俺のたしかな記憶

「……ん?」

「どうしたのですか?」

「あ、いえ…なんでもないですよ」


何か視線のようなものを一瞬だけ感じた。

お嬢様か?と思ったが、お嬢様が俺に気づかれずにことはできないと思い、気のせいだなと心の中で完結させた。


「そうですか……それで、先程のお話ですが……」

「ええと、文化祭の話ですよね?」

「はい。見せ物をどうするかですが…」


文化祭。

俺の前世の文化祭という行事と似たようなものだ。

前世ではたしか――


……

……

……文化祭


そのとき、記憶がフラッシュバックした。

俺の視界にある一つの映像が流れた。


『ねぇ…! 〇〇くん! 次どこまわる?』


『あ、あそことか良いんじゃないかな! まだあそこ行ってなかったよね!』


映像の視界が縦に揺れた。

どうやら視界の持ち主がその少女の言葉に頷いたようだ。


なんだこれは…?


俺の記憶…?


この少女はだれだ…?


俺はその少女に手を伸ばそうと―――



……

……

……


「――様? ―イ様!? ――ルイ様…!」


はっ、と視界が元に戻る。


「今…のは……」


今のはなんだったのだろうか。

前世の記憶か?


「ルイ様! 大丈夫ですか!?」


ペトラが声を荒げた。


「はい……大丈夫です」

「ほ、本当ですか? ではなんで―――」






――涙を流しておられるのですか?




え?



涙?


ポタっ、床に雫が落ちる。


水…?


だがそれは雫ではなく俺の涙だった。



… 

……

………



「急に涙を流してましたが、なにかお辛いことでも…」


その後俺はペトラからハンカチを借り涙を拭いた。


「いえ、文化祭という言葉で昔の事を思い出しただけですよ」

「? 文化祭は初めてじゃないのですか?」

「……ペトラ様は、前世という言葉をご存知ですか?」

「前世…ですか? 言葉としてはご存知ですが……それが――」

「では、もし前世に大切な人がいるとして、会いたいと思いますか?」


なぜ俺がこんなこと言っているのか自分でもわからなかった。

俺の問にペトラは考えるそぶりして、


「そうですね。私なら会いたいと思います。前世でも、そのさらに前でも本当に大切な人ならば会いたいと、私は思います。もしそれが会えない運命だったとしても」

「そう…ですか」


ならば俺のこの感情は―――


「ところで――今のお話どういうことでして?」


あ………


「いえ、ただふと思った事ですから気にしないでください…」

「ふーん。そうですかそうですか。…今はそういうことにしてあげます」


取り敢えず誤解は解けたはず…?


「そういえば、文化祭の話でしたよね。本当にどうしましょうか……」

「そのことならまた、次の日にしましょう」

「次の日…ですか?」

「ええ、今日はもう御開きにしましょう」


気遣ってくれた…のか。


「わかりました。よろしかったらペトラ様のお屋敷まで見送りましょうか?」

「あら、よろしいのですか?」

「一応、もう時間が結構過ぎてますので」


俺は教室の窓から空を見ながらそう言った。


「ふふ、ではお願いしますね」


俺はその後ペトラを見送り、自分も屋敷へと戻った。




戻ってきたのはいいのだが。



玄関先の広いフロアど真ん中で、お嬢様が立っていた。


「今日は随分と遅かったね? ルイ?」



また、これかよ……



――――――――――――――――――――


久々に続きを書いたので内容がぐちゃぐちゃかもです。

時間軸が合わないのは許してください。

あと小説の書き方変えたので、このままでいきます。

色々小説を書いているのに一つも作品が完結していないのはやばいので、この作品を完結まで持ってこられたらなと思います。

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