第31話 ありがとう

俺は今、猛烈に緊張していた。

人生で一番緊張していると自信を持って言えるほどだ。


「う、上手くやれるかな……」


歯磨きも終え、ゴムも近くに置いてある。

あとはイタすだけ、という状態で敷布団に座って美優を待っているのである。

美優が髪を乾かしてる間に俺は歯を磨いたので今は美優が歯磨きをしているのだ。


「じ、準備できた……?」


後ろから美優の声が聞こえてきた。

振り返ると美優が少しもじもじした様子で立っていた。

そして俺の横に座ってくる。


「あ、ああ。一応準備は出来てるよ」


「そ、そっか……電気消してもいいかな……?明るいのは少し恥ずかしいから……」


「わ、分かった。消すよ」


俺は部屋の電気を消し再び座る。

お互い緊張している事がわかりしばらく俺達の間に沈黙が流れた。

そしてどちらからともなく顔を見合わせ唇を重ねた。

しばらくすると俺は美優の唇を舌でこじ開け中に侵入する。


「んっ……くちゅ……はむ……ちゅ……」


美優も負けじと舌を動かしてきて部屋に液体の音が響く。

そしてもはやどちらの舌かわからなくなってきたころ、俺達はようやく離れた。

俺達の間に光る一本の線ができる。


「ぷはぁ……拓哉、今日はなんかいつもより積極的だね」


「そりゃあそうだろう。俺にだって欲はあるんだから」


「結婚から一ヶ月も手を出さなかったのに?」


今思えば全くもってその通りだと思ったが認めるのはしゃくだったので美優を押し倒し再びキスで口を塞いだ。

美優も抵抗することなく受け入れてくれる。

そして口を離すと美優の浴衣がはだけていて黒い下着がちらりと見えていた。


「帯、ほどいていいよ……」


「あ、ああ……」


美優に言われ恐る恐る帯を引っ張っていく。

帯を抜き取ると美優の浴衣の前の部分は完全にはだけ美優は下着姿になる。

美優の下着は軽く透けていて明らかに普段使いするような見た目ではなかった。


「どう……かな?お店で見つけて買ってみたんだけど……」


「とても似合ってると思うよ」


「ふふ。勇気出して買ってみてよかった……」


だが似合ってるどうこうよりも今日のために用意してくれたことが嬉しかった。

そして勝負下着なだけあってぶっちゃけエロい。

その本来の用途通り効果を発揮し俺の理性をゴリゴリ削ってくる。


「ほら、約束通り触ってみて……?」


「わ、分かった……」


美優と風呂で約束したことを言ってるのだろう。

俺はゆっくり指先で胸を触ってみる。


「んっ……」


美優から艶めかしい声が聞こえてきて一瞬ビクッとなるが美優が首を横に振ったため俺は気を取り直す。

少し力を入れてみると柔らかくて形を変えて沈んでいくのに跳ね返してくる弾力がある。


「どう?初めて触った感想は……?」


「なんかすごい……それしか言えないよ……」


こいつには魔力がある。

男が逆らえない引力みたいな魔力を放っていてずっと触っていたい……


「もっと触っていいんだよ……?」


「………」


美優はブラを外して俺の手を掴み自分の胸に押し当てる。

手のひらいっぱいに柔らかい感触が走った。

手に収まりきらないそれが確実に理性を追い込んでいく。


「じゃあ次は拓哉も脱いでよ」


「あ、ああ……了解」


俺も浴衣を脱ぎ下着だけになる。

もはやお互い纏うものは下着だけだ。


「あんまり湯浴み着と変わらないね」


「まあそりゃあな……」


男なんて下半身くらいしか隠す場所ないからな。

だからバリエーションもなにもないだろう。


「じゃあいっせーのせで全部脱いじゃおうか」


「うん。拓哉のタイミングでいいよ」


「では……いっせーのせっ!」


俺達は二人で服を脱ぐ。

もう俺たちは何も着ていなく生まれたままの姿だ。

美優の顔は薄暗くてもわかるくらい顔が赤い。

多分俺も似たようなものだろう。


「きれいだ……」


俺は思わずそうつぶやいていた。

月明かりに照らされた体はまるで芸術品のように美しい。

つい口に出てしまったのも仕方のないことだと思う。


「ふふ、ありがとう」


「どういたしまして……っていうのもおかしな話か」


おどおどしていると美優が軽く俺の顔を両手で持って唇を重ねてくる。

そして唇を離し抱きついてくる。

肌がふれあいお互いの体温を強く感じる。


「私……本当に拓哉と結婚できてよかった……」


「俺もだよ。あの日美優と出会えて、今こうして夫婦でいられることが本当に嬉しい」


俺達は一旦離れ、笑いあった。

そして同時に口を開く。


「「ありがとう」」


出会ってくれて、仲良くしてくれて、結婚してくれて、支えてくれて、愛してくれて、本当に全てのことにありがとうと言いたい。

この言葉以上に今、この場にふさわしい言葉はなかった。

俺達は顔を見合わせ再びキスをして美優を優しく押し倒した。


そして俺たちは今日、肌を重ね一つになった。



──────────────────────

BANとかされないですよね……?

もっと踏み込んでる作品ありますよね……?

砂乃は過去一ビビっております……


感謝!


@k0179 様


おすすめレビューありがとうございました!



そして話は変わりますが今日でこの作品の連載を始めてちょうど一ヶ月が経ちました!

皆様のおかげでここまで連載を続けてこれて感謝しかありません!


この作品は砂乃にとって初めてランキングに入れた作品です!

今までは☆30とかで足掻いてましたので……


そのときから読んでくださっている方々、本当にありがとうございます!


この作品で初めて砂乃を知ったという方々、この作品を通じて皆様と出会えて本当に嬉しいです!


そして最後にこんなまとめ方をしていますがこの話は最終話ではありません!笑


これからもよろしくお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る