第17話 狼の群れに襲われた2
「ウォーン」
夜半。
狼の遠吠えが鳴り響く。
「(きよったで)」
ラグが真剣な顔をしてそういう。
まあ、あんまり顔の表情は変わんないけど。
「(ワテはな遊撃や。特に村の中に入り込んだ狼をやっつけるわ。アキラは、主に正面の柵内側でやっつけたってや)」
「了解」
「(本当はな、指揮官を倒すのが一番や。脳筋の狼なら先頭にたってやってきよる。そやけどな、大抵は離れた小高い場所から指揮しよんねん。それも場所を変えつつな。近寄られへんわ)」
ラグの魔法射程は最大200mだという。
狼のボスはその範囲外から指揮することが殆どらしい。
まず、第一陣。
20体ほどが正面から走り込んできた。
と思ったら、左右からも20体がまとめてやってきた。
こっちの攻撃を分散させようとしているのか。
しかも、かなり素早い動きをしている。
ちなみに、村は湖畔に隣接している。
湖畔はちょっとした崖になっていて、
さすがにそっちからは攻撃してこない。
僕は村の正面に陣取り、レーダーで敵を捕捉する。
使用するのはアサルトライフル。
有効射程は300mほどあり、カバーする範囲は広い。
「バリバリバリ!」「ギャン!」
素早いのでなかなか照準が定まらないが、
自動照準で捉えたと思ったらすぐに発射。
次々と倒していく。
高さ5mの柵はなんとか狼の襲撃を防いでいるようだ。
と、思っていたら一匹の狼が柵を乗り越えた。
「バシッ!」
ラグの雷魔法が炸裂、狼は黒焦げになって霧散していく。
村人の弓は動き回る狼にはほとんど当たらない。
でも、柵をよじ登ろうとする狼には有効だ。
うむ、いい感じで僕たちが押している。
◇
「ウォーン」
おお、指揮官狼の遠吠えで狼は撤退していく。
「(ふう、一安心やな)」
「第2陣はくるかな」
「(ああ、部隊を立て直したらすぐにやってくんで)」
僕は周囲を警戒しつつ、魔石を回収していく。
『魔石が12個投入されました。レベルアップしますか?』
待望のレベルアップ!
でも、戦闘中なんだよな。
どうしようか。
少し迷ったんだけど、新しい武器に期待して
レベルアップすることにした。
『パンパカパーン!レベル5になりました!乗員は車の外に出てください』
車はまたもやサイズを大きくした。
これはあれだ。
ハイエース、ハイルーフスーパーロングだ。
車に聞いてみると、
全長5380mm×幅1880mm×高さ2285mmなんだと。
日本だったら事実上の最大サイズだと思う。
これ以上は都市内では使いにくい。
まあ、それはともかく、
銃は?
『セミオートマチック狙撃銃が搭載されました』
おお、ナイスタイミング!
H&KのPSG1に似た狙撃銃だ。
7.62mmの弾丸を最大20発装弾する。
他に特筆すべき点は、スコープ。
100〜600mの範囲で対象を自動的に距離測定~
弾丸落下補正調整機能が組み込まれてる。
要するにターゲットしたらそのまま発射すればいい。
「ラグ、遠くで偉そうに見下ろしている狼のボス、一気に仕留めんぞ!」
「(よっしゃ、ほなワテもできる限りワテのレーダーを拡大してみるわ)」
車のレーダーは半径100m程度。
ラグのは半径200mなら確実、
おおまかな位置ならば500mほどまでOKだ。
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