第16話 狼の群れに襲われた1
魔法の練習に嬉々として取り組み始めた僕だけど、
1日中練習していたわけじゃない。
魔力的にも体力的にも数時間やればへとへとだ。
練習以外の時間を利用して村の周囲の探索をした。
何しろ、村のそばの湖、非常に美しい。
透明度が高くて、湖底がクリアに見える。
その透明度のおかげなのか、湖全体は
キラキラした青色に輝いている。
日本だと支笏湖が青色で有名だ。
日本一の透明度を誇る湖で、
支笏湖ブルーだとか言われている。
僕も一度は行ってみたいと思いつつ、
転生してしまった。
支笏湖はこの湖よりキレイなんだろうか。
この湖の周囲北・東・西は概ね森に囲まれている。
そして、南側と東西の南側の一部が開けていて、
盆地のようになっている。
その南側に位置するのが湖畔村で、
村の周囲は広々とした畑だ。
そしてその先は低めの山に囲まれている。
森に隣接している分、森の危険も大きいようだ。
僅か数日だというのに、
ロベルトとアニタが襲われてたのもいれて
すでに3グループの魔狼を討伐している。
だから、探索には車で出かける。
特に森の中へは気軽に出歩くわけにはいかない。
「いや、たしかにここは安全とは言えない場所ですが、それでも魔狼はめったにみかけんのですが」
「(多分、魔狼の大集団がおんで)」
とラグは言う。
3グループのはいわば威力偵察で、
ひょっとしたら本隊の襲撃があるかもと予測する。
「でもさ、なんで魔狼は人間の村を襲ってくるわけ?」
「(魔狼はな、人間への攻撃性が強いんや。自分の縄張りに人間の村がある。それだけで攻撃してくるんや)」
「ここってさ、ギリ森じゃないじゃん。それに、魔狼はもっと森の奥にいるんでしょ?」
「(そこは問題やな。森の奥で異変が起きとるかもしれん。それとやな、この村は森ほどじゃないが魔素はそんなに薄くないで。森の一部、と見ることもできるんや)」
村長さんに推測を伝えると、一気に顔が強ばる。
「もう少し、村の周囲を強化したほうがいいかもしれませんね」
村の周囲は柵で囲われている。
「(この柵はちょっとあかんな。一発で突破されそうや)」
「村長さん、柵はどうでしょうか。強化できませんかね」
「したいのはやまやまなんですが、短期で材料を揃えるのが大変なんですよ」
「ああ、それならおまかせください!」
車が開削スキルで道路を作る時、
木は横になぎ倒されていく。
その木を村に持ってくるだけで材料は揃う。
木を運ぶのも車で引っ張ってくれば楽ちんだ。
木の種類も幹がまっすぐなのが多い。
乾燥させたほうがいいのかもしれないけど、
枝をはらって、どんどん形を整えていく。
村人には強めの風・火魔法の持ち主もいるので、
ラグとともに簡易な乾燥を木に施す。
「おお、あっという間に木が集まりましたな!流石は森の守護様と大魔導師様!」
「じゃあ、適当な間隔でこの木を並べて行きましょう」
高さは7mぐらい。
穴をほって木を電信柱のように立て、
他の木で補強する。
土魔法もちが何人かいるため、作業はスムーズだ。
それを50cm間隔ぐらいで設置していく。
幹の太さが30cmほどあるから、
狼に対しては十分である。
「どうかな、狼、飛び越えてこないよね?」
「(魔狼はな、ジャンプ力半端ないで。警戒していたほうがええやろ)」
車は車自体の結界と子猫デフェンスで防御している。
でも、魔狼たちには結界を無効にするような技があり、
子猫ディフェンスはそれに耐えられないという。
車本来の結界は魔狼に対しては未知数。
だから僕は柵のすぐ内側で迎撃するつもりだ。
村人たちも柵の内側から弓で攻撃するけど、
避難所を作ってすぐに逃げ込めるようにしておく。
もちろん、村人総出で作業する。
村人は300人ほどいる。
凄い勢いで防御設備を強化していった。
村人の体力は確かに人並み外れている。
プラスすることに土魔法を使える人が多い。
一昼夜のうちに強化柵が完成した。
柵が完成したから、
倍てりやきチキンフィレオ・
倍ベーコンレタスバーガー・
マンゴースムージーで体を労る。
村人たちにもハンバーガーを配った。
「おお、神のお召し上がりもの」
ハンバーガーに対する村人の敬意が凄い。
みんなお祈りを述べながら食べてる。
とんでもなく美味しいということもあるけど、
食べると色々体が整うみたいだ。
疲れが取れたり、病気や古傷が治ったり。
気分も爽快になるし、前向きな気分になる。
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