嫉妬
「では····私はペトラ・ラミレスと言います」
「ペトラ・ラミレス美しい名前で―――」
え?ペトラ・ラミレス?
ペトラって····あの悪役令嬢の?
まじ?
俺は唖然としていたのだった··········
俺の反応にデジャブを感じた人もいるだろう。
いや仕方無くない?
だって、ペトラ・ラミレスって前世の推しだったキャラクターだよ?
まぁ前世の記憶が少し危ういけど、確か俺の推しだったはずだ。
そして、そのペトラ・ラミレスの容姿はというと、
肩まで伸びた黒髪とキリッとした目つきで銀色の瞳をそこに宿している。
そしてほとんど無表情である。
というかまだ12歳のはずなのに、大人びて見える。
「どうしましたか?」
「ペトラ様の髪の色はとても綺麗だなと····」
「···········ふぇ?」
ん?『ふぇ』?なんか可愛い声がした気が····
「もしかして、失言でしたか?」
「いえ····その、私の黒髪を綺麗と仰ったのはルイ様が初めてでして····」
「え!?そうなんですか····私は綺麗だと思うのですが」
うーむ、多分前世の影響だろうな。
この世界の人達には違和感感じるかもだけど俺には黒髪でも違和感が無い。
「あ、ありがとうございます····」
ペトラは俯いて何かボソッと呟いていた。
「っと、すみません、お嬢様がそろそろ戻られると思うので····また何処かでお会いしましょう」
「は、はい、では···」
推しに会えたのは嬉しいな。
俺はその場を後にし、お嬢様の方へ向かった。
確かこっちの方だったよな····
「ルイ!」
お嬢様の声がした。
「お嬢様、アレク様とはどうでしたが」
「なにその言い方····まぁ踊りは楽しかったよ!」
「そうですか、それは良かったです」
こんなイベントは知らなかったけど、少しは攻略対象と発展はしたかな。
ちなみにだが、俺はお嬢様と攻略対象を少しでも近づかせようとしている。
理由だが、【あるれい】にはない路線に走って世界でも滅んだら嫌だからだ。
本来、【あるれい】にはルイ・アルデヒドという執事は居ない。
俺がシナリオを変えてしまうのは危険だ。
そして俺という存在はバグだ。
バグがゲームに干渉すれば壊れる。
それと同じだ。
まぁ本格的に攻略対象と会うのは学園でだ。
15歳になると貴族はみな学園に通うことになっている。
そこでお嬢様と攻略対象とのストーリーが始まる。
3年後は色々と忙しくなるだろうなぁ。
とそんなことを考えていたとき、
急にお嬢様が俺に近付いてきた。
「スンスン」
「お、お嬢様?どうかしましたか?」
「―――くさい」
「え?」
「ねぇルイ?他の女のニオイがするのだけど····どういうことかなぁ?」
女の匂い?え、何それ····そんな香水はつけ――あ、さっきペトラを支えたときか?
「いや、それは····」
ペトラの事は言わないほうがいいな。
悪役令嬢と主人公は相性が悪いのだ····
さて、言い訳をどうするか····
「私が居ない間、女に尻尾振ってたの?」
まずい、お嬢様の瞳にハイライトが無くなっている。
「いえ····そのようなことは····」
「ねぇルイ、その女今どこにいる?始末するから」
「落ち着いて下さいお嬢様!取り敢えず手から出してる魔法を消して下さい!」
「·············分かった」
お嬢様は急に素直になってくれた。
「ふぅ····お嬢様、ちゃんと説明するので――」
「ねぇルイ、喉乾いたでしょ?このジュース飲むといいよ!」
「え、あ、いや」
「ほら飲んで!」
「は、はい····」
俺は何故かお嬢様に言葉を遮られ、ジュースを飲ませられた。
「お嬢様、なにがあっt―――」
なんだ·····急に視界がグワングワンしてきた。
ヤバい倒れそう――
このジュース何か入っていたのか···
そのとき俺が視界が狭くなっている中、男性の声がした。
「シャルロット!どうした····ってルイ大丈夫か!?」
「パ――お父様、ルイは体調が悪いのでベットがある部屋、休憩室に連れてって下さい」
「ああ、分かった」
俺の視界はそこで途切れた。
そして目が覚めると、俺はベット上で魔法によって縛られていた。
そしてお嬢様が俺に跨っていた。
「あ、起きた!」
「お嬢様····これは一体····」
俺は魔法で縛られている手首を左右に動かした。
「駄目だよルイ、動いたら跡が付いちゃうよ」
これはどういう状況なんだ····
「お嬢様、この魔法解除してください」
「え?嫌だよ。だって解除したら逃げるでしょ?」
「··········逃げませんよ」
「今絶対逃げようと考えてたでしょ?ねぇなんで?なんで私から逃げようとするの?さっきもさぁ、私から離れている間に他の女と楽しく喋ってたりしてたよね?それってさぁ浮気だよ?浮気。私はこんなに愛しているのに、全然気づいてくれない。ルイは私のモノ。ルイは私のモノ。ルイは私のモノ。
·····もう逃げられないようにしちゃおっかな?」
ヤバいヤバい····!途中聞き取れなかったけどヤバい気がする!
目がマジだ·····
取り敢えず拘束を取らなければ···
俺は魔法は少ししか使えないが応用すれば拘束を解ける。
俺は手に力を入れた。
そうすると、カチャっと音がした。
今だっ!
俺はその瞬間、拘束を外し、ベットから降りた。
「え!?どうやって···」
「お嬢様!聞いて下さい!誤解なんです!」
俺はペトラと会ったときの話をした。
―――――――――――――――――――
次か次の次に学園編になると思います。
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