第11話 村発見2
村に到着すると、ロベルトは一足先に村に入っていった。
しばらくすると、年寄たちと共に現れた。
「あああ、森の守り神様と偉大なる大魔導師様がうちのロベルトたちを救って頂いたということで!」
もう、地面に這いつくばって仰がんばかりだ。
僕は車から降りて
「いや、お顔を上げてください。それよりも、この子は出血しすぎて安静が必要です。運んでください」
「はい!アニタ、しっかりしろ」
僕は薬として『リポ◯タンD』を渡しておいた。
お気持ち程度のドリンクだと思うけど。
栓の開け方をレクチャーして。
◇
僕とラグは村で一番大きそうな建物に案内された。
そこでお茶をだされることになった。
「このお茶おいしいね」
「(そうか?ワテにはわからんが、なんだかホッとするな)」
ほうじ茶のような味だ。
香りも香ばしくて爽やかである。
ラグは例によって器用にコップで飲んでいる。
結構熱いけど、猫舌じゃないみたいだ。
「だよね。気持ちが安らいでくるよ」
「それは村の特産品でしてな。ただ、森の野生種でして。量がとれんのですよ」
などと会話を交わしていると、
「村長、アニタが意識を取り戻した!」
「おお、そうか!」
ずっと僕につききりなのは村長さんだった。
ちなみに二人は村長さんの子供ということだ。
「魔導師様から渡された薬、ものすごい効き目でした!飲ませたらあっという間に意識を取り戻して、いきなり体操始めたんですよ!」
それを聞いて僕も一安心。
でも、リポ◯タンDって失血に効くの?
マ◯ロンにしてもただの消毒液でしょ?
効果モリモリになってるんだけど。
「流石は森の守り神様と大魔導師様の調合されたおくすり!」
いや、調合したの僕たちじゃないし。
リポビタンDなんて1本100円ぐらいだろ。
どうもチートすぎる効果にピンとこない。
「いただいた瓶ですが、お返し致します!」
「もう不要なんで適当に処分しておいてください」
「さすれば!村の宝物として頂戴致します!」
聞けば、ガラスの瓶なんて超高級品らしい。
しかも奇跡の薬の入っていた瓶だ。
どうやら、森の守り神様の像を神社にして
そこに飾るか、と盛り上がっている。
村人たちはワラワラと集まってきて、
不思議そうにキャンピングカーを眺めている。
ラグも自動車をみたことないようだったし、
この世界は文明の発達がその程度なんだろうな。
ちなみに、村人たちの顔は欧州と日本人の中間のような外見だ。
髪の毛はブラウン系。
黒髪もいる。
目の色も茶色系が多いけど、灰色とか青色もいる。
鼻筋は通っているし、目鼻立ちは整っている人が多い。
僕から見ると美形の人たちだ。
平均身長は日本人と同じくらい。
ただ、手足が長くて小顔の八頭身の人が多い。
肌の色は少し黒いけど、日焼けしてるようだ。
衣服の下に見える地肌は白く、黄色人種っぽい。
僕たちは夜の宴会に招待された。
でもね、正直言って食が進まない。
おかゆのようなドロリとしたものに、
野菜と干し肉のスープ、これが臭い。
腐った臭いがする。
さらに森の酸っぱい果物だ。
パンもスッパくてメチャクチャ固い。
無理なく食べられたのは、魚。
村の隣が湖で、新鮮な魚がとれる。
焼き魚がなかなか美味しい。
多分、マスの仲間だな。
もっとも、全体としては食がはかどらないので、
逆に僕が村の人たちに大盤ぶるまいした。
マ◯クのハンバーグ+ポテトフライを大放出。
「おお!」
みんな目を輝かして無言で食べてる。
「肉が臭くない……」
「パンが白くてフカフカすぎる……」
「神々の食べ物だ……」
いや、それは大げさだって。
でも、しばらくすると村人から微かな光が。
「腰痛がなくなったぞ!」
「古傷が塞がった!」
「なんだか、シワが薄くなって若返ったわ」
マ◯クどんだけ。
ここまでくると、僕の持ってきた薬といい、
マ◯クといい、神々の贈り物かもしれない。
というか、キャンピングカー自体が謎なんだよな。
ラグも魔法が絶好調って言ってた。
僕もなにげに体調がいい気がする。
前世ではちょっと疲れやすいタイプだったんだ。
食事のおかげなんだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます