第36話 第一回村松家の飲み会

「はぁ……気持ちいいね……」


「本当だな……こんなに気持ちいいとは……」


俺たちは今、行為の真っ最中……というわけではなく足湯に入っていた。

予想以上に気持ちよくて驚いている。

足だけお湯に浸かるというのはなんとも不思議な気分だった。


「足湯は冷え性とか不眠症に効くんだって」


「それじゃあ美優は結構効く感じか?」


美優はかなりの冷え性だった。

春で暖かくなってきたかなと思っていたときも寒い寒いと布団を被っていたときもあったし。


「すごくポカポカするよ……」


「そっか」


美優は気持ちよさそうに目を細めていた。

今度家の近くに足湯が無いか調べてみようかな。

もし無かったらネットとかで調べれば家でも足湯ができるんじゃないだろうか。

俺たちが座っている向きはちょうど綺麗な夕日が見えた。


「きれいだね……」


「うん。今日の締めくくりにぴったりだな」


俺たちは今日はいろいろなところに回った。

メインは食べ歩きだな。

美味しいものが多くて美優といろいろシェアをしながら楽しんだ。


「もう……!今日はまだビッグイベントが残ってるでしょ」


「ビッグイベント……?」


「お酒飲むって約束したでしょ」


「ああ、そうだったな」


結局忘れてしまっていた。

今日という一日が楽しくてつい忘れてしまっていた。


「じゃあ今日はお酒を買って帰ろう。どうせならこの地域ならではの酒が飲みたいな」


「うん!」


俺たちは持ってきたタオルで足を拭き靴を履く。

そしてスマホで近くに酒を売ってる場所が無いか調べ始めた。


「お、ちょうど帰り道にあるみたいだぞ」


「本当だ。ちょうどいいね」


早速酒屋に移動した。

地酒が主なラインナップのようだ。

とりあえず店主のおすすめを聞いてそれを買うことにした。


「旅館の売店にもいくつか売ってたから飲み比べしない?」


「いいな。ついでにおつまみもそこで調達しよう」


俺たちは意気揚々と旅館に戻り大量のおつまみと酒を買った。

冷蔵庫に余りのお酒を入れておく。


「さて、まずは夕飯だな」


「あと少しで来るみたいだよ」


数分後、中居さんたちによって豪華な夕飯が用意される。

相変わらず美味しそうでお腹がなった。


「じゃあ食べようか」


「うん。第一回村松家の飲み会開催だね」


俺たちはお互いのおちょこに酒を注ぐ。

そして軽くぶつけて乾杯した。


「「乾杯!」」


早速一口くいっといく。

飲みやすいタイプのお酒でとても美味しい。

美優のほうを見ると美優も美味しそうにちびちびと飲んでいた。


「どう?美味しい?」


「うん。お酒なんて久しぶりに飲んだよ〜」


まだ酔っているわけではなさそうだ。

まあ一口で酔われたら逆に困ってしまう。

俺たちはお酒を楽しみながら箸を進める。

そして食べ終わったころには……


「たくやぁ〜お酒美味しいねぇ〜」


「お、おい美優?大丈夫か……?」


完全にできあがっていた。

まさか美優がここまで酒に弱いとは……

飲み比べしようとか言ってたのに飲み比べるまでもなく酔っている。


「ふぇ?らいじょうぶらいじょうぶ〜!」


うん。絶対に大丈夫な人が言うセリフではない。

こんなに酒に弱いならあらかじめ言っといて欲しかった……


「美優。ちょっと下の売店で飲み物買ってくるぞ」


「え〜もっと一緒に飲もうよ〜!」


「ダメだ。今はとにかく飲み物を買いに行く」


俺は急いで下の売店でスポーツドリンクや水を買った。

そして戻ったのだが……


「あ、たくやだぁ」


「み、美優!?何してるんだ!?」


美優はなぜか浴衣を脱ごうとしていた。

だが思うように帯がほどけないのか浴衣は乱れ肩が出てしまい白い下着がちらりと覗いている。


「あついからぬぐのぉ……」


「ここで脱がない方がいいって!確実に明日後悔するぞ!?」


もう明日の朝、顔を赤くして手で顔を覆っている美優の姿が見えた気がした。

記憶が残っていれば、の話だが。

ここまで酔ってるんじゃ記憶が残っていない線の方が濃厚か?

ってそんなことを考えてる場合じゃない!


「らいじょうぶだよぉ。たくやにならみせてもいいもん」


「そう言ってくれるのは嬉しいけども!」


俺はもうどうしていいかわからなかった。

迷っていると美優からいきなり押し倒される。


「お、おい?美優?」


「たくやはシたくないの?」


「えっ!?そ、それはまあ……したいけど……」


もう美優の浴衣は本格的に崩れ始めほとんど服としての効果を発揮していなかった。

逆に中途半端に残っている分ただの下着姿よりも破壊力があるかもしれない。

美優が体重をかけてきて綺麗な白い谷間が押しつぶされ形を変えていた。


「わたしもシたい……たくやとならいつでもシたいと思ってる……」


酒を飲んでいるからこその美優の本音が俺に響いた。

ここまで言われてしまうと俺もお酒を飲んでいるわけだし自制心が薄くなって我慢が効かなくなってしまう。


「本当にいいんだな?」


「うん。もちろん」


そう言って美優は俺の口を塞いできた。

俺たちは結局、酒に流されすることになった。


ぶっちゃけめちゃくちゃ気持ちよかった。

美優はいつもより積極的だし必死にいろいろしてくれようとするのが可愛かった。

酒ありでするのも良きだな……


………一夜の過ちとはこうやって生まれるのか。


─────────────────────────

感謝!


柊星海 様


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