第十三話 気がつけばボーダー超え

 乗客のいない車両にひとり、窓からの西陽を受けながら緩い格好で座っていた僕は、いつの間にか寝入っていたようだ。

 気づけば列車は停車中。駅は鶴岡。ダイヤ調整のため三十分ほど留まるらしい。なのでとりあえず降りてみる。

 駅舎には、改札を中心に向かって右にNEWDAYS、左に居酒屋。という点を除けば、取り立ててどうという印象の無い駅前。まあこの手の地方城下町の中心部は駅から少し離れたところにあるのが常だから、街の真髄を測るには駅前情報だけでは手落ちもいいところだろう。

 しかし売店に併設する土産物売場の商品を眺め、僕は愕然とする。

 ここは新潟じゃない!

 山形だ!

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