第75話 様々な事件
僕たちは天界を数日で辞去し、地上に戻った。
慌ただしいのは、事件が起きてたからだ。
王室でクーデータが起きたんだ。
王様が突然死去したと思ったら、
すぐに王位承継順位第1の長男が病死。
で、次男が王様になったんだけど。
「(なんや、きな臭いらしいな)」
「うーん、らしいね。僕たちにはあんまり関係ないかもだけど」
ところが、関係あったのだ。
ある未明、孤児院に侵入してくる賊がおり、
当然ながら、あっという間に捕縛した。
魔法により厳重に口封じがなされていたが、
ラグにより魔法は解除された。
「なに?ローリエを暗殺しにきた?なぜ?」
「俺レベルがわかるわけないだろ」
「こんな暗いなか、どうやって対象者を特定するんだ?」
「これだよ」
といって賊は俺達にある魔道具を見せた。
「対象者はこの道具に反応する」
ローリエには特殊な魔石が埋められているらしい。
「ローリエって何者なんだ?」
「知らん。が、多分やんごとなきお方の係累かなんかだろ」
そこで俺達はその賊を泳がせることにした。
ステルス尾行者は俺とラグ。
賊が報告する相手をたどっていくと、
なんと、驚愕の事実が判明した。
ローリエは王家次男の双子の妹だった。
王位継承順位は3番目。
しかし、魔力がないことと母親の出自の問題で
孤児院に逃されたのだ。
無論、暗殺を危惧してである。
そして、ローリエに埋められたという魔石は
王家を示す特別な波動が埋め込まれていた。
では、暗殺を指示したのは誰か。
王家次男である。
王・長男となくなり、王位が目前だ。
そこで、継承をより確実にするため、
ローリエに暗殺者を飛ばしたのである。
ローリエが唯の無能であれば捨て置いて良かった。
実は非常に優秀な魔導師に成長し始めた。
魔導師を尊ぶこの国では、
魔力の平凡な次男にとってローリエは脅威だった。
その事実を知った瞬間に
ラグは『許さん』と一言残して
車を飛び出して数日帰ってこなかった。
「終わったで」
ラグは王都でいろいろ工作をしたらしい。
王様と長男が殺されたのが暴かれた。
犯人は次男である。
結果として、次男は彼の部下に殺されてしまった。
この件で王家は著しく信用を落とした。
ローリエには王家に興味がない。
一応、親戚筋から王家の後継者を立てたのだが、
多くの領主が王国から離反した。
事実上の王国の崩壊だった。
セリア街も王国から離脱。
周囲の有力者を集めて連合国を作った。
湖畔村もその連合国に参加している。
湖畔村は人口こそ400人弱と弱小であるが、
困窮する人たちにとっては
真の祝福された街として有名になっていた。
村が出稼ぎ・移民希望者を募集していたからだ。
この世界では特に冬になると餓死者が出るほど
貧しい人が多い。
単純に食料が不足しているのだ。
だから、村の労働力募集をありがたがる人が多い。
さらにもう一つ。
移民・出稼ぎ希望者のために
村のそばに作ったキャンプ。
ここで修行をすれば、超人になれるという噂が
飛び交っていた。
そして、それはデタラメではなかった。
このキャンプで半魔人に進化することができ、
新しい職業やスキルが発現するかもしれないのだ。
そこで、近隣の集落を中心に
移民・出稼ぎ希望者がキャンプに殺到した。
現状では千人もの人口を抱えるまでになっている。
だから、現在では受け入れを中止。
周囲に結界を張って入れなくしている。
基本人口が400人の村に
1000人以上のキャンプができたんだ。
支えきれない。
単純に食料とか医療とかの問題だけじゃない。
様々な場所からやってくる人々。
それだけでも軋轢をうむ。
さらには、質の低い人もいるわけで。
清貧教会はキャンプの横に新たな教会を建設し、
そこにセリア街清貧教会の人たちも移りすんだ。
位置づけとしては教会の修行道場だ。
セリア街の清貧教会は本部のままで、
リフォーム及び拡張工事をして立派になった。
そこには、清貧教会の政治力の強い人が
首都の元本部から移ってきた。
別段悪いことじゃない。
政治力と宗教家として実力は別である。
清貧教会の神官は霞を食べているタイプが多い。
流石にそれでは組織の運営はままならない。
それに、清貧教会は暴利を貪るところじゃない。
まあ、今後はどうなるのかはわからないが。
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