#25 奇遇

 その後、資金や、3年分の契約がしてあるマンションをくれたのを最後にして、あの人たちとの関わりはなくなった。



 そうして、前世で死ぬまで孤独だったわけだ。



 あの人たちも、このためにあんなに働いていたのだろう。

 全ては俺を追い出すためだけに。



 まぁ、やっと解放されたと思ったら、今度は高校でいじめられるんだけどな。



 ……でも、こんなことはどうでもいい。

 もう俺の過去なんてどうしようもないことだ。



 俺は、敵であったとしてもあの人たちと同じようなことが言えるようなやつらに負ける訳にはいかない。

 そして、もう俺みたいな思いを誰にもさせない。
















「……あのなぁ。

 こっちは絶望の感情はもう知り尽くしてんだよ!」



 俺は、目の前の二人に向けて言い放つ。


 たとえどんな理由があったとしても、あんなことが言える奴らには負けない。


 ここで負けたら、あの人たちにも負けたような気がする。

 すなわち、俺の存在が否定されてしまう。


 そんな使命感にかられながら、俺は剣を抜き、二人に斬りかかる。


 すると、予想外の一言が脳を揺さぶった。



「そりゃ奇遇だな。」


「わたしたちもだよ。」


「だから死んでくれ。」


「わたしたちの存在を否定しないで。」


「「この才能は手放せない!」」



 ……こいつらも、同じ?

 しかも、存在を否定だと?


 ……いや、なら先程の発言は何だ。

 もし俺と同じような境遇を生きてきたのなら、なぜあんなことが言える?


 嘘だ。

 俺を混乱させるための。



 そうわかっていても、斬りかかろうと踏み込んだ足が動かない。



 おそるおそる二人の顔を見ると、俺に向けられていたのは、どこか可哀想なものを見るような『同情』の目。



 俺はしばらく動くことができなかった。

 またその間、あの双子もこちらを攻撃しなかった。



 その時目に入った彼らの目は、まるでなにか遠いものを見据えているようだった。

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