「が…!!」


凍歌「チッ…当たった…左手か…!」


ブリザード「凍歌、大丈夫か…!」


凍歌「手に流れ弾が…だけど…

これくらい…っ!!」


凍歌「はぁ…っ!!」


バギュウン!


団員「が…!?」


優来「敵残存勢力25…戦車を出そう!」


凍歌「永遠…行って!」


永遠「おっけー、任せて!」


ウィーン…


ガシャン!!


永遠「うぉぉっ、揺れるな…」


永遠「…さて、そろそろふざけるのは

終わりにするか…。」


永遠「…敵が固まってるのはあそこか…よし!」


永遠「撃ーっ!!」


ドガァァン!!


ガッシャァァン!!


永遠「扉諸共木端微塵…ってね!!」


優来「残り敵勢力10弱、行けるよ…」


ブリザード「よし…押し切るぞ!!」


華途葉「行けぇぇぇっ!!」


飛那世「うらァァァァッ!!」


バギュウンバギュウンバギュウンバギュウン!!


バキュン!!


ガシャアン!!


永遠「…行った!?」


飛那世「…敵は、もういない…!!」


ブリザード「よし…行くぞ!!」


凍歌「うん…!」


櫻「行ける…このまま奥へ!」


飛那世「さっさと行きましょう…!」


永遠「戦車はどうする…?」


凍歌「戦車は置いて、そのままで行こう、

永遠、降りて…。」


永遠「分かった…!」


ーー


ブリザード「中に入ったが…」


ブリザード「っ…敵が多い…!!」


優来「…まずい、敵の勢力…まさか、

120はあるよ…!!」


永遠「は…!?それって…!!」


ブリザード「さっき50あった時点で妙だとは

思ったが…まさか、120…?あれだけの被害を

被ったのにこの量の敵が…?」


華途葉「ありえない…こっちの動きが

読まれていたの?」


飛那世「クソッ…お前ら、歯ァ

食いしばれ…っ!!」


ブリザード「っ…!!」


永遠「撃て…!!」


バギュウンバギュウン!!


飛那世「皆殺しだァァァァッ!!

オラァァァァァッ!!」


バキュンバキュンバキュンバキュン!!


優来「くそ…どうすれば…!!」


ブリザード「…すまない、先に行く!!」


優来「ブリザード、何を…!?」


ブリザード「…オラッ…!!」


団員「な…早い…っ!?」


ザシュゥッ!!


団員「ぐ…撃てーっ!!」


バキュンバキュンバキュン!!


団員「な…こいつ、撃たれた死骸を

盾に…!まさか…!!」


ザシュゥッ!!


団員「畜生がよ…っ!!」


永遠「甘いっ!!」


バギュウン!!


飛那世「全く…無茶しすぎなんだよ…!!」


バキュンバキュンバキュン


ブリザード「っ…敵残数は!!」


優来「ざっと70はある…このままじゃ

埓があかないよ…!!」


ブリザード「…はぁっ!!」


バキュンバキュンバキュン!!


永遠「…何て精度の連続射撃だ、

瞬く間に敵が撃たれて…!!」


ブリザード「っ…これでいくら殺れるか…!!」


優来「…あと30もない、このまま押し切ろう…!」


華途葉「っ…このっ!!」


バギュウン!!


凍歌「よし、あともう少しで…!!」


バキュンバキュン!!


団員「くそ…このままじゃ全滅する…!!」


…部様ね。


団員「その声は…祐奈さん!!」


バギュウン!


団員「が…何故…!!」


祐奈「役立たずなら要らないわ、

ここは実力主義なの…分かるでしょ?」


ブリザード「来更木祐奈…!!」


祐奈「役立たず共は消えなさい、ここは

私一人で充分よ…。」


優来「祐奈さん…ここで私があなたを…!!」


祐奈「そんな生半可な覚悟じゃ私を殺す

ことなんてできない…私の実力を

知りなさい…!!」


永遠「…っ、来るよ…!!」


飛那世「させるか…ッ!!」


バギュウン!!


祐奈「チッ、危ないわね…!!」


祐奈「今度はこっちの番よ…っ!!」


バギュウン


華途葉「っ…そんな弾が当たるとでも!?」


バギュウン


祐奈「っ…当たらないよ…っ!!」


優来「…ふっ!!」


祐奈「なに…っ!?」


バギュウン!!


凍歌「…やった!?」


祐奈「ぐ…残念、こんなもんで

倒れるわけないのよ…!」


櫻「何…防弾チョッキか…!!」


祐奈「…喰らいなさい!!」


バギュウン!


ブリザード「ぐ…っ、効かんぞ…!!」


バギュウン!!


祐奈「チッ、効かないか…!!」


優来「ブリザード、大丈夫…!?」


ブリザード「大丈夫だ、急所は外れている…!」


ブリザード「それより…こっちを…!!」


バギュウン!


祐奈「チッ…ダメだ、分が悪いか…!!」


祐奈「っ…これで…!」


ガシャアッ!


祐奈は、奥から機関銃を取り出した…!


永遠「まずい…機関銃か…!!」


凍歌「っ…避けて…!!」


バキュンバキュンバキュンバキュン!!


祐奈「死ね…っ!!」


ブリザード「ぐ…これじゃ攻撃を

与えられないぞ…!!」


飛那世「私があいつを殺る…!!」


バギュウン!!


祐奈「チッ、これでも無理か…!?」


祐奈「…ここは離脱するしかないか…

天原、後は任せる…!!」


ブリザード「っ…逃げたか…!!」


凍歌「…あれは放っておいて、

奥に行こう…!」


優来「けど…」


華途葉「あんなのに構ってるようじゃ

時間が足りない、とっとと奥に

行かないと…」


優来「うん…分かった。」


ブリザード「奥にある倉庫に行って破邪悲を

取る…そうすれば今日は終わりだ…」


永遠「とっとと終わらせてしまおう…

これ以上被害が出る前に。」


櫻「…ここを真っ直ぐ行けば、

倉庫に着くんだよね…」


凍歌「はい、もうすぐ着きますよ…」


ブリザード「…ここか。」


優来「…開けるよ。」


ガチャ…


天原「…来たか。」


ブリザード「っ…天原!!」


天原「ここで会ったのも何かの運命…

俺達の血に濡れた運命だ…」


天原「思う存分殺し合おうじゃないか…」


ブリザード「天原…まずい、来るぞ!!」


優来「…!!」


天原「…オラァ!!」


バギュウン!


凍歌「チッ、当たるか…っ!!」


天原「ふっ…!」


バギュウン!


華途葉「くそっ、早い…攻撃の

隙がない…!!」


櫻「くそ…どこかに隙はないか…」


団員「…ふっ!!」


永遠「っ…危ない!!」


バギュウン!!


櫻「な…!危なかった…!!」


団員「撃てーっ!!」


飛那世「させるかよッ!!」


バギュウン


団員「が…っ!!」


天原「そっちが数でくるならこっちも数だ…

物量戦と洒落込もうじゃないか…!!」


ブリザード「このままじゃこっちが

部が悪くなる…俺と飛那世で一気に

天原を叩く、皆は雑魚を頼む…!!」


永遠「分かった…!」


天原「フン…面白い、やってみろ…!」


飛那世「はぁっ!!」


バギュウン!!


天原「ふっ…!!」


バギュウン!


飛那世「チッ…効かねえよッ!!」


バギュウン!!


天原「…そんなんじゃ俺には通用…」


ブリザード「そこっ!!」


ジャギィン!!


天原「うぉっと…危ないな…」


ブリザード「ふっ…!!」


ジャギィッ!!


天原「クソッ…押し切られる…!!」


飛那世「オラッ!!」


バギュウン!!


天原「が…っ!!」


ブリザード「よしっ、やったか…?」


飛那世「いえ…まだです、終わってません…!」


天原「これでは流石に分が悪い…

撤退させてもらうぞ…!!」


ブリザード「逃がすか…!!」


天原「…知ってるか?ここは地下と繋がってて、

そこからいつでも逃げられるんだ…!!」


飛那世「行かせねぇよッ!!」


天原「…お前ら、殺れ…!!」


団員「…行くぞ!」


飛那世「チッ、邪魔だ…!!」


バギュウンバギュウン!!


団員「撃てーっ!!」


バギュウン!


ブリザード「クソ…邪魔だ!!」


バギュウンバギュウン!


団員「が…!!」


永遠「はぁっ!!」


バギュウン!!


ブリザード「永遠!」


永遠「こっちは僕達が殺る、二人は

天原を…!!」


飛那世「分かった、行くぞ…!!」


ブリザード「あぁ…!!」


ダッ…!


天原「残念だったな、ここまでだ…!!」


飛那世「待て…!!」


天原「じゃあな…!!」


ガシャッ…


ブリザード「…クソ、開かない…!」


飛那世「特殊なカードキーが使われてるのか、

これじゃ私達は入れない…!」


ブリザード「…破邪悲は、あるか…?」


飛那世「探しましょう…!」


永遠「…天原は!?」


ブリザード「取り逃がした、すまない…」


永遠「いいんだ、それより破邪悲を…」


華途葉「破邪悲ってどんな形してるの…?」


ブリザード「おそらく、剣のような

形をしているはずだ、恐らく大きい

サイズだろう…!」


優来「分かった…すぐに探そう!」


凍歌「うん…!」


そして…倉庫を探して30分ほどしても

見つからなかった。


永遠「うーん…どこにあるのかな…?」


凍歌「そろそろ見つかると思うけど…。」


飛那世「…もしかして、これですか…?」


飛那世は剣先が細く長い大剣のような

物を取り出した…。


ブリザード「…なんだこの剣は…でかい…」


飛那世「おそらくこれが破邪悲でしょう、

この剣、かなり重いです…。」


永遠「重いって言ってもどれくらいなの…?」


飛那世「戦車を持ってるかと錯覚する

ほどに重いです…」


永遠「え…そんなに?」


優来「飛那世がそう言うなら…

どれだけ重いのか分かるよ。」


飛那世「先輩、試しに使ってみたら

どうですか…?」


ブリザード「…分かった。」


永遠「あの扉に向かってやってみたら?」


ブリザード「…そうしようか。」


そう言って破邪悲を振り下ろすと…


ジャギィィィィン!!


ボゴォン!!


とんでもない炸裂音と共に扉諸共

壁が破壊された…


華途葉「な…っ!?」


永遠「これは…やばいな…!」


優来「…ブリザード?」


ブリザード「が…ぐ…っ…!!」


凍歌「ブリザード、大丈夫!?」


ブリザード「頭が…割れるように痛い…

が…っ、何だこれは…!!」


永遠「…嘘、これ、骨折れてるよ…!!」


優来「え…!?」


華途葉「ブリザード…!!大丈夫!?」


ブリザード「が…っ!!」


櫻「急いで、急いで病院まで行くよ…!!」


櫻「…待って、近くに破邪悲の資料があった、

それも持っていくね…!」


飛那世「分かりました…!」


ブリザード「ぐ…がっ…」


ーー


医師「…。」


ブリザード「…。」


飛那世「…どうでした?」


医師「…骨は折れていませんでした。」


永遠「え…?」


優来「嘘…確かに、骨は折れていたはず…」


医師「いえ…正確には折れていました、ですが

なぜか骨の状態が元に戻っているんです…。」


華途葉「…え?」


医師「…恐らく、超高速で骨が修復したの

でしょう、損傷した跡があったことがそれを

物語っています…。」


医師「…ですが、まだ何があるか

分かりません、安静にしておいてください…。」


ブリザード「…分かりました。」


櫻「…あ、ブリザード…!」


優来「どうだったの…?」


永遠「骨、直ったんだって…」


凍歌「は…!?」


ブリザード「…俺の骨がとんでもない速さで

修復したんだとか…。」


優来「…どう言うことなの?」


櫻「それも破邪悲の効果なのかもね…」


櫻「この資料見てたんだけど、中に

相当ヤバいことが書かれてたの…」


永遠「何て書いてあったの…?」


櫻「どうやらエビルプラントは破邪悲の

実験の為に作られた組織でその責任者が

天原だったらしいの…。」


華途葉「だからあそこに破邪悲があったのね…」


櫻「それで、破邪悲の実験のデータが

書かれてるんだけど、これに書かれてる

ことがヤバくてね…」


ブリザード「何て書いてたんです?」


櫻「なんでも、使用者のエネルギー…つまり

生命力を吸うことで高い威力の斬撃を

繰り出すことができるらしいんだけど…」


櫻「いかんせん使用者の負担が大きくて、

一振りするだけでとてつもない量のエネルギーが

吸われて、この実験を生き残れた人が

いないらしいの…。」


優来「…何だって?」


櫻「ただ、威力はとても強くて理論上核にも

匹敵するほどの力があるらしいの…」


ブリザード「…そんなヤバいのがあるなら、

なぜ雪村を守りに行かせなかったんだ…?」


永遠「確かに…妙だな。」


華途葉「…想定内だったってこと?」


凍歌「こんな兵器があるなら使わない手は

ないはず…なのになんで?」


ブリザード「…扱える奴が居なかった、

ってことか…。」


優来「…そうか、だから放っておいたのか…。」


華途葉「…でも、核レベルの兵器を

なんでこっち側に渡らせるようなマネを…?」


ブリザード「…何が目的なんだ…?」


永遠「とにかく、神吹の情報を

集めよう、そうすれば何かしら

分かると思うから…。」


飛那世「…どうやって探しましょうか。」


櫻「…祐奈のgpsを当たるしかないか…。」


凍歌「そうだね…現状、それしか

手段がないからね…。」


飛那世「それじゃ、情報があったら

報告します…。」


ブリザード「…分かった。」


櫻「それじゃ、今日はこれくらいかな…?」


優来「うん、でも神吹の戦いに

備えて準備しなきゃ…」


凍歌「そうだね、色々必要になりそうだし

揃えておかないと…。」


永遠「僕も手伝うよ!」 


凍歌「ありがと、じゃあ皆でやろっか!」


櫻「うん!」


ーー


そして、準備をある程度終えて帰路についた、

今日は念の為全員で帰ることとする…。


永遠「いやー、準備するのも

一苦労だね。」


凍歌「そう言えば、あの戦車って

どうしたの…?」


優来「そう言えば、ずっとあのままだったね、

どうしようか…」


飛那世「私が回収してきますよ、あれは

外での戦いで使えますので…。」


優来「うん、ありがと。」


華途葉「あー、これから幹部格との戦いが

続くんでしょ?厳しいよね…」


優来「しかも、破邪悲がどんな感じなのかも

まだ分からないし怖いよね…」


永遠「うん、破邪悲はリスクが高いし

お兄ちゃんに負担がかかるから安易に

使えない、使い所か難しいね…。」


ブリザード「…破邪悲を使えるようになれば

神野さんが抜けた分の戦力も穴埋めできる、

早く使えるようにしないと…」


優来「…そ、そんな…無理しなくていいのに…」


ブリザード「…リスクを犯さなきゃ神吹は

倒せない、使うさ…。」


優来「…無理はしないでね…。」


ブリザード「分かってる、肉体の限界を

超えないようにはするよ…。」


ブリザード「…。」


凍歌「ブリザード…これから頑張ろうね!」


ブリザード「…あぁ、頼むぞ…。」


櫻「…さて、そろそろ私は家かな…?」


櫻「それじゃ、また…」


ジャギン!!


…突然、地面に剣が突き刺さってきた…。


ブリザード「っ…誰だ!!」


雪村「…お久しぶりね、コソドロども…」


凍歌「雪村…!!」


雪村「神吹様の所へ行く途中でアンタらに

会うなんて想定外だったけど…

丁度よかったわ…。」


ブリザード「…何が目的だ!!」


雪村「私達SUNSINEはアンタらに向けて

宣戦布告をさせてもらうわ…。」


華途葉「…!!」


雪村「私達は確実にアンタらを地獄の底へ

叩き込む、覚悟なさい…。」


雪村「…それじゃ。」


華途葉「っ…待て!」


ブリザード「…ダメだ、追うな…。」


華途葉「けど…ここで始末すれば…!」


ブリザード「今行った所で返り討ちに

会うだけだ、それに今は準備も

揃っていない…。」


華途葉「…分かった。」


凍歌「…ついに開戦か…怖いな…。」


櫻「…きっと上手く行くよ、今までも

そうだったし…。」


ブリザード「…あぁ、俺達はただあいつらを

全員倒せばいいだけだ…。」


ブリザード「…。」


華途葉「誰が相手でも容赦はしない…

私達の目的のために死んでもらいましょう。」


…こうして、じわじわと本格開戦の

時間が迫りつつあった…。


…神野さんのことだったり気がかりなことは

あるが、こちらにも勝ち筋はある…。


負ける道理は、ない…。


ーー


優来「…結局、祐奈さんを殺すことは

できなかったし天原も取り逃がしてしまった…」


優来「…次こそは絶対に殺さなきゃ…」


優来「…もう気の迷いもない、間違いなく

殺せる自信がある…」


優来「…殺るんだ、絶対に、

私自身の手で…。」


優来「そうしないと…決別できない、

弱い私と…。」


優来「…弱いままじゃ、何も守れない、

大切な物も、日々も…全部。」


優来「何も失いたくない…これ以上。」


優来「ブリザードまで失ったら…

私は壊れてしまう…。」


優来「…絶対に、今度こそは…」


ブリザード「…優来?」


優来「…ブリザード!?どうしたの…?」


ブリザード「…少し話でもしようかと

思ってな…。」


優来「うん…いいよ、何話す?」


ブリザード「…少し、昔話でもするか…?」


優来「いいね、何にする…?」


ブリザード「…凍歌がすっ転んで

一日中泣いてた話でもするか…?」


優来「あー、懐かしい…」


凍歌「むー。」


優来「あ、凍歌…!」


凍歌「あんまり人の黒歴史を晒さないの…」


優来「えー、ダメ…?」


凍歌「ダメ!そんなこと言ってると優来が

ブリザードに嫌われたって思って

号泣したこと話すよ…!」


優来「だーっ!?それもう言ってるんだってー!」


凍歌「ふふふ、仕返しだよ…」


ブリザード「…元気そうだな。」


凍歌「こちとら元気だけが取り柄なもんで…」


凍歌「…にしても、そろそろ始まるんだなって

改めて実感するよ。」


ブリザード「…あぁ。」


凍歌「…私は、絶対に神吹に勝つ…」


凍歌「そんで、神吹との戦いが終わったら

全員で一緒に暮らそう…」


凍歌「助け合って生きればこんな世界でも

きっと生き残れると思うから…。」


優来「…うん、私も…そうしてみたいかも。」


ブリザード「…できたらいいな、大変かも

しれないが楽しいだろうな…」


ブリザード「…。」


何年たっても、何があっても変わらないものが

ここには確かにあった…。


…いつまでもこのまま居れたらいいと

思うが…そうはいかない。


今のままの戦力では神吹には到底敵わない、

正攻法ではまともに勝てない…


だからこそ…人事を尽くして天命を待つ、

それしかできない…。


…それでも、できることは全てやるつもりだ…


たとえ、俺は死ぬことになっても構わない。


あいつらが幸せになればそれでいいんだ…


…破邪悲もすぐに使いこなしてみせる、

俺は…俺が神吹を倒す。


そのためには…どれだけの人を殺そうが

構わない、俺が全ての罪を背負う…

仲間は殺させない。


ーー


あれから、どれだけの月日が経ったの

だろうか…。


俺達は変わってしまったけど、中にある

物は今でも変わらない…。


そこまで変わってしまえば、それこそ

本当に終わりだから…。


あの日々だけを思って、思い続けることで

ここまで来れたんだ…。


俺は…あの平穏な日々を取り戻したいんだ。


そうしたら…やりたいことが山程ある。


夢が…この手に有り余るほどあるんだ…

だけど…それも皆でなら全て叶えられる

ような、そんな気がする…。


…よくよく考えたら、まだ何もかも終わって

すらいないのに、俺は何考えてんだ…


…まだ、やらなきゃいけないことは

たくさん残ってる、こう言うことを

考えるのは終わってからだ…。


…それからでも遅くない、今は目の前のことに

集中しないと…。


楽しいことを考えるのは楽だ、だけど

難しいことを考えるのは容易ではない…


だからこそ、早くやらなければいけない…

だがそれも難しいことだ。


…だからと言ってやらなくていい訳じゃない、

だから神吹の対策を考えることにする。


ブリザード「…。」


…。


そう、思ったはいい物の丸三十分

何も思いつかなかった…。


考えすぎてしまって結局何がしたかったのか

分からなくなってしまった…また

自分を鍛え直さないと…。


ブリザード「…。」


永遠「…わぁっ!!」


ブリザード「っ…!」


永遠「あはは、びっくりした…?」


ブリザード「…何してるんだ。」


永遠「えへへ、何となく驚かたくなって…」


ブリザード「…ハァ、永遠はいつになっても

変わらないな…。」


永遠「ふっふっふ…ぼくはいつでも変わらず

お兄ちゃん1筋ですよ…!」


ブリザード「そう言う所も変わらないな…。」


ブリザード「…将来が心配だよ、全く…」


永遠「大丈夫!僕の将来はお兄ちゃんの

お嫁さんが既定路線だから!!」


ブリザード「…そう言う所だからな。」


永遠「えーっ!?ダメなの…?」


ブリザード「ダメと言うより…自分が

言ってることよく考えてるか?」


永遠「僕が言ってること…?はっ…!?」


永遠「よ、よく考えたらお兄ちゃんの

お嫁さんになるって…お兄ちゃんと…

け…け…結婚するってことだよね…!?」


永遠「は…はぅぅ…僕なんかがお兄ちゃんと

結婚するなんて…お…恐れ多い…!」


ブリザード「…やっぱり意味分からないで

言ってたのか…。」


永遠「むぅ…見てろよ、絶対にお兄ちゃんの

心を鷲掴みにするんだから!!」


ブリザード「…ハァ。」


永遠「そのためにも…早く神吹を

倒さなくちゃね…。」


ブリザード「…そうだな。」


永遠「…この戦いが終わったら僕と…待って、

これ言ったら僕死ぬんだっけ…。」


ブリザード「…そうなのか?」


永遠「でもあえて言おうかな…どうしよう。」


ブリザード「誰も見てないし、

いいんじゃないか…?」


永遠「…そうだね。」


永遠「…お兄ちゃん、1回しか言わないから

よく聞いててね…?」


永遠「…この戦いが終わったら…

どうか、僕と結婚してほしいんだ…」


永遠「…うぅ…恥ずかしい…」


ブリザード「…。」


永遠から突然すぎるプロポーズを貰ったが…

これもやはり永遠らしいな。


ブリザード「…この戦いが終わって、

永遠の想いが変わってなかったら、

考えておく…。」


永遠「ほんと!?いいの…ありがとう…!!」


ブリザード「…さて、どうなるやら…。」


永遠「ふふふ…待ってろよ、すぐに

神吹なんか倒してやるからさ…!」


永遠「…。」


永遠「足りない。」


永遠「何かが足りない…なんだ?分からない…」


永遠「…何なんだ?」


ーー


ブリザード「…。」


櫻「じー。」


ブリザード「…櫻さん?」


櫻「じー。」


ブリザード「…もうバレてますよ。」


櫻「えっ、嘘…!」


ブリザード「…どこから居たんですか?」


櫻「さっきブリザードを見つけたから

追いかけてきちやった…」


ブリザード「…そのまま話しかければ

よかったじゃないですか…」


櫻「いやー、そう言う性と言いますか…

本能がこうやって動いたんですよ…」


ブリザード「…櫻さんって永遠より

ストーカー気質かもな。」


櫻「えーっ!?嘘ー!!」


櫻「永遠は…こう…なんか、別枠じゃん…!!」


永遠「聞こえてますよ…」


櫻「わーっ!?」


ブリザード「まだ居たのか。」


永遠「櫻さんを見つけて追っかけたら

ここまで戻ってきちゃったよ…。」


永遠「どーしてくれるんですかー!」


櫻「わっ、私に言われても…」


ブリザード「…待て、櫻さんの家って

こっちじゃないよな…?」


櫻「…あ。」


永遠「あ!よく考えたら雪村が出てきた時は

もう別れる寸前だったよね…!」


櫻「…あう。」


ブリザード「…なんでここに来たんだ?」


櫻「ど、どうしてもブリザードと

話くなったんだよ…」


永遠「ほう…櫻さんも、そう言うタチ

だったんですね…」


櫻「は、恥ずかしい…」


ブリザード「なら、そう直接言えば

よかったのに…。」


櫻「…はい。」


永遠「櫻さんは初心だねぇ…」


櫻「だーっ!うるさーい!!」


永遠「あはは、元気だね…」


ブリザード「…それ年上に対して

言うセリフなのか…?」


永遠「いや、あまりにも櫻さんが

楽しそうだからさ…」


ブリザード「…楽しそうか?あれ…」


永遠「僕にはそう見えるよ!」


櫻「むーっ、人をからかいおってからに…

許さんぞ…!」


ブリザード「なぜ武士口調なんだ…。」


永遠「ふっふっふ…この僕に…

勝てると思うか…?」


櫻「望むところじゃあ!

やってやるっ!!」


永遠「はっはっは…櫻さん、まずお前から

血祭りにあげてやる…」


うおりゃぁぁぁぁっ!!


ブリザード「…危機感もクソもないな、

こいつら…。」


ーー


飛那世「…。」


風が凪いている…いい夜だ、今日は…


…もう、刻はすぐ近くまで迫っている、

私もやることをしなくてはね…


先輩からの有益な情報もあったし、

こちら側の勝機は高いだろう…


…この戦いの命運は、私が握っていると

言っても過言ではない…。


だからこそ私は私にできることを…

私の責務を全うするだけ。


…この戦いが終わっても私には何か

したいことがあるわけじゃない…。


ただ…あの娘の復讐ができればそれでいい、

それだけのことだから…。


大切な物とか、なにもないし…


私の中には何もない、ただ暗い闇が

そこにあるだけ…。


飛那世「…。」


華途葉「…飛那世。」


飛那世「…どうしました?」


華途葉「…醤油切れそうだから、

今から買ってくるね…。」


飛那世「…今からですか?もう遅いですし

明日でも…」


華途葉「…いつ神吹との戦いになるか

分からないから早めに買っておこうと

思って…。」


飛那世「…分かりました、でも…

夜道には気をつけて。」


華途葉「…分かった。」


華途葉「それじゃ、行ってくる…」


飛那世「…。」


こんな日常もいつまで続くものか…


失うものもないし、得るものもない…


私には、何があるんだろう…。


ーー


ブリザード「…。」


これからの戦いはきっと、長い戦いに

なるだろう…この体は持つのだろうか?


…俺にとってはこの体など所詮

道具にすぎない…だけど。


皆と一緒にいることができないのは

辛いことだ…


…何も失いたくはないけど、犠牲無くては

この戦いは到底勝てやしない…。


…正直、不安だし怖いけど…きっと

できると信じるしかないんだろう。


…そうしないとやってられないから…。


ここまで強大な敵は今かつて相手にして

こなかったから…だからだろうか。


…弱音を吐いていても仕方ないか。


…こんなんじゃ柳太郎に顔向けできない、

前を向いていかなくてはな…。


…俺がこんなんだと先が思いやられるよ…。


…俺の父親もまだ居るのかな…


もし、居るのだとしたら絶対に俺が

殺さなくては…。


俺の負の歴史にもそろそろ終止符を

打たなくてはいけないし…。


俺が…あの頃とは違うってことを

証明するんだ…。


ーー


ガチャ


ブリザード「…おはよう。」


凍歌「おはよう、ブリザード…」


ブリザード「そっちは何か有益な

情報はあったか…?」


凍歌「ううん、全然なかったよ…」


ブリザード「…こっちも、全くと言って

いいほどなかったよ…。」


優来「うーん…探し方を変えた方が

いいのかな…?」


凍歌「まだ早いと思う…だけど、これで

見つからなかったら変えようか。」


優来「そうだね…でも、これじゃ

いつ見つかるか…。」


ブリザード「…俺もなんとかやってみる。」


凍歌「うん、そっちも頼んだよ…。」


ガチャ


永遠「ふぁ〜おはよ〜」


凍歌「うわっ、すごい眠そうだけど

どうしたの…?」


優来「多分、夜通し神吹の情報とかを

調べてたんじゃない…?」


永遠「いや…ずっとお兄ちゃんのこと

考えてて4時くらいまで起きてた…」


凍歌「いや、いつも通りなのかよ…!」


永遠「…そこはいつも変わらないよ…。」


永遠「…眠いからもう寝るね、おやすみ…」


ブリザード「…寝るな。」


永遠「ん…?お兄ちゃん…?」


永遠「あっ!!お兄ちゃん!!」


優来「一瞬で目覚めたね…」


凍歌「うん…これはもはや尊敬に

値するよ…。」


ブリザード「…本当に変わらないな。」


永遠「あー…お兄ちゃん、吸わせて…」


ブリザード「…待て、何をする…離せ…」


永遠「やだー!」


ブリザード「ちょ…待っ…本当に…」


ブリザード「ちょっ…優来…!」


優来「…元気そうでよかった。」


凍歌「ねー。」


ブリザード「…後で覚えてろ…」


凍歌「きゃー、怖いー!」


優来「あはは…楽しそうだね…」


ブリザード「これが楽しそうに見えるか…」


優来「見えるよ、永遠は…」


ブリザード「…俺はどうすればいいんだ。」


永遠「…笑えばいいんじゃないかな。」


ブリザード「…笑えねぇよ。」


永遠「えー?いいじゃーん。」


ブリザード「良くないんだよ…」


永遠「ちぇー、つれないなー。」


ガチャ


飛那世「失礼しまーす…って、

何してんの…?」


永遠「大人の戯れ、ってやつだよ…!」


ブリザード「…助けてくれ。」


飛那世「分かりました、そのままに

しておきますね…。」


ブリザード「…お前も俺のことを

裏切るのか…。」


華途葉「…全く。」


華途葉「こら、ダメでしょ…ブリザードが

困ってるじゃん…」


永遠「えー?ダメー?」


華途葉「ダメ…。」


永遠「はーい…」


ブリザード「華途葉、すまないな…」


華途葉「いいの、これくらい…。」


華途葉「…。」


ブリザード「…さて…お前ら?」


凍歌「はい…何でしょう。」


ブリザード「覚悟はできてるか…?」


飛那世「…はて?」


ブリザード「…優来もだぞ。」


優来「えっ、私も…!?」


永遠「ドンマイ。」


ブリザード「俺は容赦はしない…覚悟しろ。」


永遠「…あ!!あそこに巨大彗星!!」


ブリザード「…何処だ!?」


永遠「今だ!逃げろーっ!!」


優来「え!?う、うん…!!」


凍歌「うおぉぉっ!!」


ダッ…!!


ブリザード「…何処にもないぞ?」


華途葉「…ハァ。」


ブリザード「…何処にある?」


華途葉「…アンタ、それはないわよ…。」


ブリザード「…え?」


華途葉「アンタは騙されたのよ…。」


ブリザード「…そんな、馬鹿な…」


ブリザード「…。」


華途葉「えぇ、なにもそんなに

へこまなくてもいいじゃない…」


ブリザード「…何故だ。」


ガチャ


櫻「みんな、おっはよー…」


櫻「って、えぇ…」


華途葉「あ、櫻…。」


櫻「なんでブリザードこんな落ち込んでるの…?」


華途葉「永遠に騙されたことが相当

ショックだったみたい…」


櫻「え…?なんて言ったの…?」


華途葉「あ、あそこに巨大彗星…って。」


櫻「…え?」


華途葉「…そんな反応しないでよ、私が

恥ずかしいじゃない…」


櫻「え…それ、騙されたって言うの…?

てか、なんでみんな居ないの…?」


華途葉「色々あってね…ま、すぐにでも

戻ってくるでしょ…。」


櫻「は、はぁ…」


華途葉「ほら…ブリザード、とっとと

元気出しなさい…。」


ブリザード「…もう俺は無理そうだ…

華途葉、後事を託す…」


華途葉「ちょ、アンタほんとに大丈夫…!?」


ブリザード「…やはりこんな世界に生まれた

ことが全ての間違いだったな…こんなことなら…

あそこで死んだ方がよかったか…?」


櫻「ちょ、お、落ち着いて…」


ブリザード「…。」


ブリザード「櫻さん…」


ブリザード「【自主規制】…。」


櫻「だーっ!?ごっ、ごめんなさーいっ!?」


華途葉「…ブリザード、そんな恐ろしいことを

言えるなんて思ってもいなかった…。」


ブリザード「…流石に冗談だよ…。」


櫻「あー、よかった…怖いよ…もう。」


ブリザード「…あいつらは後で

何かするからいい。」


ブリザード「…それより、神吹の情報収集の

方が先だからな…。」


櫻「…あ、そうじゃん…私全然できてないよ!」


華途葉「私も…神吹の情報統制を

舐めてたけど…思ったより本体の情報には

たどり着きにくいみたい…。」


ブリザード「…どうにかできないものか。」


コンコン


櫻「はーい、どちらさま?」


ガチャ


城所「失礼します…」


櫻「あれ、城所さん、依頼ですか?」


城所「いえ、クッキーを買いすぎたので

おすそわけに…」


櫻「いいんですか?ありがとうございます!」


ブリザード「…神吹の情報について、何か

知っていることはないか…?」


華途葉「…その人が知ってるわけ…」


城所「…風の噂ですが…少しだけなら。」


櫻「え!本当ですか…?」


城所「…役に立つかは分かりませんが…

いいですか?」


ブリザード「…知ってることがあるなら

全部話してくれ…。」


城所「…どうやら神吹の重要拠点は

黄泉崎山脈の中にあるらしくて…」


櫻「…そこって…ここよりも西だよね?

そんな所にあるの…?」


城所「あそこには一般人が立ち入りを禁止

されている所があるんです…おそらく

その辺りにあるのでしょう…。」


ブリザード「…情報提供、助かる…。」


城所「いえ…礼には及びませんよ。」


華途葉「じゃ、そこを叩きに行けばいいのね?」


櫻「うん…恐らくは。」


城所「神吹を倒しに行くんですか…?

気をつけてください、失敗すれば

ただでは済まないので…。」


ブリザード「…分かっている。」


城所「…それでは、私はこれで…。」


櫻「ありがとうございました…」


城所「いえ…こちらこそ…。」


華途葉「…これが本当なら、ようやく

進歩するわね…。」


櫻「うん…他力本願ではあったけどね…。」


ブリザード「あぁ…ようやく本丸を叩ける、

長かったがようやく始まるんだ…。」


ブリザード「俺達の、復讐が、さ…。」


華途葉「…えぇ。」


飛那世「…中々風情が出てるじゃないですか。」


ブリザード「飛那世…戻ってたのか。」


永遠「見つけたんだね、神吹の基地を…」


凍歌「あー、今になって緊張してきたよー。」


優来「い、今…?」


飛那世「私も楽しみですよ…ようやくですからね。」


ブリザード「…皆待たせたな。」


ブリザード「…始めるぞ…」


ブリザード「俺達の復讐を…。」


ーー


神野「…。」


松原「ようやく来たか、遅いぞ…」


松山「どうやら任務は順調に終わった

らしいな…?」


神野「…えぇ。」


俊希「…これで、俺達の計画も大幅に

進むな…。」


神野「…破邪悲を敵に回すことに

何の意味があるの…?」


祐奈「神吹様の考えてることなんか知らないわよ、

何かしらの意味はあるんじゃないの…?」


神野「…そう。」


松山「不満か…?もう少しの心房だ、

心配すんな…」


松原「…なぁ、あいつは居ないのか…?」


祐奈「今日は他のとこで用事が出来たから

結石よ、残念ね…」


松原「チッ、つまんねぇな…」


祐奈「どうせアンタの趣味悪い日課の

話なんでしょ…?」


松原「よく分かってんじゃねえか、お前も

俺のコレクションに加えてやろうか?」


祐奈「嫌よ、縁起でもない…」


松原「ハハハ、冗談だよ…流石の俺でも

お前はキツイぞ…」


祐奈「…どう言う意味よ。」


松原「お前のやってることがやってること

だけにな…1番タチが悪いんだよな。」


祐奈「…ハァ、またその話?これでも

私は実力だけでここまで来たのよ…?」


天原「…そこ、その話はいつ終わる?」


松原「もう終わんだろ。」


天原「そろそろ神吹様が来るから

準備しておけ…。」


祐奈「ハイハイ、分かりましたよ…。」


神吹「…全員居るな?」


俊希「えぇ、問題なく…」


神吹「それでは今後の方針を発表する…」


神吹「奴らはもう既にこちらの基地の情報を

一つ入手している、そこに幹部数名を送る、

人選は決定したら本人に報告する…。」


神吹「そして…そこに戦闘部隊を5つ

送り込む、早めに芽を潰すためだ…」


神吹「そろそろ奴らも本格的に動き始める

だろう…こちらも準備を進める…。」


神吹「…久々だ、こんな大規模な作戦は…」


神吹「…気を緩めるな、容赦なく叩き潰せ、

我々に逆らう者は全て皆殺しだ…。」


神吹「…分かっているな?では、

今日はこれまでだ…、明日までに

全ての準備を終わらせろ…。」


俊希「…承知致しました…。」


神野「…。」


松山「…ここまでは大体筋書き通りの

ようだな…。」


松原「ああ、予定通りだ…あとは、

ここからだ…。」


克己「…始まるな。」


祐奈「あれ?アンタ生きてたの…?」


克己「…お前がすぐに引かなきゃよかったん

だろうが…」


祐奈「仕方ないじゃない、状況が

悪かったんだもの…」


天原「言い訳するな、逃げたくせに…」


祐奈「うっさいわね…アンタも逃げてきた

くせに…!!」


天原「何だ…このアマが…!!」


雪村「…落ち着きなさい。」


天原「チッ、雪村…!!」


雪村「そんなんじゃあいつらを倒すことは

到底できやしない。」


雪村「雑魚が群れることもできないんじゃ

それで終わりよ…?」


祐奈「言わせておけば…何を…!!」


克己「落ち着け、そんな話は後でしてろ…」


天原「…。」


雪村「さ、とっとと行きなさい、武器の

準備をしておくのよ…」


祐奈「…へいよ。」


神野「…。」


雪村「…雪野。」


神野「…何?」


雪村「余計なことは考えないように

しなさい…。」


神野「…分かってる。」


神野「…。」


ーー


神野「…妙ね…」


…既にみんなは基地の場所を知ってると

言ったけどうちの情報をどうやって

知ったの…?


うちの基地の情報なんて幹部格以外には

漏れないはず、もしくはその基地の

兵士か…?


…それに、破邪悲があっち側に渡ったのに

予定通りなんて…どう言うことなの…?


訳が分からない…私には何も話されていない。


何を隠しているの…?それに、破邪悲を

奪われたのに克己、祐奈、天原の誰一人

にも罰が与えられてないなんてありえない。


実力主義のSUNSINEにおいてこんなことは

今までなかった…こんなこと。


…調べてみよう、父さんの思惑を…

どうしてこうなったのかを…。


世界を救うためには、

…そうしないといけないから…


神野「…でも。」


本当に、これでいいのかな…?


どうしてだろう…そう思う。


なぜか胸騒ぎがしてくる…とても不安だ。


世界をこの手で救うって決めたのに…

何でだろう、怖いな…。


ーー


ガチャ…


華途葉「優来…話って何?」


優来「…華途葉に一つ頼みがあるの、

華途葉にしか頼めないことで…」


華途葉「…何?そんなになって…」


優来「…やっぱり、おかしいよ…情報がこっち側に

漏れてなきゃあんなに被害を受けた後に

エビルプラントに兵士を置けないはず…」


華途葉「…神野が漏らしたんでしょ、

それが神吹の作戦なんだよ…。」


優来「…だとしても、破邪悲を狙いにくると

確定してる訳じゃないし…」


華途葉「奴らの重要な物だって神野が

言ってるんだから、それも…」


華途葉「…でも、ここまでがおかしいな。」


華途葉「ここ最近の依頼先の組織に確定で

神吹が関わってる、けど、それも

神野の仕業なんじゃ…」


優来「…でも、よく考えて…神野さんの

正体はどうやってブリザードにバレたの?」


華途葉「…自分から言ったんでしょ?」


優来「もしそうだとしたら、神野さんの中には

罪悪感が少しでもあるってこと、つまり…

全部は漏らさないはず。」


華途葉「…まさか…もう一人裏切り者が

居るってことなんでしょ…?」


優来「…うん。」


華途葉「…アンタがそんなことを言うなんて、

予想外ね…。」


優来「…嫌でも分かっちゃうの。」


華途葉「…でも、アンタが1番信用してるのは

ブリザードでしょ?なんで私に

喋ろうと思ったの…?」


優来「…ブリザードは、動いては

くれないだろうから…」


優来「…ブリザードは、私達に強い情を

持ってる…それは神野さんの件で分かった。」


優来「…つまり、ブリザードは言ったとして

動いてくれる可能性が低い…」


優来「つまり、この中でメンバーに1番

情を持ってない華途葉に喋るのが

1番だと思って…。」


華途葉「…なるほどね。」


華途葉「アンタの言いたいことは

よく分かった。」


華途葉「…できるだけ探してみるわ。」


優来「…ありがとう。」


華途葉「…でも、アンタも気をつけなさい…」


華途葉「アンタの話が本当なら、裏切り者は

いつ襲ってくるか分からないから…。」


優来「…うん、分かってる…。」


華途葉「…。」


裏切り者…まだ居ると言うの?


そんな展開はもう飽きたのよ…

ありきたりすぎて、つまらない…。


これが作られた話ならば、こんな酷い

話はありえないわね…。


信じる者は救われるなんてどっかで

言ってたけど…これじゃ信じる者は

バカを見る、じゃない…。


頑張った人が報われるんじゃないの…?

信じれば救いが来るんじゃないの…?


天国への標になる蜘蛛の糸も、所詮は

か細い希望で、いずれ千切れ果てる

運命だとでも言うの…?


…こんな狂った物語なら、私は

放棄してしまいたい…。


それほどにこの世界は理不尽で、

裏切りに満ちているんだ…


…少しは信じてみてもいいのかな、って…

思いはしたけど…結局こうなるんじゃん…


…もう、諦めるよ、まともな人生は…


…どうせ、私には血に濡れた人生か

お似合いなんだ、そうに決まってる…。


私はただ幸せになりたいだけだったのに…

それさえ叶えてはくれないの?


贅沢をしたいわけじゃなかったの…ただ、

身の丈に合う幸せが欲しかっただけなの…


普通に生きて、普通に遊んで…普通に

結婚して、普通にお嫁さんになって…

そんな人生を空想していたのに。


これが現実ならこんな悲劇は御免よ…

これだけ理不尽で辛い物はないわ。


幸せになることすらできない世界なら、

いっそ無くなってしまえばいいのに…。


弱い人は食われるしかないの?私や

飛那世の妹…凍歌さんや…ブリザードみたいに。


私は…ブリザードのことは信じてるつもり、

だけど…怖いの、信じることが…


いずれ人は無に帰す、それは分かってるのに…

ブリザードが消えてしまうのが怖い。


人の生命は儚い生命だとよく言うけれど…

死ぬなんて悲しいだけじゃない。


何もできなくなって…大切な人には

忘れられて…いいことなんかないわ。


…それでも、死を望む人がいるなら相当

楽なんでしょうね…私にはできや

しないわ…。


…辛くて死にたくなることならある、

だけど結局私には死ぬ覚悟もない…

今も、死ぬことが怖くて仕方がない…


…私は、弱いの…ブリザードみたいに

強くない。


自分の容姿を馬鹿にされただけで泣いて…

そこから立ち直ろうともしなかった。


変わろうともしなかった、できるほどの

勇気も持ち合わせてなかったから…


悔しいは悔しい、だけどどうしようもなくて

虚しいの…。


私は人のことをまともに信じれもしないくせに

人が居なきゃ生きていけないから…。


だから、そんな自分が憎くて、憎くて、

仕方がないの…。


私はこんな自分が嫌い…だけど。


こんな私を生み出した…この世界は…

もっと大嫌い。


next…


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