第8話「お泊まり会?」

「ねぇねぇ、和真君、明日はなんだと思う?」


「明日?明日は・・・ってもう休みか、早いな」


「そうなのです!日常というものは過ぎ去っていくものなのです!」


「で、明日なんかするのか?」


「明日はね、お泊まり会をしようかなと」


「は?」


「もちろん和真君もね!」


「いやいや、ほぼ女子会みたいなもんだろそれ、そこに男が混ざるって・・・」


「大丈夫だって斉藤、ウチら別に気にしないし」


「気にするしないじゃなくてさ・・・」


「ウチん家、学校から近いからとりあえず集合場所は学校にしよ」


「いや、お前らはいいかもしれないけど他の奴らは・・・」


「わ、私は別に・・・緊張はするけど・・・」


「私も別に〜」


「あたしはゲームが出来ればそれでいい」


「お前ら・・・」


呆れてものも言えない和真を置いて話は進んでいく。で、翌日、沙苗の家の前にて。


「ダメよ」


「なんでだよ母さん、別にいいじゃん!兄貴だっているんだし、寝る時は兄貴の所で寝てもらえば」


「ダメ、それにお兄ちゃんは今日居ないわよアンタと同じく友達のとこでお泊まり」


「居ないなら兄貴に許可取って・・・」


「俺の部屋を勝手に使うなって伝言預かってるんだけど?」


見かねた和真が口を挟んだ。


「あ〜、ゴホンッ・・・俺はさ、別にいいよ。お前らだけでやれば」


「ダメだよ!みんなでお泊まりしないと意味がないもん!」


「そうは言っても駄目だってさっきから言われてるだろ?もう諦めろよ」


「ん〜・・・あ、ちょっと待って、一緒に泊まることは出来なくても何とかなるかも・・・」


和真は自宅に帰ってきた。


「あれ?和真、友達の家に泊まるんじゃなかったの?」


「泊まるんじゃなくて泊まるかもね。まぁ、それも変更になったんだけどさ」


そう言って和真は自室に戻って行った。


「変更・・・?」


そして、夜。和真は携帯を取り出しRAINを開いた。RAINのカメラモードを起動すると、いつもの声が聞こえてきた。


「和真君やっほ〜!見えてる〜?ってうわぁ〜和真君の部屋ってそんな感じなんだね!」


「あんまジロジロ見んなよ」


「私、男子の部屋まともに見たの初めてかも」


「あたしも〜」


「だから見んなって。で?リモートでお泊まり会するのはいいとして何話すんだよ」


「何ってそりゃあいつものでしょ」


「いつもなら変わんねぇじゃん」


「だって和真君の分かんない話しても意味ないでしょ?」


「例えば?」


「女の子にしか分からない話とか」


「確かにそれは分からん」


「でしょ?だからいつものダラダラ〜っとした話をするの!お菓子とか食べながらね」


「太るぞ」


「あ〜!それは言っちゃダメなやつぅ!」


「てかさ、少し気になるから部屋の中軽く映してくんない?ウチの部屋だけ見られてんのも不公平じゃん」


「それを言われるとぐぅの音も出ないが・・・汚くても文句言うなよ?」


和真はそういうと渋々部屋の中を軽く映して見せた。


「へぇ、結構ゲーム機とか置いてんだね」


「使ってないのが多いけどな、いつかふとやりたい瞬間があるかもしれないしってことで置いてある。お前らの知らないゲームとかも沢山あるぞ」


「へぇ〜!見てみたい!見せて見せて!」


「分かったよ」


和真は自分のゲームを置いてある棚へとカメラを向けた。


「うわぁ!懐かしい〜トンキーコンクだ!妙に難易度が高いやつ、子どもの頃やったなぁ〜」


「あ、あっちにはリマオあるじゃん結構テンプレ置いてんね」


「でもこれは知らないだろ?」


「何これ、ブラスター?」


「これ、SPLASHが流行った時に出たパチモンみたいなやつ。ストーリーはゴミだけどアクションはよく出来てたからよく遊んでた。ガキの頃は英語読めなくてSPLASHじゃなくてBLASTERをやってたんだよ。だからSPLASHをやった時の完成度には驚いたね」


「へぇ・・・そんなのあったんだ・・・あたし知らなかった」


「そりゃお前はSPLASH CHRONICLEしかしてねぇからだろ?」


「失礼ね、他のゲームだってするわよ」


「そういやいつも片手間でやってるそのゲームなんなんだ?」


「リマオカート6」


「レースゲームとかやるのか」


「下手の横好きだけどね。あたしが得意なのはアクションゲームだし」


「あぁ、分かる。下手だけどやりたくなるよな、俺もFPSとか苦手だけどたまにやりたくなるし」


「それで思い出したけどSPLASHのシューティングゲームがアーケードにあったよね?」


「あぁ、あれか。やってたなぁ・・・アーケードだから難易度高すぎて1面すらまともにクリア出来なかったけど」


「ウチは2面までは行けたよ、まぁ、友達が上手かっただけだけど」


「へぇ」


いつものようにダラダラと話していると時間が11時に差し掛かっていた。


「もうこんな時間か、お前ら風呂入ったのか?」


「これからだよ〜、あ、そうだ和真君、このまま寝落ち通話しよ!」


「充電が勿体ないからやだ」


「えぇ〜いいじゃん〜毎日する訳じゃないんだし今日くらい・・・」


「嫌だ、駄目だ、無理だ、というわけで切るわ、じゃあまたな」


「あ、ちょっと和真君!・・・本当に切っちゃった」


「・・・ちょっとアイツの寝てる姿見たかったな」


「ね〜!まぁ、切れちゃったものは仕方ないとして、お風呂に入ろ〜!」


「ウチの風呂、こういう時の為にデカくしてあるんじゃないかって毎回思うんだよな・・・」


「いつもみたいに全員で入ろ〜GO!GO!GO〜!」


美穂に背中を押されながら女子達はお風呂へと向かった。その頃和真はというと


「はぁ・・・まったく。何が寝落ち通話だよ、俺の寝てる姿なんか見て何が楽しいんだよ・・・俺もさっさと風呂入って寝よ」


欠伸をしながらお風呂へと向かっていた。

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