第十四話 座席はこっちが上なのだが
余目駅で下車して、羽越西線代行JRバスと待ち合わせ。
四十分ほど時間があるので、その間に軽く腹に入れとこうと駅前通りに出た。が、見事なまでに何もない通り。
外れに二軒あった飯屋のうち一軒は閉まっていたので、選択の余地もなく「中華」と看板にある方に。だが、ショウウィンドウに飾られているのは蕎麦と親子丼。
客なのかお友だちなのかわからない、食事を終えたおっさんと、隣のテーブルで新聞眺めてる若い女性。当たりをつけて女性の方にすぐできるかと聞くと、ちゃんと頷いてくれた。無難にラーメンを注文する。
再放送ドラマとスポーツ新聞を変わるがわる見ているうちにラーメンが届いた。山形デフォルトなのか色の濃い、ついでに味も濃い中華そば。でもまあ、悪くない。お通しなのか余り物なのかわからないが、何やら甘辛系の煮込みも付いてきた。
完食。
若干時間が余ったので近辺を散策すると、木造倉庫をリファインしたみたいなお洒落っぽい建物に突き当たる。中は、道の駅とカフェスペースを足したみたいな施設だった。
フリースペース化しているカフェ空間には高校生たちがたむろして、道の駅風の売り場では近隣の主婦と思しき女性が野菜を買っている。うむ。ある種の社交場なのかもしれん。
時間通りに到着したバスは、乗り合い風ではなくて観光バス。当然ながら、椅子は列車よりも座り良い。でもどうせなら、羽越西線に乗りたかったな。
暮れゆく曇天の下、列車の駅前を巡りながらバスは普通の道を走る。窓からは、孵卵中の連れ合いの元を目指して転回するサギや、泥のような粘性をイメージさせる黒い水を満々と湛える川が見える。
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