幼馴染と新婚旅行

第27話 温泉街は夢の国より夢がある

いよいよ、ゴールデンウィークがやってきた。

今日、美優と新婚旅行に出発するのである。


「戸締まりできた?」


「ああ。2回確認したからばっちりだ」


「忘れ物は無い?」


「ああ。昨日美優と一緒に何回も確認したから大丈夫」


美優と一緒に色んな確認をする。

これでもかと確認をしたので旅行はなんの憂いも無く楽しめるはずだ。


「それじゃあ行こうか」


「うん!」


俺達は最寄り駅に向かって歩き出す。

車で行くことも考えたのだがお互いゆっくりしようとのことだったので電車を使うことにした。

2時間ほどの距離である。

二つほど電車を乗り換えて目的地に直通の電車に乗る。

あとは一時間半ほどこの電車に乗り続ければいいだけだ。


「これでしばらくはゆったりできるね」


「そうだね。美優は何を読んでるの?」


二人で隣の席に座っていると美優が何かを読んでいた。

見たところパンフレットのようだがせっかくなので話のタネとして使うことにした。


「これ、今日行く温泉街のパンフレットだよ。駅で見つけたから貰ってきたの」


「へぇ。俺も一緒に見てもいいかな?」


「もちろん」


俺達は肩を寄せ合ってパンフレットを一緒に覗き込む。

ある程度最初に調べてはあるが今回はリアルタイムで予定を決めることにしていた。

観光を楽しむのはもちろんだがゆっくり過ごしながらイチャイチャする選択肢も大いにありだ。


「このお団子美味しそうじゃない?」


「いいね。このお店他にも美味しそうなものがたくさんあるね」


「足湯とかも入りたいな」


「俺あまり足湯入ったことないんだよね」


家の近くに足湯なんてない。

温泉街とかに行ったときも旅館の露天風呂でいいや〜ってなって入らなかったんだよな。

実際のところどんなもんなんだろうか。


「それはもったいないよ。足湯ってお風呂とは全然違う良さがあるんだよ」


「それは楽しみだな」


「着いたら一緒に入ろうね」


美優と一緒に初足湯なんて楽しみ過ぎる。

あと未だ誘えてないが家族風呂も入りたい……!

もはや俺にとって目的地の温泉街は千葉県にある夢の国より夢がある。


着いてからの話をしているとあっという間に到着した。

流石温泉街と言うべきか至る所から白い煙が上がっている。

今日からここに4泊5日できるなんて最高以外の何物でもない。


「チェックインまでどれくらいあるの?」


「一時間くらいにしておいたよ。それまで美味しそうなものでも探してみようか」


「うん……!どんな物があるかなぁ……」


俺達は方向だけは旅館を目指しつつ適当にブラブラする。

ゴールデンウィークだからかそこそこ観光客も多い。


「何か食べたいものある?」


「うーん……あそこのお店はどうかな?」


美優が指差したのは和菓子屋だった。

美優はどら焼きを始めとした和菓子が好きなので当然といえば当然だが。

そして俺も洋菓子よりも和菓子派なので異存はない。

俺達は早速店に入りラインナップを確認する。


「どれがいいかな……」


「確かにこれは悩むな……」


魅力的な見た目と名前のお菓子で溢れている。

どれも食べたくなってしまう。


「美味しそうなのを何個か買って旅館で食べるのはどうかな?」


「いいね。それじゃあお互い1種類ずつ選ぼうか」


俺は悩んだ末、温泉まんじゅうを買うことにした。

まんじゅうに刻まれた温泉マークを見ると温泉街に来たなって感じがしたという自分でもよくわからない理由で決めたけども。

美味しそうだし何も問題なしだ。


「美優、決めた?」


「うん。色々悩んだけどこれにする」


持っていたのはどら焼きだった。

相変わらずのどら焼き好きのようで嬉しそうに抱えているのが可愛くてつい笑ってしまった。


「あ、馬鹿にしてるでしょ」


「そんなことないよ。嬉しそうな美優が可愛いなって思っただけ」


「なんかやっぱり馬鹿にしてる気がする……」


美優はジト目で俺を見つめてくる。

俺はその視線から逃れるためにさっと美優からどら焼きを受け取って会計することにした。

美優も追及を諦めたようで大人しく着いてくる。

無事に買うことが出来た俺達は早速旅館に向かうことにした。


「温泉なんて久しぶりだな」


「私も。調べてみたらこの街の温泉は美肌効果があるみたいだよ。私もスベスベのお肌になりたいなぁ……」


「美優の肌ってスベスベな気がするけど。ほっぺとかもちもちしてるじゃん」


「そう言ってくれるのは嬉しいけどもっと綺麗になりたいの。その……するときに肌を見て綺麗だなって思ってほしいから……」


もう既に今の時点で最高なんだが?

自分のために綺麗になりたいと言ってくれるなんて嬉しいに決まっている。

軽く美優を引き寄せて唇にキスを落とす。


「もう、ここ外だよ?」


「ついね。今日は外でしても怒らないんだね」


「新婚旅行ってイチャイチャするために行くものだと思ってるもん。私だって拓哉とイチャイチャしたいし……」


「それじゃもう一回」


「あっちょっと待──」


とりあえずもう一回キスをする。

美優も特に抵抗することは無かったが少し恥ずかしそうにしていた。

新婚旅行ってイチャイチャするためにある、という言葉が美優から出るなんて最高だ。

もう何回でも新婚旅行したい。


そのまま流れでイチャイチャしていたらチェックインに少し遅れてしまったのは言うまでもなかった。



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この温泉街のモデルは存在しません。

ですので砂乃のイメージで勝手に名物やらなんやらを作っていきます。


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