第19話 湖畔村にも大盤ぶるまい
魔狼を撃退した夜は村総出の宴会となった。
僕とラグも少しだけ顔を出した。
そのかわり、早速デニ◯ズを村人全員に配った。
デニ◯ズはほとんどの料理を車から外に出せない。
外に出すと、消えてしまう。
例外は、テイクアウトとドリンク類。
選んだ料理は、
『とろ~り卵とチーズのオムライス』。
デニ◯ズではかなりの人気メニューだと思う。
とろとろの卵でトマトピラフを覆い、
専用デミグラスソースをたっぷりかけたもの。
デミグラスソースのコクと旨味、
とろとろ卵のまろやかさ、
トマトの酸味やバター風味が広がるトマトピラフ、
そして中からとろ〜り溶けだすチーズ。
絶品でしょ。
「おおお、うますぎて腰がとろけてしまう!」
実際、足腰が立てなくなる村人が続出した。
子猫たちにもお裾分けしたんだけど、
というか、子猫がミーミーしつこくて根負けしたんだけど、
村人同様にお尻ぺったんした子猫続出。
あと、ドリンク。
車のメニュー選択ボックスにはドリンクサーバーがついている。
その部分は取り外し可能で、外に持ち出しできる。
で、村人に操作方法を教える。
だって、300人分のドリンクなんて大変だから。
オムライス300人分を取り出すだけでも1時間近くかかるんだ。
まずは、村人で選ばれた人たちにサーバー登録してもらって。
ああ、立候補者が多くて争いが起きている。
名誉職じゃなくて、結構辛そうな仕事なんだけど。
オムライスはお持ち帰りボックスに入っている。
蓋をあけるまで温度・鮮度が保たれているという
異世界仕様なのでホカホカの料理を用意できる。
一種のマジックボックスみたいだ。
食べ終わると箱が消えるのはお皿と同じ。
ドリンクについては、まずソフトドリンク。
ドリンクサーバーを外に持ち出した場合は、
流石にメニューの選択が狭まる。
たいていは紙コップを使う。
もちろん、紙コップはどんどん供給される。
専用パックに入っているのもある。
コーラ、オレンジ、アップルジュースとか。
村人は数種類のドリンクを飲むことになる。
300人全員が。
最初は彼らには遠慮があった。
というか、コワゴワって感じ。
みんな目が点になっている。
でも、村長がジュースを取り出して、
「美味い!」
それからは遠慮がなくなった。
争奪戦って感じ。
美味しすぎるんだ。
そもそも甘味が高級品。
甘さたっぷりのソフトドリンクの登場で
飲むのが止まらなくなる。
ドリンクバーの機械には大量の魔石を投入したよ。
行列に並ぶ、という習慣がないようなので、
そこからだ。
村人は300人いる。
ヒモで行列整理をした。
横入りとかは厳しい指導をする。
ビール。
こちらは瓶で出てくる。
まず栓を開けるのが大変。
栓抜きはサーバーに付いているけど、
みんな慣れていないからモタモタしている。
と思ったら、手で『ポンッ』と栓を開け始めた。
ほら、ビー玉を弾き飛ばすような感じ。
村人たちは体力自慢が多いんだけど、実感した。
と思ったら、僕もできた。
片手で苦もなく。
森を走る間に体が魔素に馴染んで『魔人』化した、
とラグに言われてたけど。
ここまで力が増しているとは。
まあ、力自慢はそこまで。
そこからが大変だったんだ。
この村のお酒は蜂蜜酒やエール、
そして薄めたぶどう酒。
アルコール度数が1%か2%程度しかない。
そこに投入したのが、『ザ・プレミアム・モルツ』。
度数5.5%。
村人的にはかなり強い酒なんだ。
しかも、美味いまずい以前に質が非常にいい。
このモルツを前にすると、この村の酒は泥水。
「おおお、神々の飲み物だ!」
となって、ガバガバいっちゃう。
当然、ひっくり返る村人多数。
こればっかりは体力自慢関係ないもんね。
僕も久しぶりに2本ほど飲んじゃったよ。
流石に僕はペースわかるから、程々に。
乱痴気騒ぎを繰り広げる村人を横目に早々に退散したわけ。
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