第20話 魔法の練習4
宴会の翌日は早朝から頭を抱えている人多数。
二日酔いのせいで。
いったい何本ビールを飲んだのだろう。
車のメニューは食事を終えるとお皿とかが消える。
ところがビール瓶は消えない。
大量のカラ瓶があるはずなんだけど、
各自家に持って帰ったようだ。
ガラス瓶なんてこの世界じゃ超高級品だ。
しかも、ラグ様がくださったもの。
宝物同然だ。
大事にしてくれるだろうから、瓶冥利につきるってもんか?
顔色の悪い人ばかりなので、リポ◯タンDを配った。
凄いね、しじみの味噌汁とかのレベルじゃない。
ちょろっと飲んだだけで二日酔いが治った。
ちなみに、この空瓶も消えない。
僕はビール2本だけだったし、
いつものように子猫の大攻勢で朝の4時起き。
朝ごはんは
デニ◯ズの『鮭朝食』。
ごはん、お味噌汁、焼き鮭、ノリ、納豆。
久しぶりの和食だ。
僕は麺類派でご飯とかにこだわるタイプじゃない。
それでも久しぶりの伝統的和朝食。
ちょっとジーンときた。
異世界だもんな、いまいるところ。
ラグは
『海老とハーブ鶏のスープごはん』
熱いだろうに平気で食べている。
『ワテは耐熱・耐冷ばっちりやで』
ま、そっか。
食事ごときでいちいち猫舌発令してたら、
たまったもんじゃなないよな。
僕もラグもこれじゃ足りないので、
朝マックもWで追加した。
村の広場にいってみると、
井戸端でごくごく水飲んでる人がいる。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
そう心配そうに兄の顔を覗き込んでいるのは、
アニタ。
魔狼に襲われた女の子だ。
兄の名前は当然ロベルト。
アニタは魔狼による後遺症もなく、翌日全快した。
アニタは15歳、ロベルトは17歳だという。
この世界では立派な成人年齢だ。
「いい気になって何本も飲むからよ」
「おまえだって、飲んでたじゃないか」
「少しだけ。だってあんなに苦いもの飲めないわ」
まあ、たしかに。
でも、その苦味がいいんだけどね。
「あ、ラグ様とアキラ様おはようございます!昨日は本当にいろいろとありがとうございました!」
「ああ、アニタ。今日も爽やかな朝だよね」
この村は森に隣接しているせいか、
本当に空気が清々しい。
村中が森林浴状態だ。
朝日も青の湖に反射してキラキラしてる。
朝の爽やかさと相まって、心が洗われる。
「これから、魔法の訓練ですか?」
僕は魔法の訓練を早朝に行っている。
「うん。なんていうか、朝が一番感度が高い気がするんだよ」
「ああ、それわかります!私、水魔法しかできないですけど、朝の魔法が一番勢いがありますもの!」
「やっぱり、そう?」
「ええ。でも、魔導師様なのに初級魔法の訓練をするんですね」
「ああ、僕は4属性は不得意でね。というか、僕の魔法はかなり体系が違うんだよね。だから、4属性魔法とか知らなくて。一からラグに教えてもらっているところ」
違うというか、僕の魔法って車のスキルだし、
魔導師を名乗るのもおこがましいんだけど、
いろいろ説明がめんどくて、こうなってる。
「へー。魔導師様の魔法、見たこと無いものばっかりなんですけど、系統が全然違うんですか。あのー、よければ練習を近くで見ていてもいいですか?」
「え?全然構わないけど。面白い?」
「勿論!魔法の練習なんて私達したことがなくて」
庶民レベルでは魔法は練習するものではなくて、
自然にできるものなのだ。
呼吸と同じ。
大抵の人は呼吸法を学ぶことはない。
「それに、ラグ様の指導を見られるなんて光栄すぎます!」
それを皮切りに早朝練習の見学者が増え始め、
やがて僕たちの練習を真似し始め、
とうとう村人の多くが早朝訓練するようになった。
ラグの指導は凄いよ。
全員に念話で指導するんだけど、
言葉じゃないんだよね、念話は。
概念とかイメージを伝達する。
だから、言葉の
すぐに理解できるし、あっという間に魔法が上達していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます