第33話 イチャイチャは約束だよ?

「本当にごめん……」


「気にしてないから大丈夫だよ」


俺は今、美優に平謝りしていた。

先ほど我慢できなくなってシてしまった件のことである。

シ終わってから我に帰った。


「でも美優は昨日が初めてだったわけだし痛かったでしょ?」


「私もするまでずっと痛いんだろうなって思ってたんだけどね。いざ、するとすごく幸せな痛みだったの。だから大丈夫」


そう言って美優はしなだれかかってくる。

俺達は今、朝食前の家族風呂に入っていた。

何とは言わないが汗以外にも色々出て体が汚れてしまっていたため綺麗にする必要があったのだ。

お互いの体を隠す湯浴み着はもう着ていない。


「拓哉はどうだった?気持ちよかった?」


「ま、まあな。衝撃を受けたよ」


「ふふ、なにそれ。ありがとう、でいいのかな?」


美優は楽しそうに笑う。

俺もつられて笑顔になる。

よかった、無理してるわけではなさそうだ。


「今日は1日旅館でゆっくりしようか」


「え?でも1日消費するの勿体なくない?」


俺の提案に美優は小さく首をかしげる。

せっかくなら外に観光に行きたいと言わんばかりだ。


「痛いの大丈夫って言ってたけど歩きづらいんでしょ?さっきも少し庇ってたみたいだし」


「う……そ、それは……」


どうやら当たりのようだ。

美優は視線をそらす。

俺は一つため息をつき美優を説得し始める。


「新婚旅行はイチャイチャするために来てるんだろ?観光ならまだ3日あるし足りなかったらまた一緒に来よう」


「うん……わかった。じゃあ今日はいつもよりイチャイチャしよ?」


「ああ、そうしよう」


なんとか納得してくれたようだ。

これで今日は美優を無理させなくて済む。

原因は俺なので本当に申し訳ないから今日はとことん甘やかすとしよう。


「美優、おいで」


「なんか子供扱いしてない……?行くけどさ……」


俺が呼ぶと美優は俺が子供扱いしたことを不満気にしながらもやってきた。

俺はその細いお腹に手を回し抱き寄せる。

そして俺の足と足の間にすっぽりと収まる。


「あったかいな……」


「こうしてくっついてると安心する……」


俺たちはそのまま30秒ほど沈黙を保ちお互いの温もりを感じる。

お湯の温かさとお互いの体温で温まった体に風が当たるのが気持ちいい。


「そういえば拓哉の会社の社員旅行も温泉なんだよね」


「まあな。こことは違う旅館だけど」


社員旅行が温泉旅行だということは分かっていた。

それでも社員旅行に合わせて新婚旅行の行き先を変えるのもどうなんだろうか、ということでここに来たのだ。


「飽きる?」


「ううん。こことは違う旅館なら違う温泉が楽しめるんでしょ?楽しみだよ」


「それならよかった」


俺も昨日、温泉の良さに気づいたので楽しみだ。

まぁ美優と一緒にまた旅行に行けるというのが楽しみな理由の9割を占めているが。


「話変わるけど今日、外に出れないならお酒飲む?」


「それも楽しそうだな。だけど酒を飲んだら普通にまた襲いかねないからあまり賛成できないんだけど」


「も、もしそうなっても私は大丈夫だよ……?拓哉が求めてくれるなら私は受け入れるから」


ぐっ……!なんと魅力的な提案を……

しかしながら美優に負担をかけるのはよくない。

ここは自制心を持たなくては……


「今日はやっぱりやめておこう。美優に無理はさせたくないからな」


「……大丈夫なのに。じゃあ今日は我慢するから明日お酒飲も?」


「分かった。その代わり今日は我慢な」


「うん」


明日一緒に飲むことで妥協してくれた。

何気に美優と一緒にお酒を飲んだことは無いかもしれない。

俺は飲み会などの人付き合いでしか飲まないし美優はあまり酒は好きではない。

だから茶菓子を食べながらお茶を飲む、というのがいつもの食事後だった。


「でも今日のイチャイチャは約束だよ?」


「ちゃんと覚えてるよ」


「じゃあそろそろ上がろう。お腹空いちゃった」


そう言って美優が軽くお腹を抑えながら立ち上がる。

朝から何も食べてないので俺も何か食べたくてしょうがない。


「そうだな。朝から運動したんだし」


「そ、そういうことは言わないの……!」


言うのはいいけど言われるのは恥ずかしいらしい。

そんな美優の姿に思わず苦笑する。

俺も立ち上がり美優を抱き寄せて軽くキスをした。


「さて、じゃあ朝ご飯を食べに行こうか」


「……うん!」


俺と美優は並んで風呂から上がった。


──────────────────────────

積極的になったお風呂回。

そして案の定お酒シーンが出てくることになったので頑張って書きます!

宅飲みですね(宅っていうのか知らんけど)



本日の9時5分から新作を公開!

タイトルは……


『どうやら僕はラノベ世界の聖女の幼馴染らしい、学園で数年ぶりに再会したらなんかヤンデレになってるんだけど?』


https://kakuyomu.jp/works/16818093074752962029


です!


これは予定してたものじゃありませんがとりあえず出します!

出した理由はこちらをご覧ください。


https://kakuyomu.jp/users/brioche/news/16818093075403382706


限定ノートにてお知らせしていた新作は投稿までもう少し時間がかかりますのでもうしばらくお待ちください!

4月中には必ず出します!

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