第2章 青い森の洞窟
第12話 洞窟への道程(1)
冷静になって考えてみれば『パーティーを組む』という事は『ずっと二人きり』という事でもある。
男性に対して
胸に手を当て、その場に
「回復しましょうか?――いや、しようか?」
とライジェル。本気で心配しているようだ。
だが、今は
「だ、大丈夫っ」
そう言いつつ、私は左手を突き出し、ライジェルの接近を
かなり意識してしまっている。だが、今
うにゃーん♡――となってしまいそうだ。
(まずは冷静になろう……)
こういう時は食べ物のことを考えるのがいい。
昨夜食べた野草の
『青い森』で採取したため、色は青くて不気味だったけれど、肉厚の葉は食べ
定番の『お
葉の裏面だけに、
クセのない味だが、葉には
そういう場合は
他にも食材あれば、
もう少し暖かくなれば花も咲くだろうから、そちらは
塩漬けにすれば、保存も効きそうだ。
春から初夏にかけては野草の季節である。
探せば――
(早速、ライジェルにもご
先程もらったので、
よし! 落ち着いてきた。
いいえ「お腹が空いてきた」の間違いかもしれない。
心を落ち着かせるハズが思わぬ落とし穴だ。私は立ち上がると、
「落ち着いたわ」
と答える。ただ、その後「良かった」と言って、ライジェルが手を差し出してきたのは予想外だ。
不意打ちである。
いいえ、
(ライジェルは悪くない!)
誰だ、私のライジェルを悪く言うヤツは!
これはどう考えても「俺の手を取れ」という意味だろう。
再び顔が赤くなり、彼の手を取ろうとした私の動きが
(やっぱり、引っ込めよう……)
そう思った私の手をライジェルは強引に取ると、
自然と彼は私を
(ううっ、心臓に悪い……)
顔が近いし、私を支えるために腰へ手を回していた。
全然――いや、まったく
それどころか、
だが、
「すまない。今日中に洞窟を見付けて、探索したいんだ……」
荷物は俺が持とうか?――とライジェルが聞いてくる。
「だ、大丈夫よ」
私はそう言って、ゆっくりと彼から離れた。ライジェルから背を向け、両手で頬を軽く叩いた後、魔法陣の書かれた布を広げる。
そして、その上に
転移用の魔法で、異空間へと収納するためのモノだ。
とはいえ制約がある。そのため、収納できる期間は1、2週間といった所だ。
食材や
ダンジョンなどの探索をする場合、身軽になる必要があった。
その際に使用する。魔法の種類としては召喚魔法に近い。
必要な
「じゃあ、行こうか」
とライジェル。地図や磁石を使わずに
「シャウラが一緒なら、早く着きそうだ」
彼がそう言った意味を私はすぐに理解する。
風や火の魔法を使えば問題ない。
途中、森の中を流れる川へと
これも魔力の
少し
夕飯の食材の確保でもある。
こういう湿った場所には食べられる野草が
(青いから見付け
ライジェルも急いで町から出てきたらしく、食糧の確保はしてこなかったらしい。
まあ、
例え森の中で一人だとしても「
ライジェルほどの実力者なら、木の実なども作り出せるだろう。
ただ、それだと栄養は
(肉や野菜も必要よね!)
彼は「急いでいる」という事だったので、私は知っている植物だけを手早く採取した。
ただ、複数の種類を採取し、食べてしまうと――
(魔力暴走の危険があるかも……)
私の体質上、免疫が出来ている可能性もあったが、今回はパスの方針だ。
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