ビニール袋と

夜猫子

 

こゆびにむすばれた


真っ赤な糸



あいしてる



あなたは私の指先に口づけしてくれる


あなたのそのくちびるで


糸は紡がれて


その舌で


糸は編まれていくんだね



私にキスをして


あなたの編んだ布で


私は包まれる


温もりを感じる


あいしてる

















ねえ


教えてよ


ほんとうに


あいしていたの?





あいしてる






その言葉を紡いだ


あなたの


そのくちびるで


わたしを


責めて


そうして


憎むんだね





その指先が包んでいたのは




ほんとうは





わたしの頸椎でした







抱きしめてくれないのなら


はじめから




あいしてる




だなんて


そんな


陳腐な言葉を言わないで


わたしが


引き返せなかっただけ


そうなる前に













流して捨ててくれたらよかったのに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ビニール袋と 夜猫子 @yoruninetai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ