第14話 魔法の練習2

「(アキラ、ええ感じや。ワテもアキラの魔力が増大してるのを感じるで。かなり強い魔力や)」


「へへへ」


「(よっしゃ、じゃあいよいよ魔法の訓練をはじめるか)」


「うっしゃー!」


「(ほな、ワテの言う通りに追唱してみ。『命の源、清らかなる水よ、我が手に集え命の源、清らかなる水よ、我が手に集え』。これをな、水が湧き出るイメージで唱えるんや)」


「命の源、清らかなる水よ、我が手に集え命の源、清らかなる水よ、我が手に集え」


 なにも起こらない。


「(うーん、魔物共通語だと難しいんかな。人間のとあんま違わんと思うんやけど)」


 しばらくやってみてもこれっぽっちも発動しない。


「(ふう、ちょっと休憩や。疲れてたり腹減ってると、できるもんでもできんようになるからな)」


 もっともだ。


「それにや、ハンバーガー食べると調子ええ感じになるで」


 それはラグがハンバーガー好きなだけだろ、

 と思いつつ、昼ごはんに入る。


 お昼は倍ベーコンレタスバーガーに

 倍チキンクリスプ。

 カマンベール&パルメザンチーズソースで

 濃厚度マシマシ。

 さらにキャラメルラテで甘味を補充。


 ラグは色々試したいということで、

 期間限定アイコンチキン ソルト&レモンと

 炙り醤油風 ベーコントマト肉厚ビーフ。

 チョコレートタルテにカフェモカ。

 なんだ、その組み合わせ、と思わなくもない。


 子猫たちはやっぱりカリカリ。

 僕たちのご飯に興味しんしんなんだけど、

 心を鬼にして無視。


 それでも食べ物を目指してよじ登ってくるので、

 なんとかしつけている。

 凄くしつこいけど。


 前までは体に悪いかも、って気にしてた。

 でも今はどこかで制限をしなくちゃ、って感じだ。

 車ご飯に慣れさすとラグみたいに紅茶片手に

 ってなってしまう。

 それって、猫的にマズイと思うわけ。


 ◇


 さて、食べるもの食べてちょっと昼寝して、

 午後から練習再開。

 うーむ、気合がみなぎっているぞ。


 少し発想をかえてみた。

 言葉は正しく詠唱できている。

 じゃあ、イメージの問題かもと思い直し、

 水のせせらぎとか、川の流れとか。

 思いつくもの、いろいろ試してみた。


「(イメージっていうか、なんてゆーか、水の気持ちになって唱えてみ)」


 なんだ、それ。

 水の気持ちなんてわかるわけない。

 とは思うものの、水が生きてると仮定して、

 水の内面に視点を置くようにしてみた。


 すると、水の粒つぶが脳裏に浮かび、

 やがて水の分子にまで沈降していった。

 高校の授業で学んだブラウン運動だ。


「ビュッ!」


「(おお、水が飛び出たがな!ええ、感じやで!)」


 僕は驚き半分、感動半分だ。

 転生してよかった、と思える瞬間だ。

 誰だって魔法が使えたら、と思うときがある。

 多分。

 僕はいまそれを実現させている。



 それからは水を出すだけではなく、

 水の形状を変化させる練習もした。

 球、箱型、矢とかね。

 すると、詠唱途中で水魔法が発現し始めた。


「(なんや、無詠唱でもいけそうやな。いっぺんイメージだけで魔法やってみ)」


 僕は水分子のブラウン運動をイメージしつつ、

 水分子を一定方向に動かすようにした。


「ビュッ!」


「(無詠唱でも勢いのある水が飛び出たやんか。結構、素質あんで)」


 へへへ。

 僕は褒められて伸びる子なんだ!


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