第56話 孤児たちの成長3
さて、村では孤児たちの成長が著しく、
特にスリ娘は注目されているのは前述の通り。
でも、彼女以上に注目されているのは、
『農民』のジゼルと『商人』のエリゼだ。
ジゼルは15歳の女子。
ブロンドヘア、青目のスラリとした体型の持ち主。
エリゼは14歳の男子。
アッシュグレイの髪、ダークブルーの目の持ち主。
体型は若干ぷっくらしている。
二人共祝福を授かった後の体力の増加が著しい。
瞬発力よりも持続力が特に強化されている。
農民ジゼルはスキルをどんどん開花させている。
耕作土魔法。
肥料バイオ魔法。
除草剤薬師。
収穫・製粉風魔法。
まだ、初級を大きく越えることはないが、
どんどんと進化していくのだろう。
商人エリゼはやはりマジックバッグだ。
すでに容量は無制限になっている。
それに加えて交渉力や計算力といったスキルも
強化されているようだ。
二人に限らず、今後のことは自由だ。
しかし、教会を離れることはない、と
彼らは断言している。
「教会にはお世話になりっぱなしなんだもの。それとラグ様とかアキラ様のいる環境から離れたくない」
まあ、そうだろうな。
特にラグと共にある、というのは王国の人には
かなりの誉れのようだ。
それに加えてチェーン店メニューだ。
力を増大させるということもあるけど、
何よりも抜群に美味しすぎる。
「待ってました!」
今日は週に一度の車メニューの日だ。
デニ◯ズのお弁当を村人全員に配る。
本日は『ブラックアンガスサーロインステーキ弁当』。
飲み物は野草茶。
「うますぎる!柔らかくてジューシーで味が濃厚で……」
「野獣とか潰した家畜のと同じ肉とは思えんぞ」
王国の通常の肉は塩漬けか乾燥肉だ。
まあ、臭い。
半分腐っている。
新鮮な肉の場合もあるが、これにも問題がある。
血抜きが不完全なことが多く、臭い。
それに、肉には熟成が必要だ。
特にジビエ。
脂肪分が少ないからすぐに食べようとすると、
非常に固く、さっぱりとした味の肉になる。
「パンもさ、外はパリッと中はもっちりで香りがいいんだよ」
「俺たちの食べてる黒パンとは大違いだよな」
黒パンとは通常ライ麦パンを言う。
栄養には優れているとされるが、
小麦パンとは製法が違う。
グルテンがないため、
サワー種により乳酸菌を発酵させ、
パンを膨らます。
ただ、膨らみは不十分で固く、
乳酸菌発酵のため酸っぱい。
しかも、時間のたったものを食べることが多く、
カチンカチンのパンとなる。
食器として使うこともあるくらいだ。
スープや肉汁によってパン皿が柔らかくなって
食べるのに少しはよくなる。
「お肉はともかく、パンはこれと同等品を目指すわよ」
チェーン店のメニュー凌駕プロジェクトが
始まっている。
農民ジゼルはやる気満々だ。
作り方はわかっている。
後は質をいかにあげるか。
「頼むぜ!毎日こんなパンが食べられるなんて想像しただけでたまんねーぜ!」
「お肉は今のところはちょっと難しいけど、美味しい卵を量産する手立ても考えているのよ」
彼女の頭の中には、
デニ◯ズの『とろ~り卵とチーズのオムライス』がある。デミグラスソース、トマトピラフ、卵の一体感が絶妙の一品だ。
ソースはともかく卵だけでもあの味に近づけたい。
「おお、あの卵料理を考えているのか!めちゃ美味いよな!フワフワとろ~りの卵と濃厚なソースはやみつきになるよな」
「追いつき、追い越せって葉っぱかけられてる。チャレンジよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます