第18話 狼の群れに襲われた3~レベル5はデニ◯ズ

「ワォーン!」


「(第2陣や。チョット待ってや。ボスの位置を捕捉するからな)」


「どう?」


「(……おったで、左斜め前に小高い丘があるやろ。その崖の上あたりやと思うで)」


 僕はすぐにスコープを眺める。

 今は夜だけど、暗視モードもついている。


 倍率を低くして、俯瞰ふかん気味にのぞいてみる。

 生物は白く浮かび上がる。


「いた!よし、倍率拡大、距離・風測定、照準合わせ……発射!」


「(どや、しとめたか?)」


「撃った反動でスコープがあちゃらの方向になったからわからん」


「(うーむ、レーダーにはまだ反応があるんや……)」


「ラグ、再度捕捉したぞ!……フラフラしてる。多分重傷を負わせてるな……発射!」


「(よっしゃ!赤点が消えたで。霧散したんやろ)」


 同時に狼たちが撤退していく。


「(ふう。しのぎきったな。その銃、かなり強力やな。簡単には魔狼のボスはくたばらんのやが)」


「もう大丈夫か?」


「(しばらくはな。前にもちょっとゆーたけどな、そもそも魔狼はもっと森の奥にいるもんなんや。こんな人里近くとか森の周辺とかにはめったに近寄らんはずや。ワテかて最初ははぐれ魔狼やと思ってたんや)」


「なんかあったのかな」


「(わからんが、森の奥に住みづろうなったということはあるかもしれんな)」


「住みづらい?」


「(よくあるのはな、強力な個体が出現したときやな。ドラゴンとかがおると、みんな怖がって逃げてくんや)」


「この世界にドラゴンとかいるんか」


「(ああ、いろんな種類がな。魔狼のボスが逃げるぐらいやから、かなり強い個体がおるかもしれんな)」


「ビビらすなよ」


「(ドラゴンだけやないで。大蛇とか大蜘蛛とか超大型の熊とかな、おっとろしい敵はぎょーさんおんで)」


「ヤバすぎんだろ」


「(強いやつがおる、いうのはただの推測や。原因は他にあるかもしれん)」


 うーむ。

 急に車のレベルをもっと上げたくなったぞ。

 


【レベル5になったらデニ◯ズが選べるようになった】


 レベル5になって選べる食事も豪華になった。

 なんと、デニ◯ズだ。

 食事選択用の機械はタワーになっている。

 大きさは幅50cm奥行き40cm高さ1.5m程度。

 マ◯クとデニ◯ズが合体し、

 上部にメニュー選択画面、女の子の笑顔付き。

 その下にドリンクバー、食事取出口エリア。


 ドリンクバーは取り外し可能だ。

 車の外に持ち出しできる。

 容器は一部をのぞいて紙コップ一択。



 デニ◯ズはファミレスとしてはちょっと高めな店。

 ランチが700円前後からあるんだけど、

 ディナーになると、2千円前後でもおかしくない。

 僕の基準は1コインだからなあ。

 勿論、その分おいしい。


 もっとも、お金は不要だ。

 魔素が自動精算してくれるから選び放題である。

 マ◯クも美味しいんだけど、

 基本的にはハンバーガーだから、

 そろそろ変化がほしかったんだ。



 さっそくメニューを選択する。

 デニ◯ズの基本はハンバーグとステーキ。


 さらにスパゲッティとか丼などのご飯もの、

 うどん、ドリア、麺類が選べるようになった。

 胡麻香る四川風担々麺とかさ。

 天然マグロの漬け小丼と讃岐うどんとかさ。

 いちいち文字が僕のお腹を刺激する。

 お腹が大丈夫なら、全部注文したい。


 モーニングメニューも何種類かある。

 和定食なんてのもある。

 ご飯、味噌汁、鮭、ノリ、納豆。

 僕はそれほど和食にこだわるほうじゃない。

 でも久しぶりのほかほかご飯にはヨダレが垂れる。

 明日の朝はこれに決定だ。


 あとね、デザートがすっごく豪華なんだ。

 写真でみるだけでも驚くぐらいだから、

 実際に見たらどうなるんだろう。

 子猫たちにもあげなくちゃいけないかな。



 さて、さんざん迷った末に選んだのは、

 デニ◯ズのフェアメニュー。


 『蟹とハーブのクリームスパゲッティ』。

 パスタに絡むソースは濃厚なホワイトクリーム。

 そこに旨みたっぷりの蟹の身と、

 エビの風味が豊かなトマトソースが添えられてる。


 それに加えて、

 『苺とラズベリーのピンクシーザーサラダ』。

 それと、ワインだぞ。

 生まれて初めて食事にワインをつけてもらった。


 ずっとマ◯クだったっていうこともあるけど、

 上級国民になった気分だ。



「ラグ、おまえ上手にフォーク使うな」


 ラグは僕と同じものを食べている。


「(当たり前や。森の大賢者様はな、フォークだろうと箸だろうとチョロいもんや)」


 うーむ。

 手は猫の手なんだけど。

 肉球つきの。


「(それにしても、見栄えも凄いが、ごっつう美味いな。ハンバーガーも美味いが、完全に越えとるな)」


 ラグはもうニコニコだ。


 ニャーニャーミーミーの子猫たちも

 マ◯クと違う食卓に興味しんしんだ。

 でも、食卓には登らせないようにしているから、

 椅子に登って前足を食卓にかけて

 物欲しそうに手を伸ばす程度である。


 子猫たちには『カリカリ』をたっぷり与える。

 やっぱり、魔素の薄さの影響があるんだろうか。

 今まで以上にカリカリを欲しがる。


 こいつらはいつまでたっても欠食児童みたいで、


「ウマウマウマ」


 と食事中にうなりっぱなしだ。


 なお、食器は食べ終わって一定時間が経つと消えてしまった。


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