第7話「楽しいカラオケ!」

「と、言うわけでぇ!映画館の次はカラオケです!」


「どういうわけだよ」


映画を見終わり、帰った後、グループRAINに美穂から連絡が来ていた。


『明日はカラオケに行こ!』


そして、そのようになった。特に乗り気だったのは律だった。


「あ〜久々にカラオケに来る、テンション上がるわ〜」


「律ちゃん、今日はいっぱい歌っていいからね!律ちゃんの歌の上手さを和真君に聞かせてあげよ〜」


「いや、俺らにも歌わせろよ」


「いや、ウチらは歌わないよ?ハモったりとかはするけど」


「え、マジでか」


「マジで」


「わ、私達は基本、律ちゃんの歌を聞いて盛り上がって雑談とかして帰るからね」


「律はあたし達の知ってる曲とか多めに歌ってくれるから盛り上がりやすいしね」


「せっかく金払って来てんのに歌わずにってのは勿体なくないか?」


「まぁまぁ、楽しみ方は人それぞれってことで!和真君も歌いたいなら律ちゃんと交互に歌ったら?」


「そうさせてもらう、払う金額分は取り返す!」


「頑張って〜」


「んじゃあ!やっぱ1番はこれっしょ!」


律は慣れた手つきで端末を操作し、入力した。画面には『明後日の号哭/GUMProject』と表示された。


「お、これ知ってる。何の曲だっけ?」


「え〜っと確かマジラヴァのOPだったかな?」


「へぇ、アニメの曲だったのかこれ知らなかった」


熱いイントロが流れ始め、律が熱く歌い始める。


「話には聞いてたが本当に上手いな」


「でしょ〜?律ちゃんは本当に上手なんだから」


「これは俺も負けてられないな」


和真も端末を操作し、入力していく。そして、画面には『GLUTTONY/OCTPATH』と表示された。


「あ、これオーバースペックの曲だっけ?」


「そう、これは2期のOP」


和真が入れ終わると同時に律の曲が終わり、得点が画面に表示される。そこには91点と書かれていた。


「出た安定の90代!さてさて〜次は和真君のお手並み拝見ですなぁ〜」


「俺は上手くないからそんなに期待するな」


あの黒川ですらニヤニヤしながら和真の歌を待っていた。


「下手でも笑うなよ・・・」


しっとりとした静かなイントロから激しめのロックに転調し、和真が歌い出す。すると、女性陣は「お〜・・・」という声をあげた。


「意外と上手い・・・」


「やっぱ男子が男の人の曲歌ってんの合うね」


黒川はビックリしたのかフリーズしたまま聞いている。和真が歌い終わると自然と拍手が起こった。そして画面には89点と映し出された。


「いやぁ驚いたよ!上手かった!」


「ホントホント、しかも90まで後ちょっとだったじゃん惜しいね」


「・・・あたし、ちょっとドキッとしたかも・・・」


「何か褒められたことねぇから照れるな・・・サンキュ」


「ってことで次は私の番!じゃんじゃん回してくよ〜」


いつの間に次の曲を入れたのか、律はマイクを持って立ち上がり、歌い始めた。そして交互に入れ歌いつつ、2時間が経った。


「さ、流石に疲れた・・・」


「えぇ〜もぅ?私はまだまだ歌えるぜ!」


「なら歌っててくれ、それをBGM代わりに聞いてるから」


「OK!斉藤はよく頑張ったよ・・・そのバトン、受け取ったぜ・・・」


律は喉に違和感を覚え始めた和真と違いケロッとしていた。


「お疲れ、和真君」


美穂はそういうと汲んできていた飲み物を和真に渡した。


「サンキュ・・・ゴクッ・・・ゴクッ・・・プハァ・・・うめぇ・・・てか、蒼羽はすげぇな、まだ歌えんのかよ」


「だって律ちゃんはカラオケでいっつも3時間くらいぶっ通しで歌い続けるし」


「化物かよ・・・てか、全部90点代だしてるし・・・俺なんてたったの1回だったのに」


「でも和真君、大体88とか89とかだったじゃん、ほぼ90みたいなもんだよ〜」


「そうそう、ウチなんて80点代なんて出したことないんだし」


「あたしもない」


「わ、私はカラオケで歌ったことないからなんとも・・・」


「ちなみに私もない、ほとんどその場のノリを優先して歌そっちのけになっちゃうからね〜」


「まぁ、楽しめれば問題ねぇだろ」


全員がうんうんと頷いていた。そして、1時間が経過し、カラオケ店から出た。


「ん〜歌った歌った〜」


「本当にノンストップだったな、尊敬するよ」


「こんなことで尊敬されてもな〜普通の事だし」


「3時間ぶっ通しで歌い続けるのが普通?」


「まぁまぁいいじゃないの〜、今日も楽しい1日でした!っと言うわけでぇ、今日はここで解散!みんな!また明日学校でね〜!」


美穂がそういうと全員が返事を返し、自分の家へと向かった。騒がしいが、楽しい1日だったのは本当だった、こういうのも悪くないと和真は思ったのだった。

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