俺のせいなのだろう。

俺は脳がパンクしそうになっていたのだった。


「どうしたんですか?····まるで私がと言いたげな顔ですね」


ペトラの銀色の瞳に俺の奥底を見られたような気がした。

俺は背中に何か刃物を当てられたような、

背筋がゾクッとした。


「い、いえ!ペトラ様が同じクラスだと思っていなかったので」


銀色の瞳で俺をジッと見つめていた。


「ふふ、今はそういうことにしてあげますね」


ふぅ良かった、と心の底から息をついた。


「あ、勝手に座っていいですよ」

「隣失礼しますね」


ペトラは俺の横の席に座った。

そしてペトラは思い出したかのように俺に疑問を投げてきた。


「そういえば、ルイ様はただの執事ですよね。どうして学園に来られたのですか?」

「ええと····」


今回の入学理由は伏せておいたほうがいいだろう。

ペトラのことを信用していないわけではないが···


「そうですね····学びたいことがあったからですよ。例えば、私は魔法が苦手ですので克服したかったり、剣術を上達させたり、ですね」


俺は頭の中に浮かんだ文字を繋げていった。


「ルイ様は魔法が苦手なんですね····」

「はい、生まれつき魔力が少なくてですね

代わりに子供の頃からずっと剣を握っていました」

「それはとても尊敬しますね····でも魔力が少ないというのは意外ですね」

「そうでしょうか?」

「ええ、私から見たら魔力が少なく見えないのです」

「····それはどういうことなのでしょう?」


実際俺は魔力が少ない。

魔力の量というのは自分自身が一番理解している。

ペトラから見て魔力が少なく見えない、はどういうことなのだろか。


「あまり深く考えなくてもいいと思いますよ」

「そうですね。気にしててもしょうがありませんね····」


気にしてても意味がないと思った。

そのとき丁度教師がやってきたため会話を切った。

そして教師が教卓に立ち授業になにがあるかなど色々説明していた。

そんなことを片耳で聞き、俺はペトラについて考えていた。


ペトラの言動や仕草は乙女ゲーム【あるれい】と何も変わらない。

それがあまりにも不気味すぎた。

ペトラ・ラミレス····彼女が何故、悪役令嬢と言われているか。

彼女は攻略対象のうち一人の婚約者だった。

その攻略対象と主人公が一緒にいるところに不満を持ち、もともと主人公のことを良く思っていなかったを含め主人公に嫌がらせをしていた。

彼女の嫌がらせはどんどんエスカレートしていった。

最終的には攻略対象の一人に断罪された。

これがペトラ・ラミレスというキャラクターだ。

まぁ彼女のビジュアルなどにより人気ランキングでは上位に入っていた。

俺もそのビジュアルや言動、仕草に惹かれたのだろう。


·····話を戻そう。

ペトラ・ラミレスは俺が知っているものと大きくかけ離れている。

ペトラが本作と大きく決定的に違うのは、その攻略対象と現在婚約関係でもないことだ。

婚約というのは基本世間に公表しなければならない。

だがそれが公表されていない。

つまり婚約していないということ。

【あるれい】のストーリーと全く違う。

なにもかもおかしい·····

お嬢様·····シャルロットもペトラも俺の知っているものと大きくかけ離れている。


····俺が変えてしまっているのだろうか····

····全て俺のせいなのだろうか

····もしかしたら俺のせいで不幸になる人がでるかもしれない――――


「―――――イ様!、――――ルイ様!」

「―――っ!!」


俺は誰かの声により意識が戻った。


「大丈夫····じゃなさそうですが····ルイ様····顔色が悪いですよ····」


俺の横に座っていたはずのペトラが席から立ち、俺に声をかけていた。


「····大丈夫です····それで····」


俺は周りを見たが誰も居なかった。


「ルイ様、今から授業ですよ。外に集まってくださいとのことです」

「すみません····色々と考え込んでしまって」

「あまり無理しないようにですよ?」

「大丈夫ですよ無理はしません。では行きましょうか」


片耳で聞いていたつもりだったんだがな。

どうやら考えすぎていたようだ····



――――――――――――――――――――

今回短くてすみません。

ヤンデレ回が少ないですね····できる限り多くしたいのですが

やっぱり物語を考えるっていうのは難しいですね。


攻略対象キャラクター名どうしよ···

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