2 湖畔村
第10話 村発見1
朝マックの『チキンクリスプマフィン』と
『コーヒー』を頼んだ後、
『マックフライポテト』を食べつつ、
道なき道を行く。
チキンクリスプマフィンは一時期大ハマリした。
一ヶ月ほど朝食に選択していたことがある。
その当時のことを思いつつ進んでいくと、
「あれ?獣道?」
獣道というよりはしっかりした道。
「これがラグの言っていた人間の集落か?」
ラグには案内してもらっていた。
一番近い人間の集落はどこか、と。
人間の手を感じさせるその道をたどってみる。
ガガガと道を拡大しつつ進むと
小ぢんまりした湖に出た。
ようやく、森以外の景色にホッとする。
湖は青色で誠に美しい。
透明度が非常に高い。
水深5mぐらいの湖底がはっきり見える。
対岸には村らしきものが見える。
あそこに行けば異世界人とご対面となりそうだ。
僕のような人間が住んでいるとラグは言う。
ただ、人間性まではわからない。
村の周囲は割合開けているようだ。
おそらく穀物畑が広がっているように見える。
湖の沿岸で立ち止まり双眼鏡で覗いていると、
『敵来襲、敵来襲。人が襲われています』
などと警告が鳴り響く。
急いでレーダーに目を移す。
レーダーは半径100m近くの距離を探査できる。
レーダーに数点の赤点と2つの青点が映っている。
距離は80m程度か。
スルーというわけにはいかない。
急いで車をそちらに向かわせる。
開削しつつだけど、途中から広めの獣道になった。
近づくと、大きな犬?狼?数体に人間二人。
一人は倒れている。
かなり出血しているようだ。
そして、一人がけが人を守りながら
狼?に相対している。
「短機関銃用意!」
「照準」「発射!」
射撃は3点バーストだ。
多分だけど、1発では即死できない。
動き回るので途中からフルバーストに切り替えた。
なんとか数体の狼?を倒す。
残りの狼?は逃げていった。
やっつけると霧散するから、魔物だ。
魔狼とパネルの表示にでた。
さて、けが人はどうなっているのか。
二人に救急箱を持って近寄る。
彼らが異世界人か。
半分欧州人のような外見だ。
ちょっとホッとする。
まだ若い。
10代中頃だろうか。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます。でも……」
けが人は女性だった。
かなり噛まれたんだろう、脚が血まるけで、
血溜まりが広がっている。
「救急箱持ってきた。手当するぞ」
とは言うものの、救急箱の中の傷薬は……
『家族みんなの液体キズ薬マ◯ロン』。
500円ぐらいで売ってるやつだ。
もっとちゃんとしたものはないのか。
無いよりはましか。
まず、包帯をきつく縛り血止めをする。
そして、傷口にマ◯ロンをふりかけた。
すると……
「シュウシュウ」
と白い霧になりながら、傷口が塞がっていくではないか。
「おお!」
もう一人の人も驚いてその光景を見ている。
結構深い傷だったんだけど、2回ふりかけて全快した。
バカにしてすまん。
マ◯ロンはチートだった。
ただ、意識は朦朧としている。
流石に造血はしないか。
出血のために安静にしておく必要がありそうだ。
「ああ、ありがとうございます!」
頭を地面につける勢いでお礼を言われた。
「是非、私の村にきていただけませんか。お礼をしなくてはなりません」
「いやいや、そんな大げさな」
「いえ、是非!」
まあ、女の子も重体だしな。
車に乗せて村に運ぶことにする。
女の子は後ろのベッドに横たえラグに見てもらい、
男の方は案内人として助手席に乗せた。
席に座ると目が点になっている。
「おおお、これはなんでしょうか、あなた様は高名な魔導師様か何かで?」
「ああ、これは車っていう馬車なしの馬車だよ。高名じゃないけど、魔導師みたいなもん…かな?こっちのお猫様は森の大賢者様らしいけど」
「もしや、森の守り神様ですか?村に像があります!」
あれ、結構ラグは有名なんだね。
「(当たり前やないか。ワテは森の大賢者様やで)」
ドヤ顔をするラグ。
「ああ、畏れ多い!」
「いや、そんなに畏まること無いよ」
「はあ。申し遅れましたが、私はロベルトと言います。こちらは私の妹でアニタ」
「僕はアキラっていいます。よろしく」
と自己紹介しつつ、ロベルトは目の前の光景に驚きの表情だ。
だって、車が獣道をどんどん広げつつ前進していくからだ。
でも、彼と普通に会話できてるぞ。
『マルチランゲッジスキルが備わっています』
車のパネルに表示された。
僕は何語でも問題ないらしい。
自動的に翻訳されるんだと。
ああ、これがあれば英語で赤点とらなかったのに。
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