第50話 不◯家祭

 僕たちにとってはグリフィンよりも

 こっちのほうが大騒ぎになった。


 レベル6になって新たに追加されたチェーン店は。

 なんと『不◯家だ!』

 スィーツで有名な店。


 シスターを始め、

 みんな目を奪われてフリーズしている。


 確かに、デニ◯ズにも豪華なデザートはあった。

 でも、不◯家は上を行く。


 苺のショートケーキ(ホール)。

 白いシャンテリークリームに並べられた苺。

 ふんわりとしたスポンジ。

 こちらも豪華な一品であるが、

 

 苺のタルト(ホール)。

 タルト台に苺をふんだんに敷き詰められた、

 苺が主役のタルト。

 見ているみんなの唾を飲み込む音が聞こえそうだ。

 

 さらに、チョコ生ケーキ(ホール)。

 なめらかなチョコレートクリームと

 ソフトなチョコスポンジとチョコチップ。

 艶っぽい黒色が怪しい光を発し、

 なんとも言えない大人の香りが漂う。


「さあ、みなさん、いただきましょう!」


 僕はケーキをカットしてみんなに配る。


 目を見開いているのは、教会関係者だけじゃない。

 

「うにゃー!ミャー!」


 猫たちも大騒ぎだ。

 勿論、ラグも興奮している。


 そして、みんなして美味しさに腰を抜かす。

 シスターも席を立てなくなるし、

 猫たちもお尻ぺったんして目を開いたままだ。



 まだまだあるぞ。

 プレミアム濃厚ベイクドチーズケーキ

 プリンサンデー。

 たっぷりフルーツタルト。

 ふじりんごのアップルパイ。

 バニラ・ミルクレープ。


 ついでにデニ◯ズのスィーツも並べてみた。

 ケーキ屋のショーケースを思い出して欲しい。

 あの風景が教会の一角に出現したのだ。

 しかも、彼らはそういうゴージャスな風景を

 見たのは生まれて初めてなのだ。


「清貧教会は清く貧しく美しく。でも、今日だけは女神様に目をつむって頂きます。罪作りなわたくしをどうかお許しください」


 神に祈りを捧げつつ、スィーツに突撃する。

 あの清楚なシスターでさえも。

 この風景を悪魔認定しないか、とヒヤヒヤものだ。



 孤児達や村人にもスィーツを楽しんでもらった。

 勿論、大絶賛。


 しかも驚いたことに、

 不◯家を食べたら魔法が強化された。


 魔法が現在発現しているのなら魔法を強化する。

 発現していないなら魔法を使えるようになる。


 例えば、

 イチゴ系統は火魔法。

 チョコだと、雷魔法。

 チーズケーキは、風魔法。

 フルーツならば、土魔法。

 と言った具合に。


 そこらじゅうで体が発光し、

 魔法使いとして新たな段階に達したことを

 示してくれる。



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