第2話「五人の少女達」
「やっと来たか・・・はは、やっとか。本当にやっとだな?やっと、会えたな、ジャック」
「何故俺の名前を知っている?」
「何故?何故って?そりゃそうさ。お前は俺なんだから」
「そう言って主人公は初めてラスボスの正体を知るの〜!」
美穂は嬉しそうに飛び跳ねている。それを和真は死んだ魚のような目で見ていた。
「なんで俺はまたここに・・・」
それは数時間前に遡る・・・
「なぁ!和真!お前あのクラスのアイドル赤城美穂に連れられて一体何処に行ってたんだよ!」
「そうだよ、お前羨ましいぞこの野郎!」
「ほ、本当に何があったんだ?お前、何か気に入られることでもしてたのか?」
友人3人に詰め寄られ和真は面倒くさそうにしながら答えた。
「俺だって知らねぇよ。SPLASHの小説読んでたらそれが理由で連れてかれた」
「スプラッシュ?あぁ、あれか、お前がやけに気に入ってるゲームだっけ?」
「風間は本当に女以外に興味ないな、超有名なゲームだぞ?やってない俺でも知ってるくらい」
「ぼ、僕はちょっとだけやってる・・・シュミレーションの奴だけど」
「あれ、ナツ、SPLASHのシュミレーションゲームやってたんだ?」
「う、うん。僕、シュミレーションゲームは大体やるから・・・」
「へぇ、俺は逆にシュミレーションは苦手で触ってないな、今度ストーリー教えてくれよ」
「う、うんいいよ」
「おいこらそこ〜ゲームの話で盛り上がらない〜今盛り上がるのは女子の話ですよ〜」
「それこそどうでもいいだろうが」
「おい、なんてこと言うんや和真!女は人類の宝やぞ」
「語るな気持ち悪い」
「酷い!それが親友に言う言葉か!」
「いや、和真の言うことは正しいだろ。実際お前キモいし」
「お前もかよ!!」
「いや、だって全校女子生徒の色々を把握してるのはキモすぎるだろ」
「流石に僕もキモイと思う」
「俺はお前らを親友と呼ぶのをやめようかどうか本気で迷い始めている・・・まぁ、それは置いといて!今は和真の話だよ!和真!俺達を先置いて女子に求められるとは一体どういう了見だ!」
「どうもこうもない、さっきも言った通りだ」
そう話していると噂の女がけたたましくやってきた。
「和真くぅぅぅぅぅん!!!」
「はぁ・・・うるさい。というかまたか」
「うるさいってなによ!さぁ!今日も元気よく行ってみよ〜!」
美穂が和真の手を取った時、風間が話しかけた。
「あのぉ、赤城さん」
「ん?なぁに?」
「えぇとですねぇ〜僕達も連れてっては・・・」
美穂は値踏みするように3人を見ると
「あ〜ごめんね、無理。1人はやってるみたいな感じするけど深くはやってないっぽいし〜・・・本当にごめんね?」
そう言って和真を有無を言わさず連れて教室を出ていった。
「・・・え、さっきまでいなかったよな?なんでナツがゲームやってる事分かったんだ・・・?」
そして、部室に連れてこられた俺はSPLASHをプラモしか知らないという沙苗にストーリーを説明するという美穂を黙って見ていたのだった。
「へぇ、無印はそんな感じのストーリーなんだ」
「そうそう!それで主人公ジャックは力量は同じでも技術力の違う自分自身と戦うことになるの!」
「苦戦を強いられつつもなんとか倒してって感じか。てか、どうして戦うんだ?」
「それはね、クローンジャックが幸せに生きてるジャックに嫉妬して家族をみんな殺してしまうの!んで、家族の仇が大会に出場するって知ってジャックは参加することになってって感じ」
「へぇ〜、じゃあ2はどうなるんだ?」
「2はね、自分のクローンを作った奴を倒すぞ〜!って感じで話が進むよ!」
「・・・なぁ、もう俺帰っていいか?」
「ダメェ〜!ってそうだった!和真君連れてきてたの忘れてた!今日はね?メンバーの紹介をしようと思って来てもらったの!」
「いや、俺は入るつもりは・・・」
「まずは私!同じクラスメイトだけど多分忘れてるだろうからもう一度自己紹介!赤城美穂!好きなことはSPLASH関連全般!そしてぇ〜さっき話してたこの子は緑山沙苗ちゃん!プラモを作るのがとぉぉぉっても上手なんだよ?」
「ども」
「あぁ・・・ども」
「そしてそしてぇ、昨日和真君がボコボコにしちゃった女の子は漆黒の白雪姫こと黒川梨沙ちゃんです!このメンバーの中で1番ゲームが上手いよ?本当だよ?」
「次は必ずボコすから・・・」
「・・・お手柔らかに」
「そんでぇ、あそこに座ってるのが蒼羽律ちゃん!歌が本当に上手だよ!90点代なんて軽く出しちゃうんだから!」
「・・・お菓子食べる?」
「あ、いや、またの機会に・・・」
「んで、その隣が渡辺黄美子ちゃん!絵がとっても上手なの!オリジナルのキャラとか機体とか書いてたりするんだよ〜?」
「ちょっ、ちょっと!美穂ちゃん!それは言わないって約束・・・」
「へぇ、オリジナルの機体か・・・今度見せてくれよ」
「へぇっ!?あ、うん・・・心の準備が出来ましたら・・・」
「んふぅ〜♪やっぱり和真君も男の子ですなぁ〜機体には食いつくんだねぇ〜」
「・・・うるさい。それと今更ではあるが俺は女が苦手だ、だから部活には入らない」
「慣れてけばいいじゃん」
「そう簡単に慣れねぇよ、俺には・・・」
「もしかしてベタベタしてくるお姉さんがいるとか?」
「・・・なんで分かるんだよ」
「ん〜、勘?」
「お前の勘怖いな・・・」
「それでなんで女性が苦手〜って話に繋がるの?」
「・・・許可してないのに気軽に体を触られるし、甲高い声が耳に刺さるし・・・」
「美穂じゃん」
「もぉ!沙苗ちゃん!」
「・・・とにかく、あんま得意じゃないんだよ」
「でも嫌いじゃないんでしょ?」
「・・・そりゃ、まぁ・・・ウザイのは姉だけだけど・・・」
「くしゅんっ!あ〜・・・和真に噂されたなこれ」
「先輩、風邪ですか?」
「ん〜?いや、違う違う、弟の愛情を感じてただけ」
「えぇ・・・」
「・・・うげ」
「突然どうしたの?和真君?」
「いや、姉ちゃんのキモイ波動を感じただけだ」
「ねね、女の子に対する苦手意識はここで治してこうよ!丁度女子が5人いる訳だし!」
「・・・確かにいつかは治さなきゃいけないとは思ってはいるが・・・それで入るかどうかは別だろ」
「まぁまぁ、入る目的なんて軽いもんでいいじゃない。私達だって初めは軽ぅく集まったんだし」
「どうやって?」
「まず私が、SPLASH好きを勘で探します」
「まずそこからおかしくないか?」
「んで、黄美子ちゃんと律ちゃんを見つけます。漫画好きとして集まりました!」
「いえーい!」
「そして、次に沙苗ちゃんを見つけ出しました!」
「子猫みたいな感じで擦り寄ってくるのに負けた」
「そして最後にぃ、梨沙っちを見つけました!」
「SPLASHのゲームが沢山出来るって聞いて来た」
「釣られたのか・・・」
「そして今のゲーム漫画同好会になりました!」
「そんな名前だったのか・・・よくこの学校が許したな」
「校長先生が凄く優しい人でね?最近では漫画やゲームに厳しい世の中ですが、それによって広がる輪を私は潰したくないって言ってあっさりおっけー貰っちゃいました!」
学校の校長先生の心と器の広さに和真は驚愕していた。
「だから、和真君も広い心でポンッと入っちゃいましょうよ〜」
「分かった」
「だよね〜、やっぱりそう簡単には頷いて・・・へ?」
「いつまでも女に苦手意識抱いてるのも馬鹿らしいし、SPLASHを語れる仲間がいるのも悪くないと思うから・・・だから、入る。でも、俺は早めに帰るからな?母さん、ゲームとかそういうのあんま良い印象ないからさ」
「うんうん!分かった!ちょっとお母さんの件は引っかかるけど分かったよ!じゃあ改めまして、SPLASH同好会へようこそぉ!」
「おい、名前変わってんぞ」
・・・こうして俺はゲーム漫画同好会、もとい、SPLASH同好会へと入ることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます