第26話 拓哉とならそういうことも

「なー拓哉。今日ちょっと久しぶりに飲まないか?」


「今日?飲みかぁ……」


昼休み、敬太と昼食を食べていると敬太に飲みに誘われた。

確かに最近はすぐに家に帰りすぎてあまり飲みに行けてない。

別に酒がそこまで好きなわけではないが友達付き合いも大事だろう。


「ちょっと待って。美優に聞いてみる」


「おー了解」


俺はスマホを取り出し美優とのチャット画面を開く。

履歴は帰りますとお疲れ様の言葉で溢れていた。


12:15 『お疲れ様。今日敬太と飲みに行ってもいい?』


12:18 『全然大丈夫だよ!お友達も大切にしてね。これから飲みに行くときは許可 なんて取らないで連絡だけ早めにしてくれればいいから』


12:19 『ありがとう。今日はそういうことで帰るの遅れます』


12:20 『はーい。あと、あんまり飲みに行くと寂しいからたまには私にも構ってほしいな』


12:20 『構いまくるから任せて』


今、俺の中で飲みは最小限に抑えることが決定した。

メールでやりとりしてるだけなのに可愛すぎだろ……

構ってほしい発言は中々に効いた。


「ニヤニヤしやがって……奥さんはなんて?」


「友達も大切にしろってさ。そんなわけで今日は飲みに行こうか」


「奥さん最高すぎかよ……いいなぁ、俺もそんな奥さんがほしいぜ……」


敬太が遠い目をする。

最近彼女いないみたいだしな。

俺に紹介できるような女友達はいないし自力で頑張ってもらうしかない。


そんなこんなで俺達は仕事を終え居酒屋に来ていた。

流れるように二人共ビールを注文した。


「ぷはぁ!やっぱ仕事終わりの一杯目は最高だよな!」


「そうだな。なんか久しぶりに敬太と飲むからかいつもより美味しい気がするよ」


その後も日本酒やらなんやらを頼み二人で飲み続ける。

お互い今更遠慮する間柄じゃないのと酔が回ってきたのもあって最高に楽しい。


「そういえば奥さん美人なんだろ〜?夜の方はどうなんだよ?」


超絶下世話な質問が飛んできた。

そういうのセクハラだぞ?……だよな?

だが酔っぱらいにセクハラだと言っても通じるはずがない。


「まだシてねえよ」


「はぁ!?」


そんなに驚くことだろうか?

俺達は結婚したと言っても再会して日が浅い。

もちろんシたくないわけではないが事を急いたら体目的とか思われそうでなんか嫌だ。


「ピュアすぎだろ!?お前は馬鹿なのか!?」


「声がでかいぞ……そんなに驚くことか?」


「当たり前だろ!?いくら優しい奥さんでも手を出されないと逃げられるぞ?」


「む………」


「手を出さないにしても一度ちゃんと奥さんと話し合ったほうがいい」


それからも敬太に謎の知識を覚え込まされた。

それらはほとんど頭に入っていなかったが『手を出さないと逃げられる』という言葉だけが俺の頭を占めていた。

………一度話し合ってみるか。

そればかりが頭を巡り気づくと家に着いていた。


「ただいま」


「おかえり。相当飲んだんでしょ。顔真っ赤だよ?」


美優が出迎えてくれてカバンを持ってくれる。

気遣いは嬉しいがとにかく俺は聞きたかった。

内心いくじのない男だと呆れられているんじゃないかと不安になってきたのだ。


「相談したいことがあるんだ……ちょっといいかな?」


「また?じゃあお水持ってくるからそれ飲んでお話しよ」


俺のカバンを近くに置いて美優がキッチンへと消えていく。

俺は言われた通りダイニングの椅子に座っていると美優が水を持ってきてくれた。


「ほら、ちゃんと飲まないと二日酔いが大変だからね」


「ありがとう」


水を飲んで一息つく。

そして本題に入った。

こんなこと素面しらふだったら聞けないと思う。


「あのさ……美優はシたいって思うか?」


「……?したいって?」


「その……夜の……」


「……!」


それを聞いた瞬間美優の顔が真っ赤に染まった。

首筋や耳まで真っ赤にしていてよほど恥ずかしいのだと気づく。


「ご、ごめん!急かしてるわけじゃないんだ……俺は美優の心の準備ができるまで待──」


「ち、違うの!」


必死に弁明しようとすると美優の声に遮られる。

その顔は赤いままだったけど俺の目をしっかりと見て逸らさなかった。


「その、少し驚いちゃっただけでしたくないわけじゃないよ……拓哉とならそういうこともしたいと思ってる……」


「……!!」


美優は恥ずかしそうにしながらも自分の気持ちをしっかり伝えてくれた。

俺の中でも覚悟が決まる。


「だったらさ、新婚旅行で初めてを……シないか?」


「新婚旅行で……?」


「ああ。初めての二人で旅行だしせっかくなら忘れられないような大切な思い出にしたいんだ」


本音を言うと今すぐにでもシたい。

だが俺は酔っているから今日は出来ない。

初めてが片方だけ酔ってますなんて嫌だからな。

どうせ今日が無理ならば新婚旅行でシたい、と考えたのだ。


「うん……いいよ」


二人は顔を真っ赤にしたままだったけど自然と気まずくなかった。

新婚旅行、一生忘れない思い出になりそうだな。



──────────────────

酒の席も分からなければ仕事の様子もわからん。

一応ホワイト企業のつもりで書いてますが違和感あってもどうかお許しください。

飲みはビールと日本酒くらいでいいかなと特に調べずに書いてしまいました(汗)

良かったらコメントでおすすめのお酒教えてください笑

もしかしたら次飲酒の描写があれば使わせていただくかもです。


今回難しかった……けどかなり進展したはず!

砂乃へのご褒美にどうか☆とフォローを下さい……!

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