第57話 シスター・ルシーナたちの成長
教会職員の成長も孤児に負けていない。
特に目をみはるのはシスター・ルシーナ。
孤児院の責任者だ。
類まれなる美貌。
スラリとした容姿。
清潔感。
控えめな性格。
ザ・聖女というか、僕には女神様だな。
彼女が部屋に入ってくるだけで、
部屋が浄化されるもの。
これ、僕だけの感想じゃない。
「(あのシスターの清潔感、ただもんやあらへんな)」
などとラグも認めるぐらいだ。
ファンも当然多い。
彼女目当てに教会の教徒になっている奴がいったい何人いるか。
その彼女。
当初は初級回復魔法しか使えなかったのに、
今では上級回復魔法が発現しかかっているのだ。
上級回復魔法はほぼ全ての傷を瞬時に治す魔法だ。
王国にも使い手が数人しかいない高度な魔法で、
これ以上となると、特級回復魔法となる。
欠損部位を回復する魔法だ。
もっとも、特級は半ば伝説的な魔法。
王国どころか、
この世界に果たして使い手がいるのかどうか、
というレベル。
ただ、上級回復魔法の使い手となれば、
王国でも注目の的となるのは間違いない。
教会内での栄転とか引き抜きとかが激しくなる。
「私はこのセリア街の教会に骨を埋めるつもりです」
などとシスターは嬉しいことを言ってくれる。
だから、上級魔法が発現しても黙っている模様だ。
上級回復薬を手軽に使えるので、
その薬の影に隠れることができる。
政治の荒波に耐えられるようにはみえないし。
というか、彼女の流失を全力で阻止したい。
そんな彼女。
淑女でご飯も実に優雅に食べる。
どこの貴族のお生まれですかって感じだ。
確か、庶民の出と聞いてるんだけど。
でも、車のスィーツには目がない。
特にマ◯クの『オ◯オ クッキー チョコフラッペ』。
チョコレートフレーバーとココアのほろ苦さが絶妙なフラッペにホイップクリーム・オ◯オクッキー・チョコソースをトッピングしたもの。
字面だけで胸焼けする。
これが彼女の一番のお気に入り。
もうニコニコで車の中が眩しくなるぐらいだ。
『ホットアップルパイ』とか『チョコレートタルト』も彼女のお気に入りだ。
こちらは少し甘さ控えめの『カフェオレ』を嗜む。
ああ、他の職員も注文してるよ。
いろいろ。
女性だけじゃなくて、男性職員も
目の色を変えてスィーツを喜んでいる。
甘味の少ない世界なんだ。
そこに普及品とはいえマ◯ククラスの甘味は
ドラッグに近いものがある。
いや、冗談抜きで。
だから、週1回のお楽しみにしている。
その時は僕も同席して
シスターとの会話を楽しんでいる。
彼女はお高くとまってるとか全然なくて
本当に話しやすい人だから、
僕へのご褒美タイムとなる。
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