第7話 突然の襲撃者(1)
彼の名前は『ライジェル』というらしい。ブラック企業(?)という所に
よく分からない単語が出てきたのだけれど、持っていた卵を私にくれるという。
(いい人だ。信じよう!)
私が卵の入った
「それでよく、今まで『妖精狩り』に
いや、
小馬鹿にされたような気もするけれど、ちょっとだけ
(
と考えると、落ち込みそうになる。
うんん、今はあまり深く考えないようにしよう。
それよりも
調理開始である。私は、
「お礼をするから待っていてね♪」
ライジェルへ
作るのは
本当は手間を掛けたい所だけれど――
(まあ、ライジェルが結界を張ってくれているので安心だけれど……)
材料の計量を終えるとボウルに移し、手早く
風魔法を使いつつ、土魔法で
それから魔法で火を入れて、先に
私の
「へぇ」
と素直に
つい私は張り切ってしまう。けれど、決して手は抜かない。
まずはメレンゲと
特にパンやケーキを焼く際、予熱は
パウンドケーキの
真ん中を
また水魔法で
こうすることで
乾燥を防いでくれるので、香ばしいパンが好きな場合は必要ないだろう。
天板も温まり、温度のムラもなくなった。
後は
ライジェルは、
「そこまで魔法を料理に応用する方を初めて見ました」
素晴らしいです――と私を
先程とは違い、素直に感心しているようだった。
魔結晶を
長年の勘と経験がモノを言うので、魔法を使った調理方法は長命種であるエルフだけの文化かもしれない。
「30分程待てば、焼き上がるわ♡」
と私は可愛くポーズを取る。
さて、ここからはライジェルとの談笑タイムだ。
早速、私の魅力をアピール……じゃなかった――
(まずは彼の旅の目的を聞こう!)
神官が1人で
余程の覚悟か、自信があるのだろう。
通常、神官や僧侶はただの回復役である。
あわよくば、そこに私が付け入る
自分から申し出てもいいのだが、やはり男性から誘って欲しい。
(旅の仲間にしてくれないかな?)
そんな私の思惑など知らずに、ライジェルは
どうやら彼は『青い森』を抜けて、奥の集落へ行く予定らしい。
その前に――森にある――
魔王の遺産について調べているのが目的だと語る。
当面は洞窟や迷宮、遺跡などを
特におかしな点はない。
けれどライジェルは、そんな私の話を聞いても、
「いいんじゃないですか?」
冒険者は本来、自由なモノです――と言ってくれた。
今までは否定ばかりされてきたためか、嬉しくなり、
「そうよね!」
そう言って、私は彼に詰め
本来はこんな事などするような性格ではないのだけれど――
(うっ、ライジェルの顔が近い……)
私は
どうも、彼と話していると調子が
(
その後、彼の好きな食べ物を聞いて、
「今度、作ってあげるわ♪」
と約束をする。ただ、材料が無い。
大陸に6つある港街を回るのが、
(それでも、手に入るとは限らないか……)
少し残念である。
しゅんと落ち込んでいたようで、ライジェルは、そんな私を
「無理はしなくていいよ。シャウラが作ってくれたモノなら――」
全部、美味しそうだ――と言ってくれた。
いちいち優しくしてくれるので、勘違いしそうになってしまう。
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