第44話 イチャイチャしたいのっ!
「ねえ拓哉。明日はお休みなの?」
出張から帰ってきた日、のんびりお茶を飲みながら美優と過ごしていると明日の予定の話になる。
俺は美優の言葉にゆっくりと首を縦に振った。
「うん、明日は土曜日だしね。休日出勤とかはないよ」
「そ、そうなんだ……」
「……?うん」
なんというか美優の歯切れが悪い。
少し顔を赤らめ下を見ながらもじもじしている。
どうしたんだろうか。
「何かあったの?」
「そ、その……明日休みならさ……」
「あー明日どこか遊びにでも行く?」
「行きたい……!けどそうじゃなくて……」
違うらしい。
でも行きたいとは言ってたからどこか良さそうなところが無いか探してみることにしよう。
せっかくなら美優に楽しんでほしいしな。
「デートじゃないならどうしたの?俺にできることなら何でも美優の力に
なりたいけど」
「その……イチャイチャしたいのっ!」
「へ?」
美優から出た言葉は思いも寄らないものだった。
それだけになんともマヌケた声が出てしまう。
「い、イチャイチャ?」
「うん……だって拓哉がずっといなくて寂しかったんだもん……」
それでさっき少し恥ずかしいような言いづらいような感じだったのか。
人妻でこんな可愛いのってありなんですかね?
多分というか間違いなく俺の妻は世界で一番可愛いと思う。
俺はすぐさま立ち上がり椅子に座っている美優を後ろから抱きしめた。
「すぐにでもイチャイチャしよう」
「……ふふっ。ありがとう」
美優が後ろを向き軽く唇を重ね合わせる。
久しぶりのキスはすごくドキドキしたけどそれすらかき消して嬉しい気持ちが溢れてくる。
俺達はイチャイチャしやすいようにソファーへと移動することにした。
「さて、隣に来て」
俺が先に座りぽんぽんと自分の隣を軽く叩く。
すると美優は俺の隣ではなく俺の膝の上に座ってきた。
「えっと……自分から乗っちゃっといてなんだけど重くない……?」
「それは大丈夫だよ。でも隣に座らなくて大丈夫?俺の上座り心地悪くない?」
「ふふ、いいの。ここは私だけの特等席だもん」
「それは間違いないな」
美優は重いどころか少し軽いくらいだ。
なんなら太ももに感じる美優の形の良いお尻の感触を感じられるくらいには余裕がある。
かわりにいつもとは違う感じにとてつもなくドキドキするが。
なんと男は単純な生き物なのだろうか。
「ここからどうしてほしい?」
「うーん……まずはギュッて抱きしめてほしいかも。少し強めが良いな」
「わかった」
俺は美優のお腹にそっと手を回し抱きしめる。
苦しくないように、でも相手の存在を強く感じられるように抱きしめると美優の温かみやら柔らかさやらが伝わってきた。
昨日までは触ることすらできなかった愛おしい存在が腕の中にいると思うと嬉しくなる。
「私も拓哉のこと抱きしめたいから一瞬だけ緩めてほしいな」
俺が言われた通り少し力を弱めると美優は俺の上に乗ったまま体を90℃回転させ横向きになると俺の首に手を回してくる。
さっきよりも密着度が上がり美優の心臓の音が聞こえてくる。
誰かの心臓の音を聞いていると落ち着くというのは本当のようで自分の身体からどんどん余計な力が抜けていってリラックスできているのがわかる。
「キス……キスして……」
「もちろん」
唇を重ね合わせると美優の舌が俺の唇を割って口内に侵入してきた。
さっきまでの優しいキスとは打って変わって貪るような激しいキス。
普段の美優からは考えられないくらい積極的で
美優が普段この状態になるのは無くはないけどかなり珍しいのでやっぱり今回の出張で寂しい思いをさせてしまったんだなと少し申し訳なくなる。
「ぷはぁ……はぁはぁ……たくやぁ……」
「ごめんね。寂しい思いをさせちゃって」
「うん……たくやがいなくてすっごく寂しかったぁ……」
少し幼い言動をしながら美優は顔をグリグリと胸に押し付けてくる。
俺は苦笑しながら美優の頭を優しく撫でる。
もう風呂には入ったみたいでサラサラとした艶のある黒髪からいい匂いがふわりと漂う。
「明日と明後日は一緒にいられるから。遊びに行ったり家でのんびりしたり、なんでもいいけど一緒に過ごそう」
「うん……一緒にいる……たくやと離れたくないもん」
なんと可愛い生き物なのだろうか?
もう俺は絶対に手放したくないんだが。
俺がもう一度抱きしめようとすると美優は再びキスをしてきた。
意表を突かれたせいで主導権を美優に握られ俺はされるがままになる。
「ねえ拓哉……ベッド、いこ?」
そんなことを言われて耐えられるわけがなく俺達は夜、ずっと愛し合った。
会えなかった時間を埋めるかのように──
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新作の準備もありますのでペースを上げるのは難しいですが更新は続けていく予定です。
のんびり気長に待っていていただけると嬉しいです!
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