第9話 ある1日 子猫の世話は大変だ
子猫が10匹もいると毎日けたたましい。
昼間はまだいい。
屋根の上や車の周囲で遊んだりしてるから。
でも、夜は狭い車内で大運動会だ。
で、疲れて寝たかな、って思って僕も寝る。
すると、僕をおこしにくる。
朝ごはんのために。
4時頃に。
まずは、僕の顔の周りに集合する。
しばらくじっと見つめる。
目を覚まさないと、チョンチョンし始める。
次はザリザリなめたり、噛み付いたり。
僕は眠い目をこすりながら目を覚ますんだけど、
体の節々が痛い。
そもそも、子猫がベッドを占領してる。
僕は端っこのほうで寝させてもらうことになる。
子猫はだんだんと僕の体の上とか脚の間とかに。
そうなると動けない。
翌朝は体の節々が痛いんだ。
目が冷めると子猫のお尻が眼の前、てのは日常。
まあ、排泄しないからいいんだけど。
目が覚めて上半身を起こす。
数匹が体からこぼれ落ちる。
朝ごはんの準備にかかると、もう大騒ぎ。
頭頂クライミングだから。
爪を立ててバリバリ僕の体を登ってくる。
10匹だからね。
子猫の爪って痛いんだ。
だから、僕の背中は傷まるけ。
一応、車には救急セットが準備してある。
でも、そこまでの傷じゃない。
ちょっと痒くなる程度の傷だ。
朝ごはんはカリカリ。
人間のご飯でも問題ないとラグはいう。
でも、僕的にはどうも気持ち悪い。
だから、子猫には朝ごはんはカリカリ。
晩ごはんは缶。
それからおやつにチュール。
チュールはこの世界の魔物相手でも圧倒的だ。
カリカリや缶でも美味しそうに食べるんだけど、
チュールには目の色がかわる。
子猫だけじゃなくて、ラグもそう。
缶も結構な威力がある。
缶を開けようとすると、音だけで吹っ飛んでくる。
あと、僕が昼ごはんを食べるもんだから、
結局猫たちも3食+おやつになった。
昼はカリカリ。
その分、1食を少なめにしている。
ああ、ラグは僕と同じものを食べてる。
ペットフードをあげると怒るんだ。
チュール以外。
例えば、今日のメニュー。
朝は朝マック。
『ソーセージエッグマフィン+コーヒー』。
昼は
『期間限定旨辛肉厚ビーフ&ザク切りポテトセット』。
3時のおやつ
『期間限定ベルギーショコラパイ』。
夜は
『倍てりやきチキンフィレオ+野菜生活100』。
どうも『期間限定』という言葉に弱い。
期間限定旨辛肉厚ビーフなんて
字面を見るだけでも凶悪に美味しそうだ。
子猫たちは朝ごはんが終わると、大運動会。
キャットウォークが車に備え付けられているし、
車の屋根にも簡単に登れる。
サンルーフに出入り口が備わっているから。
屋根に出ても大丈夫。
柵があって、結界で守られている。
で、車の中と屋根を使って大暴れ。
運転席にはこられないようにしてあるけどね。
昼ごはんのあとは結界内で自由にさせてる。
車の結界は半径5m以上ある。
僕ものんびり日向ぼっこだ。
運転だけでは疲れるし。
気温は低めでも結界内は風が吹かない。
だから、太陽だけでも結構暖かくなる。
今は日本でいうと晩秋か初冬という感じだけど、
少し運動すれば半袖でもいられる。
大暴れしたあとは、みんなでお昼寝。
猫は箱とか好きだよね。
ぎゅうぎゅうになってお昼寝している。
そんな子猫たちなんだけど、ラグの言う通り、
防御結界が発動しているようだ。
ゴブリン襲来が激減した。
襲ってきても結界の攻撃ですぐに退却していく。
案外、結界の攻撃力は高い。
アクティブディフェンスって奴だから。
多分、人間程度だと車に近寄れない。
僕も随分とゆったり過ごせるようになった。
ゴブリンは時間関係ない。
寝てるときに襲ってこられると腹立つんだよ。
敵を攻撃するときは、車の中は大騒ぎになる。
銃の音が騒々しいから。
『ドン!』と銃を発射すると、
子猫たちは我先に大慌てで隙間に隠れようとする。
屋根にいる奴らなんかダッシュするんだけど、
鉄板で滑るもんだから、
カリカリ音を立てながらも全然前に進まずにいる。
その音が天井から漏れ伝わってくるたびに
僕は吹き出してしまい、一気に緊張感がなくなる。
そんな子猫たち、半年ほどで一人前になる。
そうなると独立するらしい。
自然と旅立つという。
それが森の掟なんだと。
ちょっと寂しい。
もっとも、ラグは子猫を見つけてきては面倒をみることになる。
だから常時10匹前後の子猫がいるだろうとはラグの弁。
そのラグなんだけど。
大抵は車の中で寝てるかご飯を食べている。
ただ、時々どこかへでかけていく。
狩りをしているらしい。
ラグが僕にくれた魔石を見ても、
随分と強力な敵を狩っているようだ。
ラグも最近調子が良いらしい。
僕のマ◯クのおかげだ、なんて言ってるけど。
どうやら、マ◯クには魔力回復効果があるようだ。
「(魔力回復だけやないで。魔力も強くなっとる気がすんで)」
魔物は森に生息する。
森は魔素が充満している。
魔物には魔素が必要だ。
だけど、マ◯クがあれば森の外でも大丈夫そうだ、
というのはラグの弁。
ああ、カリカリとかも同じ。
ラグは魔石を大量に持っている。
いざというときには使わせてもらうつもりだ。
子猫たちのためにも安心ポイントではある。
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