第2話 ちょっと襲撃しにきました

 ここはラウラ達の隠れ家の斜向かいの酒場。


「うんうん、今日もいい感じの稼ぎだ。やはりああいうものは売るに限るね」

「へへっ、そうですね。ボス」

「金額数えたら、金庫にちゃんとしまっておけよ?」

「へーい」


 本日の売上を数えて上機嫌なボスとその手下。

 元銀行員の手下が売上を確認して帳簿につけ、他の手下が売上を酒蔵の奥にある金庫に入れる。

 そんな普段の流れの中。入口から爆発音が酒場に響いた。


「なっ、なんだ?!  見てこい」

「へいっ!」


 律儀に入口からぶっ飛ばし、ラウラ達がマイペースに乗り込んでくる。

 一般客は居ないだろうとたかを括ったムーブである。


「悪のカリスマ、ラウラ・南ヴァルスガム登場!」

「げぇ!?」


 相手の反応にラウラは満足気である。

 が、この反応は仕方ないものだ。領主の三女であり、加減を知らないので被害はでるし、逃げ切ったところで子煩悩な領主に筒抜けなのでその後がないのは周知の事実なのである。


「やっちゃえ、ナツキ嬢、ソフィー嬢!」

「はいっす!」

「りょうかいです!」


 ナツキは無意味にラウラの周りをくるりと周りながら、ガトリング砲を構える。


「氷よ、嵐よ。我が名の元に無慈悲を与えたまえ、フリージングバースト!」

「ぎゃー!!」

「うおー、やめてくれー!」


 氷の礫を伴う嵐が店舗内を無遠慮に蹂躙していく。

 壁や床は穴だらけになり、まともに立っていられない状況である。

 敵であるボスもその手下達も一気に阿鼻叫喚し、あるものは倒れ、あるものはテーブルを盾にしと、状況を撹乱するには十分であった


 そんな状況の中、ソフィーは持ち前のスピードを活かして、一目散に金庫を確保していた。

 金庫前にいたやつには、スピードののった鉄拳制裁である。


「ぐぇっ!?」

「ラウラ様ー、ナツキどのー。金庫は確保しましたよー」

「でかした!」

「んじゃ、解散!  後で落ち合いましょう」


 ラウラは、猟銃を構えて数発撃ち壁を破壊して即席の出口を作る。

 無詠唱で使える銃魔法は、威力が高い代わりに属性を何も付与していない分、雑に対策されやすい面もあるが、ラウラはただ単に威力でねじ伏せるのである。


「それじゃ、邪魔したわね」


 ラウラはバイバーイと手をふり、ぶち抜いて作った出口からナツキを伴い出ていった。


「じゃ、私も」


 ソフィーは、騒ぎのなか裏手口から離脱していた。


「……もう足を洗って普通の店にすっか」

「……そっすね」



「「「かんぱーい!」」」


 ラウラ達は隠れ家に戻り、はしゃいでいた。


「これで凄女ちゃんで大変だった分は相殺っすね」

「ええ、ええ、そうね」

「ここまでやっとけば、あいつ等も悪事を続ける気なくして会心するでしょう。いいことです」

「そうね、私より目立つ悪は要らないわ!  この調子で潰していきましょ!  小さいことからコツコツとやってレベル上げよ!」

「「はーい」」



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 おまけ



「さん、にー、いっち……どっかーん。てんっさいっ魔砲使いナツキ様の魔法講座ー!!  本日は、魔法の大分類についてっす」

「大分類としてはおおよそっすがこんな感じっす

 炎を操作する火系、

 水や氷を操作する水系、

 風や自然に干渉する風系、

 物を産み出す錬金系、

 一部の家系で独占されている家系、

 回復や呪いなどができる聖邪系、

 銃での使用に特化した銃系、

 何にも属さない無系」

「基本的に、無意識に無系のバリアを薄っすら纏って戦っている人が多いっす。

 上級者になれば、属性を切り替えて更に耐えやすくするもんすね。ただ、属性間違えると受けるダメージが増えるから危ないっすよ」

「それぞれの系列に数十種類に細分化されてると言われてるっす。まぁ銃系は除くっす。これは銃を使う為の基本的なものだけっすから、実質無系の一部っす」

「大抵の人は銃系と無系とあと一つか二つの適性しかないっす。ま、ワタシ様レベルになると家系以外一通り使えるっすけどね!」

 

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