まさかの嬉しい事実。そして不穏。

俺達は馬車に乗り学園へと着いた。

俺は先に馬車を降り、お嬢様の手を取る

ということはしない。

今回の場合、俺は執事として学園に来ているは裏向きで、表向きは普通の生徒として入学することになっている。

なので他に雇った人がお嬢様の手を取っている。

まぁ何故かお嬢様は不満だったようだが。


そして俺達は一定の距離を保ちながら学園の門を潜り足を進めた。

そうすると、周りの生徒から視線を浴びた。

ま、それもそうだろう。

なにせ、お嬢様は容姿端麗であるからな。


「お嬢様、多くの視線を浴びていますね」

「私だけでもないと思うけど····」

「え?周りにそんな方居ましたっけ?」


俺は辺りを見渡した。

お嬢様ほどの人物は居ないと思うけど····


「というよりルイ。お嬢様呼びになってるよ」

「あ、失礼しました。シャルロット様。」


そうさっきも言ったが俺は執事としてではなく生徒として来ているのだ。

お嬢様と呼ぶのではなく、シャルロット様と呼ばなければならない。

それは馬車に乗っているときに話して決めたことだ。


「ふふ、ルイに名前を読んでくれたのいつぶりかな」

「そうですね····ざっと3年間くらいじゃないですかね」


今まで俺はシャルロットの事をずっとお嬢様と呼んでいた。

執事としてそう呼ぶのが当たり前になっていたからだ。

まぁ昔何度か、


『ねぇルイ!私のことシャルロットって呼ぶようにして!』

『いやそれはちょっと·····立場的にできないです』

『えぇぇ!少しくらいいいじゃん····』


と会話を繰り返した。

お嬢様は俺に名前で呼ばれることに何故か固執していた。

なんでそんなにも固執していたのか····俺には分からなかった。


「そうだね····ルイと初めて会ったのも遠い記憶になっちゃったね」

「もう5年も経ちますからね」


俺とお嬢様は10歳のときに初めて会い、それから現在はお互いに15歳となっている。

この5年間色々な事があったが····本番はここからだ。

まだスタートも切っていない。

鳴っていなかった合図が今日鳴ろうとしている。


そうして、学園入学会場へと近付いてきた。

お嬢様とは色々な事を振り返っていた。


「同じクラスになるといいね」

「そうですね」


俺としてはお嬢様と同じクラスにはなりたくないけど。

まぁどうせ同じクラスになるんだろうなぁ。


そう考えていると学園入学会場へと着いた。

会場の中に入ると沢山の貴族がいた。

そして案内役をしていそうな人が、


「来た人から座ってください」


と声をかけていた。

それを聞き、俺とお嬢様は席へと座った。

それから時間が経った。

生徒は全員座ったようだった。

そのとき舞台の上に一人の男性が声を発した。


「では入学式を始める」


男性は風格のある顔付きだった。

そして淡々とどうでもいい話をしていた。

内容としては、

この学園に入学してもらえたことに心から嬉しく思いますやら、

学園について話していた。

俺にとっては結構退屈だった。


時間が過ぎ長い話が終わった。


「クラスをそこで確認して自分の教室へと向かってください」


その男性は大きな看板のようなものを指した。

そこには大量の名前とどこのクラスかが書かれていた。


ま、どうせ同じクラスだろうなぁと思い自分の名前を探した。

あったあった。俺は自分の名前を見つけた。

そのとき、隣にいたお嬢様が声を発した。


「え·····?」

「どうしました·····あ」


俺はお嬢様の名前を見つけてよく見た。

そしてなぜお嬢様はこんな反応をしたのか分かった····

それは俺とお嬢様のクラスは別だからだ····!

え?まじ!正直一緒のクラスになると思ってたけど。

てことは····

俺は一応攻略対象の名前を探した。

·····よし!俺と別の教室だ!

お嬢様には申し訳ないが関わりたくないので

な。


「なんで····ルイと同じクラスじゃなかった····」

「ま、まぁ同じクラスじゃなくても、会う機会は沢山あると思いますよ」

「····そうだね·····」


そのあと俺とお嬢様は自分のクラスに向かった。

途中で別れ、俺は自分の教室へ入った。

教室に入ると多くの俺と同じ生徒がいた。

前の黒板を見ると、自由な席に座れと書いてあったので俺は一番後ろの席に座った。


時間が少しずつ経過していた。

退屈していると隣から声がした。


「隣よろしいでしょうか?」


俺はその声の主へと振り向いた。


「え·····」


俺の中で世界の時が止まった。

だってそこにはがいたのだから。


「ふふっ、久しぶりですね?ルイ様」

「ペトラ·····樣」


3年前と長さが変わっていない黒い髪、キリッとした目に銀色の宝石が入っているような、完全に魅入ってしまうような瞳をしている。


「あら、覚えていてくださっていたのですね、嬉しいです」

「なぜ····」

「なぜって·····同じクラスになったからですよ?」


そんなわけがない。

【あるれい】ではお嬢様――主人公と悪役令嬢ペトラは同じクラスだ。

この世界は【あるれい】と同じ線路を走っている·····走っているはずだ····

だったらお嬢様とペトラは同じクラスのはずだ。

いやあり得るのか?·····いやあり得ない。

それをする意味がない·····


俺は脳がパンクしそうになっていたのだった。



――――――――――――――――――――

ヤンデレは一人にしようかと思いましたが

増やすことにしました。

今後の展開を考えるとね。


追記多くてすみません。


追記=ヒロインをシャルルとしていましたが、よく調べたらシャルルという名前は男性名でした。すみません。今後はシャルロットという名にします。読んでいた方急な改変失礼します。


間違いを教えてくれた方ありがとうございます。

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