私の遠いようで近い夢
シャルロットside―――――――――――
私は毎日同じ夢を見る。
ある女の子と男の子が楽しく過ごす夢だ。
その二人は見たことの無い街を歩いていた。
いや―――見たことがない、ではなくどこか
懐かしい街だった。
私はこんな街を見たことがないはずなのに。
夢が進んでいく。
『――くん!』
『うん、なに?』
『私達、大人になったら結婚しよ!』
男の子は少し難しい顔をして、
『うん!いいよ』
ニコッと答えた。
『約束だよ!えへへ―――――』
そこで夢は途切れた。
私は、ハッっとして夢から目覚めた。
周りはいつもと同じ見慣れた光景の部屋だった。
「また同じ夢……」
同じ夢。それは夢から覚めても鮮明に記憶に残る。
どうして毎日同じ夢を見るのだろう。
そんな事を考えていたとき、部屋にノックの音が響いた。
「だれ…?」
「私です、お嬢様。入ってもよろしいでしょうか?」
「うん」
扉が開き、ある男が入ってきた。
その男はルイという名で、いつも冷徹な目をしているが、無表情というわけではない。
ルイは私の執事で、そして私の大切な人。
いつだったか。
私がルイの事を特別な目で見るようになったのは…
私を助けてくれたあの日?それとも―――――――いや、どれも違う。
ルイと初めて出会ったとき、私はルイに一目惚れをした。
一目惚れ……なぜだろうか。まるで赤い糸に繋がれている感じがした。
まるでそれが運命だったかのように。
「―――さま……お嬢様」
「っ!?ど、どうしたの?」
「お嬢様に声をかけても反応が無かったものですから。…具合でも悪いのですか?」
「ううん、大丈夫。考え事してただけだから」
「…そうですか。では朝食ですので、早めに着替えて来てください」
ルイはそう言い部屋から出た。
私もすぐに制服に着替えて彼の後をついていき朝食をとった。
そして学園へ向かった。
空は晴れていて、太陽が強く私を照らしている。
とてもいい天気だ。
気分も良くなる―――わけではない。
それは何故か。ルイと同じ教室ではないからだ。
もともとはちょっとしたコネを使ってルイと同じ教室になる予定だった。
なのにクラスが別々になっていた。
私がそのコネをミスったわけではない。
ということは、誰かがそれを邪魔したということだ。
私は邪魔した奴を見つけるために色々な手段を使い調べた。
そうして調べた結果、邪魔をした奴の名前は
ペトラ・ラミレスだった。
私はその名前に覚えがあった。
たしか、私が12歳の頃、社交界でルイと話していた女だ。
あの楽しそうに、私のルイと喋ってたのを思い出すだけでイライラしてしまう。
今すぐにでも消してやりたいと思っていたがよくよくもっと調べると、ペトラという女は私の家と同じ、公爵家のお嬢様だった。
公爵家相手に手を出すのは流石に良くないと思い、その場で拳を握るだけで踏ん張った。
そして私は学園でルイを監視――じゃなくて、守るためにルイを見続けていた。
どうやってルイに気づかれずに見ていたのかは秘密だ。
そして今日も、私はルイを見ていた。
どうやら、またあの女と会話しているらしい。
会話は聞き取れないが、表情だけで楽しそうに会話をしているのが見えた。
ルイにあれほど余計な会話はしないって言ったのに…………
「そこでなにしているのかな、シャルロット」
後から突如声が聞こえた。
振り返ると、紫色の髪に蒼色の瞳で、端整な顔をしている、レオン・アルレイトがいた。
彼は入学式早々に話しかけてきたのだ。
そこから毎日話しかけられるようになってしまった。
「ただ景色を眺めていただけですよ」
「…そろそろ敬語を外してくれると助かるのだけど」
彼はずっとニコニコしている。
「すみません。敬語が癖になってしまっていて」
嘘だ。ただ単に距離が近くならないようにするための方便だ。
「そ、そうなんだ」
「では私はこれで」
「あ、ちょ、ちょっとま―――」
私はすぐその場を離れた。
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