さらに3年後。学園に入学することになった
今だっ!
俺はその瞬間、拘束を外し、ベットから降りた。
「え!?どうやって···」
「お嬢様!聞いて下さい!誤解なんです!」
俺はペトラと会ったときの話をした―――
「ふーん」
お嬢様は考える素振りをした。
ちなみにだが俺が話した内容は、
ある貴族の令嬢が人に押され転びそうな所を助けた。
その後、お礼をしたいと言われお互いに自己紹介をしただけ、とお嬢様に話した。
「つまりただお礼をしてもらっただけです」
悪役令嬢と接点は持たれたくないため
ペトラ、彼女自身のことは伏せた。
「嘘ついてる感じでもないし····うん!分かった!疑ってごめんねルイ」
「いえ、元はといえば私がお嬢様に誤解させたのが悪いのですから」
正直、お嬢様に何を誤解させたのか知らないけどな。
まぁお嬢様のイメージが俺という執事によって悪くされないか心配しただけだろう
多分。
俺は、お嬢様の先程の行動と言動を真に受けることができず現実逃避をしたのだった――
そして今は帰りの馬車に乗っている。
「お嬢様、貴族方への挨拶は済みましたか?」
「うん!でも色々な貴族達とお話したけど、やっぱり疲れたかなぁ」
「それはそうでしょう。礼儀や作法などまだまだですもんね」
「むぅ~!、ボロは出さなかったんだし、いいじゃん!」
お嬢様は頬を膨らましながら、プイッと顔を逸らした。
「冗談です。今日のお嬢様はいつもより大人びて、美しかったですよ」
「ほ、本当?」
「はい」
お嬢様はえへへっ、と顔を緩めた。
そうして、いつもの屋敷へと着き、変わらない日常へ戻った。
特にイベントは無く3年という月日が経った。
俺は15歳になり、顔立ちがや身体が大人に近付いた。
そして15歳になると貴族はみな学園に通うことになる。
お嬢様は明日から学校に通うことになっていた。
俺は学園に通わないのかって?確かに俺は貴族ではあるが、ただの執事なため通うことはできない。
というより、俺が学園に通うか通わないかを決めるのは俺の親ではなく、俺を雇っている公爵だ。
公爵が一介の執事に学園を通わせることはしないだろう。
ま、お嬢様が学園に通っている間、一人の時間できるし、何より攻略対象と関わらないで済む。
嬉しい限りだ。
そして現在俺はお嬢様の部屋に向かうため屋敷の廊下を歩いていた。
お嬢様の部屋に着きノックをした。
「お嬢様。私です」
「ルイ?入っていいよ」
お嬢様の声がしたので部屋に入った。
中に入ると、椅子に座っているお嬢様がいた。
お嬢様は15歳となり、【あるれい】のゲームと同じ容姿へと成長していた。
そして、声も大人びていて言葉使いも変わった。
まぁ度々昔と同じになるけど。
「朝、起きるの早くなられましたねお嬢様」
「ええ。ルイにいつも起こさせるのは悪いからね」
「いつも起こすの大変でしたから私として嬉しいです」
「あ、あんまり昔の事掘り返さないでほしい····は、恥ずかしい」
お嬢様は顔が赤くなっていた。
そういうところはあまりかわっていないな。
「今後気をつけますね····ところで髪は梳かしましたか?」
「まだ····お願いできる?」
「はい、分かりました」
俺はお嬢様の長く綺麗に伸びている髪を梳かし始めた。
「明日から学園ね」
「そうですね、私は学園には通えないので、お嬢様が少しの間居なくなると考えると寂しいです」
そんなことあんまり思っていないけどね。
学園にはどうしても通いたくないから。
「え?何言ってるの?ルイも通うよ?」
「へ?」
俺はその衝撃的な言葉に素頓狂な声を発した。
「お父様から聞いてなかった?」
「·······聞いてないですよ」
そんなの聞いてない!
え、まじで通うの?
公爵から何も言われてないのだけど····
「でも学園にはもう手配されているから」
「制服とかどうするのですか」
「それならもうあるよ」
めっちゃ通わせる気まんまんやん····
俺はお嬢様の髪を梳かし終えた後、急いで公爵を問い詰めにいった。
「どういうことですか公爵様!なぜ教えてくれなかったのですか!」
「ああごめんね。伝えるの忘れていたよ」
大事なこと忘れないでくれよ····
「何故私を学園に通わせるのですか?私はただの執事ですよ?」
「それだよ、執事としてシャルロットを見守っててほしいんだ。何かあったじゃ遅いからね」
この公爵過保護すぎないか?
まぁでも身分が高いからしょうがないのか。
でも納得はできない。
「今すぐ取り消s―――」
「あ、そうそう学園の入学はね決まったら消せないから」
ふざけんなよ。
「分かりました。通いますよ····精一杯お嬢様を守りますね」
「ありがとう。制服はそこにあるから持っていってくれ」
「はい····」
俺は制服を持ち自分の部屋に戻った。
はぁ、通うのかよ····
できる限り攻略対象を避けよう。
まぁ······でも、案外楽しみかもしれない。
ここ15年間、執事としての仕事しかしていなかった。
別に苦ではなかったがお嬢様と話したりする以外は案外退屈だった。
学園ね·····前世はどうだったかな·····やっぱり思い出せないか。
前世に縋っていても意味はないな。
俺が考えるのは今世の事だ·······
そうして、普段と変わらないように過ごし、
日が過ぎた。
今日は学園入学日だ。
俺は制服に着替えた。
そしていつも通りお嬢様の部屋へとノックをした。
お嬢様の声がしたので部屋の扉を開けた。
そこには制服姿のお嬢様がいた。
「ルイ····ど、どう?」
お嬢様はくるりと周りスカートを靡かせた。
その姿は俺でも美しいと本当に思ってしまった。
「似合っていますよ」
「ふふ、ありがとう!ルイも似合ってるよ!」
「ありがとうございます。では行きましょうか」
「うん!」
俺達は馬車に乗り学園へと向かった。
――――――――――――――――――――
な、何故か伸びてる·····
即興で考えた内容なのであんまり読まれないとおもってました。
追記=ヒロインをシャルルとしていましたが、よく調べたらシャルルという名前は男性名でした。すみません。今後はシャルロットという名にします。読んでいた方急な改変失礼します。
間違いを教えてくれた方ありがとうございます。
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