第6話「映画の日」

学校が終わり放課後、美穂が念を押してきた。


「和真君!約束忘れないでね!」


「分かってるよ、なるべく早くだろ?」


和真はそう言って家に帰った。家の扉を開けると姉が飛びついてきた。


「おかえり〜」


「抱きつくな鬱陶しい」


「いいじゃ〜んちょっとくらい〜」


姉は抱きついたまま玄関の扉を閉めた。和真は姉を引きずりながら居間に向かった。


「お〜今日もやってんなぁ〜仲良いなぁお前ら」


「父さんも何か言ってよ、いつまで経っても弟から離れられないのはおかしいって」


「雰囲気が悪いよりはマシだろう?」


「そうだけどさぁ・・・こんなベタベタしてんのおかしいだろ」


「そのうち普通になるわよ、我慢しときなさい」


「なんで俺が我慢しなきゃいけねぇんだよ・・・あっ、てかそうだ。母さん明日なんだけどさ回るとこ少なく出来ねぇかな?」


「どうして?」


「学校の・・・友達と映画見に行くって話になってさ、なるべく早く行ってやりてぇなって思ってさ」


「あぁ、なら別にいいわよ行ってきても。代わりにお姉ちゃんが来てくれるし」


「えぇ!?あたし明日は家でゴロゴロするって決めてたのにぃ〜」


「あらそう?なら和真に抱きつくの1週間禁止ね?破ったらお小遣い減らすから」


「えぇ〜・・・でも和真を供給出来なくなるのはすごく嫌・・・うぅ〜・・・分かった行く〜」


「ありがとう母さん」


「いいのよ、友達と楽しんできなさい」


「そうそう、若いうちに沢山遊んどきなさい、お父さんとお母さんもそうやって出会ったんだから」


「もぅ!お父さんったら・・・」


両親のイチャイチャを見せつけられながら明日どうするかを考えていた。そして翌日、母さんと姉さんが買い物に出掛けるのを見送った。


「父さんは今日どうするの?」


「寝る、流石に今週は休みが今日しかないからな・・・英気を養わないと・・・」


「お疲れ父さん・・・じゃあ俺も昼まで寝てようかな」


自室に戻り、ベッドに横になるとすぐに睡魔が襲ってきた。そして目を覚ますと時計の針が1時をさしていた。


「あぁ、やべぇ・・・寝すぎた」


もたつく足のまま支度をして映画館へと向かった。映画館に着く頃には1時半になっていた。


「あれ?和真君?」


「赤城、もう居たのか」


「私っていうかみんないるよ、今映画館で食べ物とか買ってる〜」


「じゃあなんで赤城はここに?」


「和真君が来るかなぁって気がして」


「勘か、本当百発百中だな」


「まぁね〜じゃ早めに来てくれたことだし、みんなと合流して映画見よっか!」


美穂に手を引かれ和真は映画館の中へと入っていった。そして、2時間の映画SPIRALを見終わり映画館の外へと出た。


「う〜ん、ヒューマンドラマが多いのはいいんだけど機体が一機しか出てこないし・・・まぁ、その一機を取り合うっていうのは良かったけど奪ってもほぼ移動にしか使ってなかったし・・・うぅ〜ん」


「まぁ、人を選ぶって感じの映画だったな」


「わ、私は好きだったけど・・・」


「ウチはあんまだったかなぁ、ヒューマンドラマよりもかっこいい機体がやり合ってるの見るのが好きだし」


「あたしはそもそもSPLASHにしか興味無いから虚無だった」


「曲は良かったから私はそれだけで満足かなって」


「まぁ、人それぞれってことだな」


「和真君はどうだったの?」


「俺はヒューマンドラマも好きだし、確かに機体の扱いには難があったけどヒューマンドラマには文句はなかったかな」


「なるほどね〜・・・うん、賛否両論ということで!」


そういうことになった。そして各々家に帰ってある者は家族と感想を話し合い、ある者は家族に感想を述べていた。

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